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5年で25店舗出店し、東証上場 成功社長が採用する「2:6:2」マネジメント

2024.03.06
賃貸不動産業を専門とした経営コンサルティングをしている立場から、「262の法則」で組織を動かす賃貸不動産会社の経営者を紹介します。マネジメントの本質を理解し、実践することでコロナ禍も含めた5年間で25店舗を出店させた経営者が考える組織の人材を活かす環境作りを紹介します。

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ホールディングスのメイン事業を担い、上場に貢献

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紹介させていただくのは、100年企業を目指し不動産総合事業などを展開するホールディングスで、メイン事業の賃貸仲介会社を経営するS社長です。

1990~2000代には店舗展開を軸とした拡大戦略を採ってこられましたが、2010年代に入って伸び悩む時期に突入し、そこから数年間は賃貸管理・売買仲介・周辺ビジネスなどに注力されていました。しかし、上場を視野に入れた2018年ごろから賃貸仲介部門の「仕組み」の改革に着手され、そこからコロナ禍も含めた5年間で25店舗を出店、売り上げを1.5倍に拡大されました。出店させた全店舗は、引き続き安定した売り上げを維持されています。昨年6月にHDが無事に上場され、S社長の事業会社はその起爆剤にもなりました。

S社長の考え方の基本となっているのが「2:6:2の法則」です。

(組織内の人材の比率が「意欲的に働く2割」「平均的な6割」「意欲の低い2割」にわかれる現象) 上の2をもっと伸ばしたり、下の2をもっと成長させたりするのではなく、「真ん中の6をどう伸ばすか」に重点を置き、そこに徹底した仕組み作りをしています。

そのためにかつては、店長研修や営業研修を実施していましたがその効果は1週間ほどしか続かず、社員をどう扱っていくべきか長年考えていたといいます。属人的なやり方には限界を感じていらしたので、「2:6:2の法則」を活かす方向に切り替えました。

その際のポイントになっているのは「三階層のマネジメントづくり」です。

現場の店長の役割は目標達成と顧客満足の追求ですが、多くの会社では、人材育成や新商品づくりまで店長に委ねてしまうことが多く、そのことが持続的な成長の妨げになっています。こちらの会社では、その上の課長の役割を「人材育成」、部長の役割を「新商品づくり」と定義し、それぞれが自分の役割を認識しながら三階層が連携して機能するように本部に経営企画室を作り、環境整備をされてきました。

具体的には、上の2の社員を本部に置いてマネジメントをさせています。6人の課長に1人約10店舗ずつの担当店舗を割り振り、現場の店長の成長支援を行ないながら、本部が60を超える全店舗を統括しています。

部長は1人ですが、社長ともに新商品づくりを担いつつ、課長のサポートを行なっています。賃貸仲介の新商品には物件もありますが、「仲介サービスそのもの」こそが本質的な商品であり、S社長の会社では、仲介サービスのデジタル化を中心とした「会社全体でのDX」を進め、生産性を飛躍的に向上させました。

「上の2」の活かし方、「真ん中の6」の使い方を分かっているため、時流を読みながら何をすべきかに加えて、誰がどう進めていくかを決めています。結果、経営戦略を着実に実行に移すことができています。

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「2:6:2の法則」がデジタル化とマッチ

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地方都市における賃貸仲介業の1商圏あたりの年間売上は約3000万~5000万円です。その中で、S社長の会社は1商圏あたり約1億円を達成しています。このような成果は、「2:6:2の法則」を活用したマネジメントと同社の促進するデジタル化が上手に組み合わさった結果でもあります。

一般的な不動産会社は顧客が来店してからヒアリングを行ない、物件の提案をしていきます。来店後の接客に重点を置いており、接客は営業マンの属人的なところに任せることが多いのです。一方、S社長の会社ではSNSや動画、CRMなどデジタルを活用して接客起点を来店前にスライドさせる差別化戦略を行なっています。

同社のデジタルシフトは2002年ごろから始まり、2017年にはCRMを導入しました。しかし、そこから1年間は成果が表れませんでした。

社長は問題点を検証していった結果、デジタルシフトはツールだけを導入しても効果は出ず、ツールを使う組織自体を変えていかなければ、結局使いこなすことができないという結論に至りました。

そこで、デジタルツール導入にあたり組織を集客チーム、来店前接客チーム、来店後接客チームの3つに分けて、「情報のバトン」がきちんと渡るよう整えました。そうして、同社が掲げた「来店前に勝負を決める」という他店との差別化戦略を進め、会社を一枚岩にしていきました。組織と戦略の形を一気に変え、出店を拡大させたのです。

人を動かすための押さえどころを知っている

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S社長は人を動かすための「押さえどころ」を理解されていると思います。

デジタル化に伴う組織再編は、ベテラン営業マンからは反発もありましたが、S社長は1カ月間、黙って見守るよう指示しました。

1カ月後には、反響来店率が32~33%から40%弱へ改善し、そこから数か月で45%へと一気に改善したのです。反響来店率は来店数に直結します。10%上がると来店数は30%以上伸び、来店後接客に専念できるために契約率もアップし、売り上げは1.3倍になりました。仕組みによって売上が上がっていくと、営業マンからの反発もなくなりました。

また、女性社員の丁寧な対応を評価して、顧客からの問い合わせ対応(来店前接客)を各店舗から本部に移し、女性だけのチームに集約しました。そして、S社長自身の席をそのチームの近くに移しました。女性は集まるとおしゃべりをしがちな傾向がありますね笑。何かを指示するわけではないですが社長が近くに座ることで、チームの仕事は進捗しています。

さらに社長は、毎週末必ず数店舗を回って、きちんと業務フローができているか確認しています。社員からは「社長の目は誤魔化せない」と認識されており、多くの社員が気を引き締め仕事に臨んでいます。その結果、生産性も向上しています。

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現状に満足せず、100年企業の一躍を担う覚悟

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賃貸仲介業は1970年代に始まり、その後40年ほど成長してきました。

そんな中で、スマホの普及からコロナ発生まで劇的な変化が訪れた2010年から2020年にかけての10年間、その40年間の成功体験をおそらく捨てられなかった経営者の方は多かったと思います。例えば、従来の営業手法を踏襲し続けるといったようにです。

また、「業績が倍になった」「人材が増えて〇倍になった」といった大きな成果を成し遂げると、ある程度給料も増え自分の時代は終わったのだと、満足する経営者の方は多いです。

そこで満足せず、時流の変化を受け入れてきたのがS社長です。HDは100年企業を目指しており、S社長の歩みも止まらず常に進化されています。

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