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経営者や社長がやってはいけない6つのこと

2023.02.09
船井総研ホールディングス社長の中谷貴之が、現役の経営コンサルタントだった2009年に経営者に向けて「経営者のあるべき姿」「社長としてするべきこと」をまとめています。その内容を、今の時代に向けてアップデートし、お届けします。
今回は「経営者のためのこれはやってはいけない」について、触れていきます。

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経営者は「孤独」でも「孤立」してはいけない

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経営者とは孤独な立場です。社員には話せないことなども、たくさんあるものです。

だからといって、「孤立」をしてはいけないと考えています。

自分の考えに固執して話を聞かず、その結果取引先も社員も離れていく。

そのような孤立は、経営者にとってもっとも避けたいことです。

孤立しないために必要なのは、相談者を持つことです。

相談者といっても、今は「弟子は師匠の言うことにすべて従う」というような時代ではありません。

内容に応じて相談する相手を使い分けるのが、よい形です。

有能な経営者ほど、多くの相談者を持っています。

経営者はどうしても相談者が少なくなりますから、相談する相手は意図的につくっていかなければなりません。

ただ相談先が増えればよい訳ではない


「相談者の幅の広さ」も重要です。「自分の知らないことを教えてくれる相手」であれば、老若男女の縛りはありません。

できる社長ほど、自分の子供くらいの年齢の経営コンサルタントのアドバイスにも素直に耳を傾けています。

「昔から付き合っている相談者」がいる方もいると思います。

ご自身が年齢を重ねるごとに周りの方も歳を取っていきますから。

新たに「相談者ポートフォリオ」をつくるつもりで、若い相談者、女性の相談者を組み込んでいくのも大事です。

たとえば「デジタルの話だったら会社に出入りしているシステム会社の若い担当者に聞く」というようにです。

くれぐれも意識していただきたいのが、「自身の年齢が勝手に上がっていく」ことです。これは静かに進んでいき、多くの人が気づかないものです。

だんだんと付き合う人も決まっていき、その年齢の幅も狭まっていきます。

大学を卒業したばかりで入社した、ご自分にとって息子・娘くらいの年齢と思っていた社員が、今や会社を引っ張るリーダーになっている、そのようなことは珍しくありません。

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時間認識が同じままではいけない

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そのように時流認識をアップデートしていただくと同時に、進めていただきたいことがあります。

それは、「若い人を一人前にするスピードを上げよう」つまり時間認識をアップデートするということです。

昔は「石の上にも三年」という言葉もありましたが、最近は昔よりも若い人の成長スピードが上がっています。

また「タイパ(タイムパフォーマンス)」という言葉があるように、最近の若い人たちは時間に対する認識も敏感です。

まずは仕事を任せ始める時期を早める必要があります。

思い切って任せてみると、小さな事故はあっても、結構うまくいくものです。任されたほうも、意気に感じて、一生懸命にやってくれます。


次に気を付けていただきたいのは、社長と若手社員の一人前になるまでの時間意識は違うということです。

つまり「社長の考える一人前に5~10年で育てる」のではなく、まずプロとしてお金をいただける一人前に1~2年で育てる」という意識の切り替えが必要です。

当然、そのためには従来の育成プログラムを再構成し、また、新しい時代に合ったスキルの組み込みや捨てるべきプロセス等を整理する必要があります。

「自分のうまくいったやり方」を押し付けてはいけない

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後継者や若手を育成する上で気を付けたいのが「自分はこうやってうまくいった」を押し付けてしまうことです。

ある会社で実際にあったことです。社長の息子さんが後継者として入社することが決まりました。社長は「息子だからと甘やかしてはいけない」と支払う給与も安くし「社長になるため」と厳しい修行を課していました。

しかし、あまりに厳しくしすぎた結果、息子さんは音を上げて、退職してしまったのです。その会社は後継者を失ってしまいました。

昭和から令和への人の育て方

その社長は「俺の時代はまず現場に出てイチからとにかく数をこなすことで仕事を覚えた」かもしれませんが、時代は変化しているのに、後継者の育成法が前時代的では、いくら息子さんでも耐えられないのは理解できます。

その会社は、今の時代に合った後継者のステップアップのさせ方を設計するべきだったと言えます。

新卒採用も進めていましたから「息子のほうが新卒で入る社員と年齢も近いから」と採用活動を任せるというように、始めた途端にその会社で一番になれる仕事があったでしょう。

今ならば、デジタル部門の中心を担ってもらうなど、若い人にこそ任せたい仕事があります。

まず、勝てる場所、居場所をつくってあげる。それが、今の時代の後継者にとってよい「レッドカーペットの敷き方」です。

会社経営を受験勉強に置き換えれば、社長は塾に行かずに学校に入ったかもしれません。

しかし、息子の時代は塾に行き、家庭教師もつけたわけです。それが仕事になると何も持たせずに、前時代的な修行をさせるというのは論理が破綻しています。

社長と経営コンサルタント

経営コンサルタントも家庭教師の1人くらいに考えて、その時代に合った育て方を設計すればよいのではないかと思います。

自分のやり方、自分がうまくいった方法に執着すると、会社の成長が止まる。それは強く感じます。
時代に合わせて、育成に関しても「成功体験を軸にして行う」という発想が必要です。
昭和的な感覚と今の時代で大きく変わったことの1つに「人に我慢を強いることが少なくなった」があります。

昔の「怒鳴られながら体で覚えた」ような修行の形は、仕事に対し人が余っていて、働く側に選択肢のない時代だから、人が我慢することで成り立ちました。

今は人に対し仕事が余っているので、人は我慢を強いられるような職場からは離れ、我慢しなくていい場所に移っていきます。

技術の進歩もあり「昔は徹夜して完成させた」作業も、現在ではデジタル化することで人がやらなくても済むようになりました。

例えば、会議の議事録を自動的につくれるツールなども出てきています。

社長には「後継者・若手に我慢を強いる」のではなく「後継者・若手が悲鳴を上げていることを見つけてなくす、改善する」ことが求められているのです。

富裕層情報だけを見ない

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経営がそこそこ順調に回り始めると、経営者の収入が増え、いわゆる富裕層の仲間入りをする方も増えてきます。

また、経営者の周りには、意図せずとも「いい情報」が集まってくるものです。そうすると今度は富裕層の情報ばかりを見がちになります。

周りの社長は別荘を持ち、輸入車を買った、そんな人が集まっているかもしれませんが、当然、誰もがそのような生活をしているわけではありません。

経営者は社員の誰よりもマーケッターである必要がありますが、人は年齢を重ねるごとにものの見方が硬直化していきますので、それをほぐす作業が必要です。

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経営者の感覚を重視してはいけない

身の回りをすべてブランド物で揃えるのではなく、ユニクロも着てみる。最近食べていないかもしれない吉野家がどんなメニューを出しているのかを見に行くといったことも、してみていただきたいと思います。


また、以前ですと社長はよかれと思ってコストと時間をかけて海外リゾート地への社員旅行を行うような会社も散見されましたが、ぜひ行っていただきたいのが、「この会社の社員が今、本当に望んでいることは何か?また将来どんな会社になってほしいのか?」を社員に問い続けるということです。

社内にいる「社長が最も将来を期待している人材」に上記の問いかけをしてみていただきたいと思います。
想像以上にギャップが大きいケースが多いものです。

社長発信情報は「言いっぱなし」をしない

経営者たるもの人を巻き込むことが大切です。

経営者たるもの人を巻き込むことが大切です。 画像提供:PIXTA


社長は社員に対し、朝礼などで様々な情報発信を行っていると思います。

そのほとんどが、社長自身の口からされているのではないでしょうか。

もちろんそれが悪いことではないのですが、創業オーナー社長は「テキストベース(文字化)にして社員に発信する」ことはほとんどありません。いわば「言いっぱなし」の状態です。

それを100万回言うことで社員も理解する、それが「昭和の教育」でしたが、令和の時代は、デジタルのテキストベースで残していくことが大事です。

言語化する、誰もがわかるようにする。そうすることで、伝わるスピードも早まり、耳だけでなく目でも見ることで、社員の記憶に残る度合いも上がっていきます。

社長自身も、話すだけならば話の内容はそう考えなくてよいかもしれませんが、テキストとして残るとなると、自然とわかりやすい話をするようになるものです。

こういったスタイルは、初めは慣れないかもしれませんが、形が先で、だんだんと実が伴ってくるケースもあります。

例えば、会社が行っている経営方針発表会。そこで話をするとき、創業者の社長は原稿なしでスムーズに中身が口から出てくることは珍しくありません。

しかし、二代目の場合…

ですが、後継者、二代目の社長は話す内容もうまくつくれず、また緊張してうまく話せない、そのようなことはよくあります。

経営方針発表会がややマンネリ化していたある会社は、コンサルタントと二人三脚でつくった中期ビジョンを二代目社長が初めてしっかりとテキストベースに表現し話したことで、経営方針発表会のグレードが大きく上がりました。

社員の社長に対する目も変わり、社員の将来に向けての視界が一気に開け、もはや「会社の格が上がった」レベルに進歩したのです。

その経営方針発表会以降、社員も新社長のことを頼りにし、好きになっていった印象です。

社長自身もその後は、テキストベースで情報発信をする重要性を認識し、そのような形の情報発信に積極的になりました。

慣れることで、内容もよくなっていったのです。

その会社は年商100億円を達成し、現在では次の目標を「上場を目指す」としています。

会社のステージに応じて、社長のアップデートも、1つずつで構いません。

世界や東京の出来事を「遠くのこと」と思ってはいけない

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私が現役のコンサルタントをしていた2009年にまとめたこの内容が、今と大きく異なると感じるのが「世界」「東京」と「ローカル」の関わりです。

かつて『ヤンキーの虎』というビジネス書がヒットしました。

しかし、この2つは完全に分断していて、それぞれが交わることもなく存在していました。

世界の株価がどのように動いても、地方にはほとんど関係がなかったのです。

今はそのようなことはなくなりました。世界の株価と日経の株価は連動していて、東京の景気とローカルの景気もどんどんつながるようになってきています。

また、10年ほど前は「ESG経営」といった観点はなくても会社経営は困りませんでした。

ですが、今では地方の企業も「ESGに取り組んでいなければ受注ができない」というように変わっています。

さらに、東京とローカルが近くなった結果、変わったことの1つが採用です。

今は「在宅勤務OK」という形で、地方在住の人を東京の会社が採用する時代になりました。

地方企業は、かつてはその地域で一番になれば、そこにいるよい学生を採ることができました。採用の合同説明会で一番力を入れれば、人は集まったものです。

今はどんどん、地方のよい人が東京の会社に取られる可能性が高まっています。

地方だから社長の判断が遅れるのはダメ

そのような変化を踏まえて東京基準、グローバル基準とつながることを強く意識しなければならなくなっているのです。

加えて、これからの時代に経営者が意識すべきは、社員の年収を上げていくことです。

東京や、世界との採用競争が激しくなっているので、そこで戦えるためには給与面の拡充が欠かせません。

「わが社は常に地域で一番、社員の年収を上げる方法を考えている」そのような姿勢が求められます。

「給与を上げる」のも、単純に「基本給や年収を上げる」だけではありません。

円安やインフレ環境の中、持続的に給与を多く払えるようビジネスモデルや価格設定も今のままでよいのか、事業計画はそれでよいのかといったことの見直しが求められます。

このほかにも、高校で投資の授業が始まった今、すぐ上の世代は、いわば一番教育を受けられていない人たちということになります。

その人たちに向けて、たとえば取引をしている証券会社の営業担当者を呼んで、会社で勉強会をするなども大事です。

社員が「この社長は自分たちの年収や資産が上がるためにできることをしてくれている」と伝わることは、とても大事ではないかと考えます。

さいごに経営者に伝えたいこと

ぜひ社員のために「給与自体を上げる」ための手立てと「社員の資産を増やしていく」方法を考え、行動に移していっていただきたいと思います。

少し難しい話もあったかもしれませんが、ますます厳しくなる経営環境で勝ち抜いていくために「できることから1つずつ」進めていっていただきたいと思います。