9割が失敗するといわれる新規事業で勝つ「4つの鉄則」
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2023.10.22
- 経営の新たな策として注目を集める「新規事業」会社の今後の成長のカギを握る一方で、「9割が失敗する」ともいわれている世界でどのように成功するか?そのポイントをお伝えします。
本記事は『新規事業を立ち上げ第二本業へと育てる 地域コングロマリット経営』より作成しています。
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「中小企業の戦い方」を意識する
「新規事業参入は、企業規模によって大きな違いがある」まずはそのことを理解しておく必要があります。
中小企業には中小企業ならではの、新規事業参入の鉄則があります。それは「大手企業と中小企業の経営資源の差」という点です。
人材、ノウハウ、資金、マーケットシェア……中小企業は一般的に、いずれも大手に劣ってしまいます。そのため特定のポイントで勝っていても、総合力では厳しい闘いとなってしまう。
研究開発のための資金調達も、貴重な人材をそこに専任させることも難しく、新規事業に失敗したときに本業に与えるダメージも大きいと予想され、経営自体が危うくなる可能性もあります。
そのような条件を加味した、中小企業における新規事業参入の鉄則は次の4つです。
鉄則① 時代を先取りするな
第一の鉄則が「中小企業の新規事業参入では、時代を先取りしてはならない」
大企業は新しいものに手をつけ、そこに経営資源を投入していく形で新規事業を行っていくが多いですが、同様の形を中小企業が真似をすることは危険です。導入期どころか、成長期の始まりくらいのものに手をつけることも勧めていません。
また、これもよくある参入方法ですが、他社が育て、ようやく成長期に入った事業を早々と見つけ、自社の事業として拡大させるというもの。ピーター・F・ドラッカーの言う「創造的模倣」。これについても中小企業には勧めていません。やはり資本力がものを言う部分があるためです。
本書の著者が勧めるのは、顧客ニーズが顕在化しているビジネスへの参入です。
「成長期の真ん中にあるようなもの」を勧めています。
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鉄則② 事業アイデアは創造するな
第二のポイントとして挙げられるのが「事業アイデアは新たに生み出すものではない」ということです。事業アイデアとは、創造するのではなく選択するものと考えます。
ゼロから事業を生み出せれば、イノベーターとして圧倒的な利益を享受できる。それは間違いありません。
しかし、それは非常に困難なことで、もしアイデアが生まれたとしても、軌道に乗るまでは多くの労力を要し、それでもうまくいくかどうかの保証はありません。
それであれば、コストの少ない参入方法を「選択」するほうがいいと言えます。事業アイデアはすでに世の中にありますから、そこから、自社に合うものを選び取ったほうが効率的かつ、すでに世の中にある事業アイデアなら、商圏人口により選択基準もわかりやすいです。
調査の手間も減り、需要が見えているために社内の稟議もスムーズで、事業開始後のリスクも低くなります。
鉄則③ ローカライズが肝
事業アイデアは至るところにあります。隣県から都心、さらに海外など。もっともインパクトが大きいのは、まだ地域では競合のいない、海外のビジネスモデルを持ってくることかもしれません。しかし、単に海外のものを持ってきたところで、そのまま地域に受け入れられることはありません。
その事業アイデアを、地域にすり合わせていく、ローカライズが必要です。
ローカライズの例として、女性専用のフィットネスクラブの「カーブス」があります。
カーブスは1990年代にアメリカで生まれ、日本には2000年代に上陸しました。運動習慣のない女性向けで、その点で敷居の低さに特徴がありました。
しかし、アメリカのサービスをアメリカ的なままに提供すれば、多くの日本人にとってはやや目線の高いものに感じられてしまいます。
そこで日本では、コンセプトを「井戸端会議」に寄せました。「トレーニング」ではなく「憩いの場」に、「フィットネス」ではなく「健康体操」に。目的を変え、あえてオシャレさを薄めたのです。
そのために看板ひとつとっても、アメリカ風のデザイン性があるものではなく、親しみやすさを打ち出しています。結果的に日本のカーブスは、運動習慣がなかった日本の中高年女性向けのフィットネス市場を開拓することに成功したのです。
これは海外から日本へのローカライズですが、日本国内の場合、例えば「味つけを調整する」というのもよくある話です。
有名なところでは日清食品の「どん兵衛」が、東日本と西日本で味を変えているのもローカライズです。ある地域で流行っているレシピをそのまま再現したところで、別の地域で受け入れられるとは限りません。
ローカライズは、第三の鉄則です。また「地域企業として地域の特性を知っている」という強みを活かして行えることでもあります。
鉄則④ まとまりを意識した新規事業参入を
第四の鉄則は、まとまりを意識することです。
新規事業はともすると、バラバラで何の関連もなく、まとまりのないものになりがちです。しかし、成功している企業を見ていると、実は何かしらの共通項を持って事業を行なっていることがわかります。
例えば、カフェをやり、焼肉屋をやり、となるとまとまりがないように思われるかもしれませんが、フランチャイズビジネスの場合は事業を増やしても責任者は1人で済みます。
また、観光立地には特定のスイーツを専門的に扱う「単品スイーツ専門店」というビジネスモデルがありますが、1店舗目をプリン、2店舗目チョコレート、3店舗目をケーキにしたところで、それほど経営資源が分散するわけではありません。それぞれカテゴリーが同じだからです。
さらに地域コングロマリット経営という点では、地域内にまとめることは非常に重要になります。これは資源調達とマネジメントの観点からメリットが大きいといえます。離れた地域で急に新規事業を始めるとなると、管理は行き届かず、人材も集めづらいということが起こりやすいので、近いことは経営効率の面で非常に重要です。
また、やや違った観点になりますが、企業の成長ビジョンに合っているかどうかも大事です。あまりにもカラーの違う新規事業に取り組むのは、まとまりがない。なぜその事業を行うのかを説明できる根拠もなく、節操がないように見えるのでは地域からも、従業員からも信頼を得にくいでしょう。
まとまりを考えるうえでは「段階的に広げていく」のもよいと言えます。既存の事業と、新たに参入したい事業とが乖離していることもあるでしょう。
その新規事業は市場規模が大きかったり、成長トレンドにあるなど魅力的市場だとしても、そこで一足飛びに未経験の事業に参入すると、苦戦する可能性があります。その場合は、既存事業と新規事業のあいだにある狭間事業から始めてみるのが効果的です。
例えば、家具店が家に置くものを作るだけではなく家そのものに関わる、リフォーム事業を展開したいとなったとして、いきなり家に進出するのは難しさもあり、また従業員や取引先などへの理解も追いつきませんから、この場合はまず家具の修理事業を挟んでから、リフォーム事業へと展開することで、スムーズに参入できます。
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