【社長必見】「心理的安全性」と「権限委譲」で、幹部がぐんぐん伸びる秘訣
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2025.08.15
- 会社の成長には、社長の右腕となる幹部との付き合い方が極めて重要になります。社長の右腕は、社長とは異なるタイプで、時に反対意見も述べる「真逆」の存在であることもあれば、社長と同じタイプのパターンもあります。どちらにせよ、社長の同じビジョンを持っていることは大切です。
幹部を育成するのではなく、彼らが能力を発揮できる環境を整えることが重要です。社長は異なる意見を受け入れる度量を持つべきであり、権限委譲や成果主義の人事制度、心理的安全性のある職場環境が求められます。また、社長が壮大なビジョンを掲げることは、有能な幹部を引き寄せる強力な手段となるでしょう。
社長の右腕との付き合い方における理想像

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会社を成長させる上で、社長の右腕との付き合い方は非常に重要です。社長とCOO(最高執行責任者)のような「ダブル社長体制」も有効だと考えています。
ダブル社長体制では、CEOが長期的な展望や人材、デジタル化、新規事業に注力する一方で、COOが目先の業績に責任を持つことで、企業は大きな成果を上げています。このCOOは、売上や利益にコミットする存在として、社長の理想的な右腕となり得ます。
また、右腕は、社長と「真反対」のタイプのパターンもあります。社長が猪突猛進型であれば、右腕は「ちょっと待て」と冷静に違うアプローチを提示できる存在です。野球でいえばピッチャーとキャッチャーの関係のように目立つのはピッチャー(社長)かもしれませんが、キャッチャー(右腕)がゲーム全体をコントロールしているケースも少なくありません。
異なるタイプの幹部との付き合い方と企業成長
社長と異なる意見を持つ幹部との付き合い方は、企業の成長において極めて重要です。
社長が感情的に動くタイプである場合、社長の右腕が常に慎重派で反対意見を述べることで、バランスが取れることもあります。異なる視点を持つ幹部は、監査役、サポート役、そして新たな視点を提供する役割を担います。
会社の根本的な考え方、経営理念、目指す方向性といった「コアバリュー」は、社長と右腕との間で完全に一致している必要があります。この核となる価値観が一致していなければ、組織は脆くなり、最悪の場合、解散につながる可能性もありえるでしょう。
同質な人材ばかりの組織は、変化に対応しにくく、困難に直面した際に脆さを露呈しがちです。そのため、多様な能力や長所を持つ異なるタイプの人材が集まることが、組織の強靭性を高めます。中途採用者が、会社にそれまで無かった視点やノウハウを持ち込むことによって新たな事業の推進に大きく貢献するケースも、この多様性の重要性を示しています。

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社長の右腕・幹部を育む環境と社長の役割
社長の右腕や幹部を「育成する」ことは非常に難しいと考えられています。
むしろ、そのような素質を持った人材が自ら現れ、活躍できるような環境を整備することが重要でしょう。そのために、社長自身が「度量」を持つことが不可欠です。自分とはタイプが異なり、時には意見が合わない異質な人材であっても、それを受け入れ、使いこなす心構えが求められます。
社長の中には、ワンマン経営で離職者が続出したことから、深く反省して、幹部や社員の意見に耳を傾けるようになったという人もいます。このような経験が、社長自身の成長につながるのです。
具体的に、幹部が伸びてくれる環境として以下の3点が挙げられます。①役職や立場を超えて安心して自分の意見を述べられる「心理的安全性」のある風土です。②適切な役職者に「権限を委譲」し、責任を伴いながらも自由に業務を行わせることになります。③成果に応じて昇格も降格も伴う「信賞必罰」の人事制度を整えることです。降格がキャリアの終わりではなく、再チャレンジが可能な柔軟な制度であることが望ましいことでしょう。
社長が幹部と上手く付き合うポイント
いくつかの重要なポイントがあります。
まず、幹部を「追い込まない」ことが大切です。社長が高い期待を抱くあまり、幹部が成果を出せないときに過度なプレッシャーを与えたり、逃げ道をなくしたりすることは避けるべきです。どのような社員に対しても、精神的なゆとりを持たせることは必要です。
また、幹部との強固な「信頼関係」を築くことも不可欠です。信頼関係があれば、幹部は社長に対して「それは違うと思います」と率直にノーを言えるようになります。会社にとって良くないと判断すれば社長の意向であっても反対意見を述べることも幹部としての大切な役割だからです。
社長は、このような幹部の意見を「無下(むげ)にしない」ことが重要です。心理的安全性を損ない、幹部が意見を言わなくなる原因となります。社長は、幹部の意見を尊重し、「そういう意見もあるのだな」と受け止めた上で、共にどうすべきかを考える心持ちを持つべきです。また、幹部に海外視察など、社外での学習機会を積極的に与えることも、双方の相乗効果を高める上で有効と言えます。

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オールマイティタイプの社長は、幹部を「チーム」にして組織を強化する
社長自身がオールマイティな能力を持ち、バランス感覚に優れている場合、右腕を一人置くのではなく、複数のスペシャリストを幹部として配置し、「経営ボード」として機能させる方が良いケースもあります。
このような場合、社長を支えながら、将来、会社を継承しうる人材として、以下の3つの要素を持つ幹部を選ぶのが理想的と言えます。
1つ目は、会社の理念を受け継ぐ「継承者」としての資質、2つ目は、経営能力が高く業務を遂行する「遂行者」としての働き、そして3つ目は、社長が安心して全てを託せる「信託者」としての信頼性です。これらの要素を全て兼ね備える人材は稀であるため、それぞれの分野のトップである幹部を固める発想が重要になります。
また、ナンバー2には、会社全体のビジョンに加えて、自分の部署やチームを率いるための独自のビジョンを持たせることが有効です。将来、優秀な幹部となるような人材を引き寄せるためには、社長が大きなビジョンを掲げ、それを成し遂げるための計画と、情熱を示すことも必要です。
あなたの会社に、頼れる右腕、幹部はいるでしょうか?上述したポイントを押さえ、会社を成長させる経営チームづくりを進めていただきたいと思います。

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