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業界平均の3~5倍の収益を実現する「CRMカンパニー」とは?

2024.08.29
同業他社に比べてはるかに高い収益を上げている会社のしていること、それが「CRM(Custemer Relationship Management:顧客管理)」です。
CRMで高い収益性を達成している会社とは、どのようなものでしょうか。

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アマゾンの強さの源泉

今、大手スーパーなど昔ながらの小売店が苦戦する一方で、大手通販会社であるアマゾンは業績を上げ続けています。なぜかというと、アマゾンはアマゾンが「特定商法(=固定客商法)」を行なっている「CRMカンパニー」だからです。

例えば読者の皆さんが、夕食の総菜や材料を買いに近所のスーパーに立ち寄ったとします。

そのスーパーは、POSレジにより、「どんな人が何を買ったのか」「何が売れたのか」までは把握しているかもしれませんが、「誰が何を買ったのか」までは捉えていないはずです。個人情報にまで紐づいていないスーパーが大半なのです。

あるいは会員カードを発行しているお店なら、一応「誰が何を買ったのか」を捉えることができていますが、そのデータをもとに顧客に働きかけて、新たな購買を促す活動はほとんどなされていません。

“会員カードにポイントをためてもらうことによって顧客をつなぎとめる活動”にとどまっているケースが大半なのです。

これに対してアマゾンは、「誰がいつ何を購入したのか」という情報をしっかり持っています。

もっというと、「誰がいつ、どんな情報を閲覧したのか」という情報まで持っていますから、そうした購買履歴や閲覧履歴から個人別の趣味嗜好の仮説を立て、「こんな商品もありますがいかがですか?」と、メール等で購買を促すアプローチをしています(こうしたアプローチのことを、レコメンデーション機能といいます)。

つまり、世の中の大半の小売業が「不特定商法を行なっている非CRMカンパニー」であるのに対し、アマゾンは「特定商法(=固定客商法)を行なっているCRMカンパニー」であることがよくわかります。

これが、アマゾンが多くの既存の小売業を凌駕している根本的な理由なのです。

実際、かねてから不振が伝えられる百貨店業界を見ても同じことがいえます。

百貨店業界は不振といいますが、実は高島屋や伊勢丹三越といった、昔からの老舗でブランドを確立できている百貨店の業績は悪くありません。むしろバブル期前よりも売上を伸ばしている百貨店もあります。

どちらかというと、苦戦しているのは新興勢力と呼ばれる百貨店です。

では、老舗百貨店と新興の百貨店は何が違うのでしょうか?

それは、歴史とブランドのある老舗百貨店は、「外商」といわれる固定客商法が収益の大きな割合を占めているのに対し、新興の百貨店は「外商」が弱く、固定客商法というよりも前述の「誰が何を買ったのか把握ができていない」不特定商法に近い状態になっているところにあります。

GAFAMが握る、ユーザーの個人情報

今、ビジネスの世界で覇権を握っている「ビッグテック」とよばれるGAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック=メタ、アマゾン、マイクロソフト)も、すべて個人情報をしっかりと握っているCRMカンパニーであるといえます。

例えば、グーグルは傘下のサービスにYouTube があります。ご存じの通り、YouTubeで一度ある動画を閲覧したら、その動画と関連のある動画が次々に流れてきます。これは個人の趣味嗜好をYouTubeが把握したうえでのレコメンデーション機能です。

ログインした状態でグーグルの検索エンジンを使用すると、どんな情報を調べたかはすべて個人情報と紐づけられます。つまりグーグルは、検索エンジンに加えてYouTubeといったSNS等からの個人情報も含めて網羅的に顧客情報を握っているといえます。

フェイスブック、インスタグラムといったSNSを運営するメタも同様です。フェイスブックを使用する際には、実名を含めた個人情報を登録することが前提になっていますから、その顧客情報の精度はグーグル以上といえるでしょう。

マイクロソフトもウィンドウズといった従来からのOSに加え、ワードやエクセル・パワーポイントといったオフィス等のアプリケーションは、すでに私たちの必需品になっています。

また、エッジという検索エンジンを持ち、ギットハブといったエンジニア向けの開発環境サービスを提供しています。近年ではChatGPTを開発したOpenAI社に出資することで、検索エンジンと同等あるいはそれ以上の顧客ニーズを拾い上げることができています。

アップルに至っては、サファリという自社独自の検索エンジンに加え、さまざまなアプリや楽曲等を自社のプラットフォームから提供しています。しかもiPhone といった端末も自社製のものを供給しており、こうしたアップルの端末の大半が自社のアップルストアを通して消費者に直接供給されています。

GAFAMと並び称されるテスラやネットフリックスも、CRMカンパニーであるといえます。

なぜなら、大半の完成車メーカーはディーラー経由で流通させているのに対し、テスラは直販体制、しかも顧客の自動車のソフトウェアを定期的にアップデートするなど、常に顧客接点を維持しています。

また、従来型のテレビ放送は顧客情報をほぼつかんでいないのに対して、ネットフリックスの場合は双方向にコンテンツを提供。誰がどんなコンテンツを視聴したのかという情報はもちろん、誰がどのコンテンツをどこで視聴するのを止めたのか、あるいはどの部分を早送りで視聴したのかといった細かいレベルで個人の趣味嗜好を把握しています。

同社ではこうした趣味嗜好を、自社オリジナルのコンテンツ制作に反映させることにより、ヒット作を連発しているのです。

このように考えると、世界の覇権を握るGAFAMやテスラ、ネットフリックスといった企業はすべてCRMカンパニーといえるのです。

CRMカンパニー』船井総合研究所著・同文館出版より

CRMカンパニーを定義します。CRMカンパニーとは、以下のような会社を指します。

CRMプラットフォームを実装することで集客(顧客接点)から成約(受注)までのビジネスプロセスを最適化できている会社のこと。 さらには蓄積された顧客データならびに購買データ・商品データ等の各種データにより、データドリブン経営・AI活用が行なえている会社のこと。その結果、CX(顧客体験)の向上とともに、LTV(生涯顧客価値)、収益性、生産性の最大化が図れている会社のことであり、持続的な成長(=サステナグロース)が図れている会社。

アマゾンの本質は「CRMカンパニー」だと述べました。

同じEC(ネット通販)企業で、CRMプラットフォームを導入することにより、文字通り「アマゾンに負けない」EC企業が日本にも存在します。 和歌山県に本社を置く株式会社一条は、ゴルフウェアの宅配買い取り・ネット販売サイト「STST(ストスト)」を手掛けています。同社はECサイトだけでなく、関連した店舗を和歌山県内に1店舗、大阪市内に2店舗を展開しています。 当初、このSTSTは同社にとって新規事業でした。当初はエクセル管理主体で行なっていましたが、事業が拡大するにつれてエクセル管理では限界がきました。

特に同社の場合は「買い取り客(=商材を買い取る対象)」と、「販売客(=商材を販売する対象)」と、通常のECに比べて2倍の顧客管理が必要となってきます。 特に事業規模が拡大し、新規客をどんどん集めるフェーズからリピート客の育成を重視するフェーズに移行してくると、従来のアナログ管理では限界を迎えます。そこで、ECと連動したCRMやMA(マーケティング・オートメーション)など、CRMプラットフォームの導入を決断しました。

CRMにより顧客の購買パターンを見える化・リピート率向上を実現!

同社がCRMを導入後、特に「販売客」に対して重視している施策は次の通りです。

1)販売客の購買履歴の把握

2)商品アイテムカテゴリごとのF2(=2回目購入)以降の転換率把握

3)F2以降の発生日時の管理

つまり新規のお客様に対して、どんなカテゴリの商品をいつ提案することで、F2転換(=2回目以降の購買)につながるかを把握し、同社としての勝ちパターンを確立することが目的です。

『データ・生成AI活用で業界平均の3~5倍の収益性を実現する CRMカンパニー』の内容から一部をご紹介しました。

続きは。。。

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