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デンマークから学ぶ‐ビジネス効率世界一の秘訣

2025.02.18
デンマーク在住15年、「デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか」が5万部突破した著者の針貝有佳氏にインタビューしました。
デンマークは人口約600万人で九州程度の面積で小国です。
しかし、玩具のLEGOやビールのカールスバーグなどグローバルカンパニーも多数あり、世界競争力ランキングで1位と見習うべき点が多くあります。※IMD(国際経営開発研究所)の2023年の調査

「驚きのサステナグロースカンパニー視察セミナードイツ・デンマーク」開催にあたって特別インタビューとなりました。当視察セミナーはコチラよりご確認ください。

デンマーク文化研究家 針貝有佳氏 1982年生まれ。

早稲田大学・第二文学部を卒業後、早稲田大学大学院・社会科学研究科でデンマーク研究、修士課程修了。2009年末にデンマークへ移住し、デンマーク情報の発信をスタート。首都コペンハーゲンに5年暮らした後、現在はコペンハーゲン郊外のロスキレでデンマーク人夫とハーフ2児と暮らす。 デンマークの生情報をウェブ・雑誌・テレビ・ラジオ・新聞などから情報発信。70以上の媒体に向けて執筆記事は400本以上、テレビ出演は10回以上、企業向けのレポート制作は300事例を超える。「デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか」の著者。

デンマークの特徴

人口約600万人の小国ながら、2022年と2023年のIMD(国際経営開発研究所)の国際競争力ランキングで世界一になったことが大きな特徴と言えます。(2024年は3位)

この国際競争力は、「経済状況」「政府の効率性」「ビジネス効率性」「インフラ」の4つのカテゴリの総合評価で決まります。ちなみに日本は、2022年34位、2023年35位、2024年38位です。

針貝有佳氏のインタビュー資料、2024年のIMD(国際経営開発研究所)の国際競争力を測る指標

特に「ビジネス効率性」は5年連続世界1位であり、デンマークの強みと言えるでしょう。 IMDはビジネス効率性を、「生産性と効率性」、「労働市場」、「ファイナンス」、「経営プラクティス」、「取り組みと価値観」の5つのカテゴリに分けています。この5分野において世界トップクラスなのです。 また、「幸福度」、「SDGs」、「DX」、「ワークライフバランス」においても世界トップクラスです。

針貝有佳氏のインタビュー資料を元に社長online編集部が作成

ビジネス効率性が高いため、4時に仕事を終えて帰ることができ、ワークライフバランスも実現できています。典型的なデンマーク人の1日のスケジュールは以下のようになっています。

針貝有佳氏のインタビュー資料

デンマークのビジネス効率性(生産性)が高い理由

生産性が高い要因はワークライフバランスを重視し、効率的な働き方を追求した結果です。4時に帰れるような高い生産性になっています。

デンマーク人の思考は、日本人とは異なります。

仕事と私生活のバランスを非常に重視しており、プライベートライフを充実させることで、仕事へのモチベーションと集中力を高めるという考え方が根底にあります。仕事と生活は対立するものではなく、相互に補完し合う関係にあると考えられており、充実した私生活が仕事のパフォーマンスを向上させ、その結果がまた私生活の充実につながるというポジティブな循環を生み出します。

針貝有佳氏のインタビュー資料

「ヒュッゲ」という、心地よさや安らぎを意味する概念を大切にしています。安らぎを感じられるプライベートライフが、仕事への集中力と創造性を高めると考えられています。

■ワークライフバランスを根底とし、デンマークのビジネス効率性(生産性)が高い理由

①無駄の排除と優先順位

②ワークライフバランスを支える制度

③カジュアルな職場環境

④フラットな人間関係とマクロマネジメント

⑤先見の明

 

①無駄の排除と優先順位

会議、監修システム、メール、DX規則、タスク、ランチ、確認、人間関係、社交事例、承認手続き、書類、意思決定プロセスなど、あらゆる面で無駄を減らすことに注力しています。これにより、本当に必要な仕事に集中し、生産性を高めることができます。また、自分にとって本当に必要な仕事は何かを明確にし、優先順位を設定することで、無駄な業務を省き、効率的に仕事を進めることができます。

針貝有佳氏のインタビュー資料

②ワークライフバランスを支える制度

フレックスタイム制、在宅ワーク、長期休暇、育児休暇などの制度が整っており、個々のライフスタイルに合わせた働き方を実現できます。特に、年間5週間の有給休暇があり、そのうち3週間は連続で取得することが一般的です。また、育児休暇は夫婦合わせて52週間取得可能で、男性も育児休暇を取得することが一般的です。

針貝有佳氏のインタビュー資料

③カジュアルな職場環境

デンマークの職場は、開放的で風通しが良く、カジュアルな雰囲気であることが特徴です。これは、従業員が良いエネルギーを循環させ、高い生産性を生み出すのに役立つと考えられています。

針貝有佳氏のインタビュー資料

④フラットな人間関係とマクロマネジメント

上下関係が少なく、フラットな人間関係が築かれています。上司は部下を管理するのではなく、サポートする役割を担い、社員が安心して挑戦し、意見を言いやすく、組織全体のイノベーションを促進します。

また、組織運営は信頼に基づいたマクロマネジメントが特徴で、社員に仕事を任せ、失敗を恐れずに挑戦させ、問題があれば皆で解決する姿勢があります。これにより、社員の自主性を尊重し、それぞれの専門性を最大限に活かすことを目的としています。

マクロマネジメントを可能にするためには、組織内で適材適所が実現されている必要があります。デンマークでは、各社員がそれぞれの専門性を活かして働くことができ、それによって高い生産性と競争力を生み出しています。

⑤先見の明

デンマーク人は、常に自分の心の声に耳を傾け、自分が何を求めているかを自覚的に把握しています。さらに、社会や他人が何を求めているか、将来的に何が必要になるかにもアンテナを張り、未来を予測して行動することで、高い生産性を実現しています これらの要素が組み合わさることで、デンマークは労働時間が短くても高い生産性を維持することができ、午後4時退勤というライフスタイルと、ビジネスにおける成功を両立させていると考えられます。

針貝有佳氏のインタビュー資料

実際に現地デンマークで、このような生産性高さが発生する環境を体感し、学ぶことができる視察セミナーをご用意しております。今回は、日本中から経営に熱心な経営者が集まり、船井総研のトップコンサルタントと共にデンマークとドイツを訪問します。詳細は、コチラよりご確認ください。海外企業の視察に参加することが大きな経営の転換点となり、その後飛躍した企業は多数存在します。ブレイクスルーのきっかけとして活用していただけると幸いです。