『エッセンシャル思考』を要約 経営の栄養になる本棚
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2023.04.19
- 成功する社長には読書家が多い。読書家であれば、成功する社長になれるという対偶論法は成り立つかどうか、その判断は読者諸氏に任せるとして、読書は経営者の孤独を癒してくれます。
ゼロから考えるよりも編集された本という媒体は多様な答え、考え方、心持ちなど、必須栄養素を与えてくれます。
読書をしたいけれども、今読むべき1冊が見つからない経営者に向けて不定期で連載予定です。
今回の1冊は、『やりたいことは多いけれども、時間がない』と考えがちな人に向けて『エッセンシャル思考』を紹介いたします。
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なぜ、経営者は時間が足りないの?
小学生でも知っていることですが、1日は24時間しかありません。
どれだけ睡眠時間を削ったとしても、14時間が働くことの限度。つまり7日間では100時間程度しか人間は働けません(と書いている筆者自身、仮眠1時間で1週間働いた経験もあり、無理すれば160時間は稼働はできるようです)。
週7日休みなく働く社長であったとしても、残業や徹夜しがちな人であったとしても「やりたいことをやる時間がない」と考える社長は多いです。お金で時間を買いたいと嘆く人も少なくありません。
なぜ経営者は、経営に集中したいと思っても、余計な仕事に追われるのでしょうか。
挙げればキリがありません。
そういった事に時間をかけるということは、社長としての思考や判断が必要なリソースが何かに浪費されています。振り回され続ける社長は、経営者というトップでありながら、自分自身のコントロールが利かない瞬間が増えてきます。
そういった煩雑なことに巻き込まれることまで含めて「社長の仕事」という人も少なくありません。
ですが、それは現状維持の結末なのです。
新たな思考を手に入れよう
今回、時間の使い方が不得手で、時間が足りないという不幸な感情に苛まれがちな人へ向けた考え方が『エッセンシャル思考』です。
本書を一言で紹介するなれば「やるべきことを見極め、やらないことは上手にNOと伝えよ」という内容になっています。
やらなければいけないことに追われ、やらなくてもいいことをやる経営者は赤点です。経営者にとっては「経営」に集中させてくれない問題・課題・仕事に追われているという状況。それを理解しなんとかしたいと感じることが、「やりたいことをやる時間がない」という考えに至るのです。
その状況から脱却するためには、
(A案)とにかくたくさん働いて、経営の時間を増やす
(B案)タイムマシーンを開発し、一人は余計な業務をこなし、一人は経営を行う
(C案)他の仕事はバサッと切り捨てて、経営の時間に集中する
の3案ぐらいでしょうか。
Aはあなたを疲れさせて、B案はそもそも未来頼み……。
経営に集中するために、出社後すぐに全ての仕事に手をつけるのでなく、『優先度を立てて、戦略立ててやることを決めていく』こと。
エッセンシャルに選んで行動するためには、まずは社長としてやるべきものなのか取捨選択をし始めましょう。
断り方の定義
経営に関係がない業務と経営者にしかできない業務。その振り分けは、きっとあなたにもできるはずです。
次は、新たに発生する経営とは関係がない業務から脱出しましょう。
「社長、これやっていただいてもいいですか?」
と相談を受けた時に、まずは相談者や別の人でもできる仕事ではないのかとあなた自身が判断するのです。
中小企業の組織形態のあるある話ですが、社長はなんでもできるジョーカーカードであったり、最後は社長がなんとかするというゴールキーパーとしてスター的な人材だったりします。
しかし、それはスターのプレイヤー(社員)としての立場であって、監督としての仕事ではないのです。経営者という監督は、あくまでその仕事が誰に向いているのか、フィールドの中で考えることなのです。
たとえ輝く満塁タイミングであっても、監督は本来代打に出られません。ベストなシュートのタイミングであってもフィールドの外で選手を信じるのが監督の立ち位置です。社員の期待に応えることは、一時の解決になれど長期的な課題解決にはつながりません。
では、「これは社長の仕事じゃないから自分でやって」と突き放すのが良いかというと、そうではありません。社員との信頼関係は簡単に損なわれます。
NOではなく、ThinkからDO・ITを促していく形が大事です。伝え方は、社長のキャラクターもあるため一例として紹介します。
Q:社長に仕事が振られたが、経営に集中できない内容だった場合
A:「君はどうしたら良いと思うかい?」と聞いてみることで、相手に考える癖をつける。
「全部報告するのではなく、要点・結論からまずは話して欲しい」とアドバイスをして、相手に情報の取捨選択を求める。
「君自身でやってみたらどうだろうか。フォローはするから」と言って相手の自立を促す。
最後は、「この前も信頼できる仕事をしてくれたから、任せたい」と、期待値とのセットで部下の成長を促しましょう。
100ある今の仕事を全て部下ができるということは決してありません。ですが、10あるいは20と、だんだんと部下達はできること、考えられることの範囲が拡大していきます。
部下に任せないことは、成長のチャンスを奪っていると思うことが大切です。
ルーティンを活用して空白の時間を作ろう
経営に集中して脳を活発に使っている時間と異なり、朝の身だしなみの最中や家からオフィスまでの移動というのは脳は休んでいると言われています。
その違いは「ルーティン」になっているかどうかです。このルーティンというのは、使いこなすと都合の良い仕事が可能となります。
例えば、電話で何かの商品を購入を則す「テレアポ業務」。ウチにはもうあるからいらない、いらない電話をかけてくるな!など度々お叱りを受けることもあります。はじめてこの業務に携わると、どうしたら怒られないか。辛い思いをしたくないなと考えながら仕事をします。
しかし、件数が増えてくると「そろそろ叱られるかも」「よかった、そんなに叱られなかったぞ」なんてポジティブに考えながら仕事をするようになっていきます。そこには、ルーティンによるストレス耐性が生まれているのです。
もちろん世の中にある50%近くの事象は、想像通りには進みません。想像通りに進まないところに脳のパワーを使い、自分にしかできないしごとで淡々と行える仕事は、毎回ゼロからはじめるのではなくルーティンを使い開いている時間を捻出していきましょう。
経営者として働ける残り時間は何時間ですか?
働ける時間は有限であると伝えましたが、経営者としての寿命もまた有限です。75歳まで経営者として働くと仮定しましょう。
で計算できます。
40歳であれば あと 8750日
50歳であれば あと 6250日
60歳であれば あと 3750日
71歳であれば たった 1000日
意外と少なく感じませんか?
これに経営へと集中できている時間をかけてみてください。60歳のあなたが経営に集中できる時間がたった1時間しかなければ、3750時間しか捻出できません。
逆にたとえ、71歳であったとしても4時間も経営に集中できれば4000時間も仕事へと向き合うことができます。
まずは必要なエッセンシャルな仕事に集中する癖をつけ、時に人に任せる。そしてどうしても作業しなければいけないことの一部はルーティン化する。そうしてはじめて、今日は仕事を全部やれた!と自信を持って言える日がやってきます。