顧客離れ、信用失墜も ネットの誹謗中傷対策を考える
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2024.11.26
- インターネット上の誹謗中傷が深刻な社会問題となっています。
ひとたび炎上すると、企業イメージダウンや社会的信用の失墜など大きな損失を被ることになります。
しかし、どこか他人事のように感じている方も多いのではないでしょうか。
ネット上の風評被害・誹謗中傷対策事業などを運営する株式会社BLITZ Marketing(ブリッツマーケティング)の代表取締役社長・吉原 教一郎氏にお話しをうかがいました。
吉原氏は「今の時代、会社として存在していること自体がリスク」だと言います。
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ブリッツマーケティングはネット上の誹謗中傷対策ツール「AIブランドモニター」を開発。「日本中小企業大賞2023」において「働き方改革 優秀賞」を受賞しました。 同賞の受賞理由は「ツールによって多くの企業がネット上の誹謗中傷対策に費やしていた時間の削減が実現できるようになった」でした。多くの企業がネット上のトラブルに対して懸念を深め、その対策にたくさんの時間を割いている現実が浮かび上がりました。
企業は「いつ石を投げられてもおかしくない」
◆ネットの誹謗中傷はなぜ起きるのか。いま企業が置かれている状況とは
━━問題の根幹にはSNSの発展があります。誰もが気軽に自分の意見や思いを投稿できるようになった反面、匿名性が保証されているため、ネガティブな発言もしやすい環境が生まれました。そして、企業や個人で活躍されている方の「特定」が容易になりました。
つまり、火をつけやすい状況なのです。ネットの誹謗中傷が起こりやすくなっているのが昨今です。
企業は存在を隠さず常に堂々としていなければいけません。ホームページを作り、住所や電話番号、代表の名前や顔も表に出しています。極端な話「いつ石を投げられてもおかしくない状態」にあると言えます。
顧客や内部の人間が抱えていた不平不満が匿名の立場になることによって爆発するケースもあります。そこからさらに誤解や誤情報が伝播していきます。
経営者の皆さまには、企業側は常にハンデを背負っている状態に置かれていると自覚していただきたいです。
真実は不明なのに…
◆実際に誹謗中傷を受けた企業からの相談内容
━━かつては、「ネットで叩かれる」のは個人の方が多く、私たちへの相談も個人から寄せられるのがほとんどでした。もちろん今でも個人からの相談はありますが、企業からの相談が増えており、増え続けているのが現状です。
企業からの相談内容は大きく分けて3つあります。
①検索結果で出てくるネガティブなワードや情報の対策 (検索キーワードを入力した際に予測変換で出てくる「株式会社●● ブラック」など)
②ネガティブな口コミの対策 (Googleマップに書かれているネガティブな口コミ)
③誹謗中傷対策 (昨今、被害を未然に防ぐため③の相談が増えている)
実際、以下のような誹謗中傷が起きています。
・A飲食店「●●がまずい」→店を貶める書き込み
・B病院「メガネをかけた●歳ぐらいの女性の対応が気に入らなかった」→具体的な人物が特定できるような書き込み
・C社「残業を●時間させられた」「仕事内容が入社の時と違った」→転職口コミサイトで退職したとみられる人物からの書き込み
大きな問題は、第3者が口コミサイトなどから得られる情報は一方からのものだけだという点です。「残業を●時間」と書かれたとしても、本当に残業が多かったのか、その人物だけ仕事が終わらず勝手に残業したのか、真実は不明です。また、かつて残業が多かったが現在は改善しているケースもあるでしょう。
しかし、世の中から見える情報は「C社は社員に長時間の残業を強いる会社」だということです。そして、私たちに寄せられる誹謗中傷に関するご相談は「不当な書き込み」であるケースが圧倒的に多いのが現状です。
不動産審査、銀行融資などにも影響
◆誹謗中傷されたことによる企業への影響
━━飲食店などからは「顧客が減った」との声も聞かれますが、「ネガティブな情報がある会社」ということ自体がリスクになっています。
不動産審査や銀行融資の際、自社に対する誹謗中傷の種が目立つところにあればその理由を聞かれますし、実際に審査が通らなかった企業も存在します。ある企業は上場審査の際、「取引先がネット上にネガティブな情報が流れている」との指摘を受けたと言います。そのため付き合いのあった会社との取引を打ち切らざるを得なかったとの話も聞きました。
AIが24時間、誹謗中傷を監視するシステムを開発
◆AIブランドモニターが誕生した経緯
━━このように企業が事務所を借りる際の不動産審査や融資を受ける際の審査でネット上の風評がチェックされる時代になっています。私たちの会社も銀行との面談やオフィス移転の際に、自社のネット上の情報をクリアにしておく必要があると考えました。
しかし、ネットの膨大な情報の中から人力で探すのは非常に手間がかかります。AIでスクリーニングできるようにしたいと開発したのが、日本中小企業大賞受賞のきっかけとなった「AIブランドモニター」でした。
風評被害対策に多大な労力がかかる課題は他社も同じだと感じ、AIブランドモニターの改良を重ね、最終的に検索結果やSNS、口コミサイトなどの情報をAIが収集できるようにしました。
◆AIブランドモニターの活用事例
━━ネットの誹謗中傷は火事と同様に火が小さければ消しやすく、周りに燃え移って炎上するほど鎮めるのに時間がかかります。
AIブランドモニターは、誹謗中傷の火種が小さいうちに適切な対策が取れるよう、情報をキャッチアップするためのツールとして活用することができます。
登録した企業名に関する評判や情報を24時間365日、AIに監視させてネガティブな投稿や書き込みが生まれた瞬間に見つけることが可能です。また、投稿チェッカーツールを使うと、AIがSNSへの投稿文などから炎上するリスクを判定し、事前に危機を察知できる機能なども搭載しています。
ツールのメリットはリスク管理だけではありません。導入することで自社の情報をキャッチアップしている担当者の人件費分が賄えます。本来かかっていた時間を他の業務に充てられ、働き方改革や業務効率化につながることが期待できます。
導入した企業からは、「自社の情報を収集する工数が必要なくなった」「ネットのパトロールができるようになった」といった声が聞かれます。
明日はあなたの会社の番かもしれません
◆中小企業の経営者だからこそ意識しておかなければいけないこと
━━今の時代、会社として存在している時点で一定のリスクを背負っていることを自覚してください。
次に石をぶつけられる番が来るのは誰なのか。もしかしたら明日は、あなたの会社が誹謗中傷のターゲットにされる可能性も十分にあり得るのです。
実際に「火のないところに煙が立つ」といったレベルで誹謗中傷は起きています。
逆に会社が何か一つでも隙を晒してしまったり、失敗をしてしまったりした場合、それが大きく取り上げられ、一気に伝播し、最終的には信用を失い、顧客離れにもつながりかねません。
十年前にはそれほど影響が出なかったようなミスでさえ、上場企業なら株価にも影響を及ぼすほどの取り上げられ方をされる時代になっているのです。同じレベルの失敗でも今と昔では、信用の失い方が全く違います。
経営者の皆さまには、企業にはそのようなリスクが常に付きまとっていると意識していただき、リスクが顕在化する前に対策が打てる部分はある程度、準備しておくことを勧めます。
顧問弁護士と相談し、炎上など最悪のケースが起きてしまった場合に何をすべきかあらかじめ決めおく、私たちのようなネットの誹謗中傷対策業者に相談し事前に備えておくなど、先行して対策をしておく必要があります。