書籍制作の流れとは?自費出版における原稿執筆から出版、流通まで各工程を解説
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2024.08.08
書籍を作りたいと思ったら最初に知っておきたいのは、本が出来上がるまでの工程とそれにかかる期間です。本づくりには時間がかかるため、企画を考え始めてから印刷・製本が完了するまで少なくとも4~5カ月はかかります。
本を作る際には「企画立案」「原稿作成」「編集と校正」「表紙や装丁の制作」「印刷・製本」といった、さまざまな工程があります。それぞれの工程で著者とその分野のプロフェッショナルが関わりながら制作を進めるという共同作業になってきます。
そこで今回は、各工程でどんな作業を行うのかを解説していきます。本づくりの一連の流れを把握することで、より具体的なイメージが持ちやすくなります。
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書籍出版の基本的な流れ
商業出版であれ自費出版であれ、書籍制作の流れは基本的に同じです。
まず、どんなテーマで本を書くかを検討する「企画」、そして実際に文章を書く「原稿執筆」と続きます。その後、誤字脱字や整合性を確認する「編集」があり、本文内のレイアウトや表紙、カバーの「デザイン」があります。
本文と表紙が揃い、本の元データが出来上がったら「印刷・製本」に入ります。モノとしての本が完成したら書店販売に向けての「流通」となります。
原稿執筆と編集、デザインなど、一部は並行して作業することもありますが、基本的にはこのような流れで書籍制作は進んでいきます。
出版企画の立案
書籍づくりの第一歩として、はじめに書籍の企画を検討します。「どんな内容の本にするのか」「誰に読んで欲しいのか」「この本はどんな役割を持つのか」これらを明確に言語化し企画書にしておくと、方向性を見失うことなく制作を進めることができます。
出版したい内容が決まっている場合とそうでない場合では、企画時点で考えなくてはいけないことが少し異なります。
【出版したい内容が決まっている場合】
出版したい内容がすでに決まっている場合は、それをどのように具体化するかを考えることから始めていきます。専門書であれば専門用語の解説を付けた方がいいでしょうし、社史であれば創業から現在までのページ構成を検討します。また、原稿作成の際にどのような資料や情報が必要になるかをリストアップし、事前に準備することも重要です。
【出版したい内容が決まっていない場合】
内容は決めていないけれど、書籍を出すことで得られる効果のために、書籍を出版するというケースもあります。例えば、企業PRを目的とするのなら、企業のビジョンや経営理念、成功事例や取り組んでいる活動などを詳しく取り上げる必要があります。変わった人事評価制度を採用しているのであれば、それを目立たせてもいいでしょう。
専門家として市場で優位に立ちたいのであれば、その業界に関する専門知識を主軸にした書籍を出版するのが効果的です。このように、得たい効果から逆算して、どのような企画を立てるべきかを検討することが重要になります。
原稿執筆
企画書の内容に沿って本文を執筆していきます。執筆方法は手書きでもパソコンでもなんでも構いません。スマホのメモ帳に原稿を書いているという作家もいます。文章のほかに掲載する図表や写真、イラストなどがあるのであれば、それも準備しておきましょう。
経営者や社長、有名タレント、アスリートなど、自分で原稿を書く時間がないという人は、プロのライターに原稿執筆を依頼します。ライターが著者に対して複数回取材を行い、その情報をもとに原稿を書き上げます。執筆のプロに依頼することで原稿の品質も上がりますし、なにより少ない労力で本を書くことができるので、忙しい方にはおすすめです。
原稿執筆時に注意するポイント
- 読者に適した語彙、表現を選ぶこと
- 信頼性のある資料やデータを使用すること
- ビジネス書やノンフィクションの場合、事実でないことは書かない
編集
編集には大きく2つの役割があります。1つは、書き上げた原稿の誤字脱字の修正や、表現方法のチェックなど、より読みやすい文章にするための作業。そしてもう1つが、表紙のデザインや判型(サイズ)、ページ数、レイアウトなどを決め、デザイナーへの依頼・印刷所への発注など、本が出来上がる過程の全体指揮を執ることです。
プロの編集者に編集を依頼すると、文章の品質は各段に向上します。第三者の目を通すことで、著者では気が付かなかった文章の矛盾や、違和感を洗い出すことができます。場合によっては文章の流れや構成の改善も指摘してくれるので、読者にとって読みやすい文章にすることができます。
出版社を通じて自費出版をする場合には、担当編集者がつき、この編集作業を行ってくれることもあります。ただ、安価に自費出版を請け負っている出版社では、文章の編集までは行わず、著者が出した原稿をそのまま印刷するという会社もあります。
校正
校正とは、書かれた文章をチェックし、誤字脱字や文法ミスを修正する作業です。編集段階でも見つけた誤字脱字を修正しますが、より詳細に文章をチェックしていきます。例えば、年月日を表示する際に、一方では西暦で書かれていたのに、別の個所では元号で書かれている、といったミスを見つけ出すというものです。
一文ごとの誤字脱字チェックもさることながら、文章全体で一貫性が取れているかを確認することも、校正の重要な役割です。同じ言葉が何度も繰り返されていないか、主語と述語の関係は正しいか、といった点をチェックします。
カバー、装丁のデザイン
原稿の編集と同時並行で行われることが多いのが、カバーや装丁のデザインです。タイトルの大きさや書体、カバーに使う写真やイラストなど、カバーのデザインで本の印象は大きく変わります。もちろん自費出版であればカバーデザインも著者の自由にできますが、品質を高めたいのであればプロのデザイナーに依頼するのがおすすめです。
企業の周年記念に配る社史などであれば、その社史を入れる箱「外函(そとばこ)」を作ることもあります。
印刷・製本、完成
校了した原稿やカバーデザインのデータを印刷所に送ったら、まずは色味をチェックするための「色校」が送られてくるので、それで問題がなければ本格的に印刷が始まります。
印刷にはいくつかの手法がありますが、1000部以上印刷するのであれば「オフセット印刷」が主流です。アルミニウムなどで刷版を作り、それをもとに紙に印刷する方法です。100~300部などの小ロットだと、刷版を作ると割高になってしまうので「デジタル印刷」が使われます。通常のコピー機のように、デジタルデータを機器に送って直接紙に印刷する方式です。
印刷が完了したら、製本作業に入ります。紙を重ねて本の形に整えて綴じて、完成となります。印刷から製本まで、約2~3週間程度です。
書店への流通
出来上がった書籍を書店で買えるようにするためには、出版特有の流通ルートを利用することが必要になります。書店を出版社から全国各地に届けているのは、「取次会社」と呼ばれる会社です。
取次会社に本を運搬してもらうには、その取次会社と取引のある出版社から本が発刊されなくてはいけません。つまり、全国の書店で買えるような本を作りたければ、該当する出版社から本を出す必要があります。
小さな出版社だと取次会社と取引をしていない可能性もあるので、作った本を書店に並べたいのであれば、まずはその出版社に取引会社との契約があるかについて、確認しておきましょう。
広告・宣伝
出版された本を少しでも多くの人に読んでもらいたいのであれば、自ら積極的に広告・宣伝活動をするのがおすすめです。周囲の人にAmazonでの購入を勧めたり、自社サイトで告知などもいいでしょう。
自費出版にかかる費用はどれぐらい?
自費出版で本を作る場合、依頼する出版社や、本の大きさ、ページ数、使用する紙の品質などによって大きく異なります。
出版社と契約して自費出版をするのであれば、小規模出版社で300万円~。誰もが知っているような大手出版社だと800万~1000万円以上になることもあり、そもそも自費出版を受け付けていない出版社もあります。
書店で買えなくてもよいというのであれば、製作費と印刷費用だけでよいので、100万円ほどで出来ることもあります。
まとめ
ここまで、企画してから納品、そして広告宣伝まで、一般的な書籍制作の流れをご紹介しました。商業出版でも自費出版でもこの流れに大きな差はありません。
ただし、出版社が主導で進めていく商業出版と違って、自費出版では著者が担う工程が多いので、負担が大きくなりがちです。特に、執筆作業をしながら、編集作業やイラストレーターへの発注、印刷までのスケジュール管理をするとなると、慣れていないと非常に負荷が大きく、すべてを自分でやるとなるとスケジュールが崩れてしまいがちです。
それぞれの工程をもっと楽に進めたい、プロの編集者に編集作業を取り仕切ってほしい、という人は、プロの編集者が複数在籍している、船井総合研究所「社長の書籍出版プロデュース」事業部にぜひご相談ください。 せっかくお金をかけて本を作るのですから、プロの手を借りて品質の良い本を作ることをおすすめします。