営業/マーケ採用/人材社長経営戦略経営用語集財務/資金調達

【限定公開】アメリカ景気後退に備える、今すぐ取り組むべき経営戦略

2023.02.10
新型コロナウイルス感染拡大に伴う不況期を前に、企業のトップは今何をするべきか。リーマン・ショックも乗り越えたコンサルタントが、「不況期に取り組むべき経営戦略」の要諦をお伝えいたします。


以下テキストは、経営者向け優良情報サービス『社長online』の情報テキストになります。月々1,650円で成功事例や新たなビジネスフレームを学べるので、是非加入を検討してみてください。

今回の新型コロナウイルス感染の世界的拡大は、中国などの一部エリアでは勢いに衰えが見られ始めているという見方はあるものの、今なお、多くの地域では拡大傾向が続いています。日本においては緊急事態宣言が出され、これからも市民生活や経済において甚大な被害が出るでしょう。

こうした背景と経済の先行き不安を受け、世界の金融市場も大きく動揺しています。こうした市況を鑑みるに、これから本格的な不況期に入っていくことはほぼ確実でしょう。これから起こりうる未来に対して、経営者の皆様は十分な準備を先んじて進めておくことが不可欠です。

私は船井総合研究所のコンサルタントの1人として、リーマン・ショックも経験してきました。今回は、そうした中で船井総研が集合知として培ってきたポイントを、不況期の経営戦略と題してお伝えできたらと思います。

不況期にお客様にお伝えしてきたこと


不況期は、目の前の危機を乗り越えるための短期施策が最優先ですが、会社の未来を描くための絶好の好機でもあります。不況期の経営戦略として参考とすべきは、世界的な不況であったリーマン・ショック下での取り組みです。はじめに当時の船井総研の提案の要旨を、営業戦略、販促戦略、事業戦略、財務戦略、マネジメント戦略の順にお伝えいたします。

第一の営業戦略では、一番企業への売上が集中するため、ブランド力が重要な時代になります。裏を返すと、固定客ではない流動客の取り込みが可能で、お客様のスイッチが起こりやすいため、全員営業に徹することで、一気にシェアアップを実現することも可能です。

第二の販促戦略として、販促の訴求として早割の効果が薄くなり、新規客の開拓が困難となるため、固定客化の重要性が高まります。自社の現在のお客様を徹底的に固定客化することが求められるようになるため、目の前のお客様への真摯な対応が重要となります。

第三の事業戦略については、新規事業を実施する新商品開発に取り組むことが挙げられます。好況期と比べて不況期は、仕事がない分社内もお客様も時間に余裕がある点が特徴です。だからこそ、あえて新規の取り組みを仕込んでおくことで、次の好景気の稼ぎ頭を育成する好機とも考えられるのです。

第四の財務戦略に関して。これは、徹底したキャッシュフロー経営に取り組むことです。月商の3か月分くらいの手元資金を確保、借りられるだけ借りておく、公的な補助金を活用する等、当座の資金繰りの対策に取り組むようにしてください。さらに、原価も改めて見直し引き下げることで、高い生産性を維持するようにしてください。

第五のマネジメント戦略では、一体化の重要性と有能人材の採用がポイントとなります。上記の施策を確実に実践するためにも、新しいことにチャレンジする社風や風通しの良い社風が不可欠です。ただし、従業員全員がリーダーとして立ち向かえる組織作りが行いやすい点、好景気時ならば採用困難な優秀な人材が市場に出回り採用可能となる点など、好機とできる点も少なくありません。

経営者には優れた経営判断が常に求められます。『社長online』では特に伸びている企業や、優れた企業をメインに取り扱っています。

 

「ハイイメージ付き大衆商法」と「既存顧客向けのリピート喚起」「一番化戦略」の推進を


これらのポイントを踏まえて、具体的に不況期に取り組むべき打ち手を3つのポイントとして整理していきます。

第一のポイントは「お客様の消費行動に即したマーケティング」を実施することです。不況期のお客様の特徴として、実際の所得と消費行動にズレが生まれるというものがあります。高所得者は中所得者のような消費行動をとり、中所得者は低所得者のような消費行動をとるようになり、それぞれ一段消費行動のレベルが下がってきます。

これは、将来への不安感から消費者の財布の紐が固くなることに起因するわけですが、こうした変化を受けてお客様に選ばれる業態も変わってくる点が見逃せません。そうした場合の視点として重要なのが、低価格ではあるものの高付加価値な業態です。

船井総研では、こうしたモデルを「ハイイメージ付き大衆商法」と呼んでいます。また、一般的には新規顧客の獲得の難易度が高まるため、既存顧客向けのマーケティングを強化する必要性が高まります。一方で消費者心理は失敗したくないという心理が強まるため、需要は一番企業に集中する傾向が顕著になります。

そのため、どんな小さな分野でも良いので一番を作る「一番化戦略」の重要度が高まります。船井総研の提案するビジネスモデルでは、ハイクオリティの家族葬を大衆価格にて提供する「プレミアムコンパクト葬」などがその代表例でしょう。



価値/価格を意識したコストパフォーマンスが明らかな商品戦略・価格戦略を設計する


不況期に取り組むべき打ち手の第二のポイントは、「お客様のシビアな要求に応える商品戦略」です。特にBtoBの現場では顕著なポイントですが、不況期においては売れる商品が限られます。端的に言えば、コストパフォーマンスの良さが明らかな商品、確実に売上の上がる商品や集客ができる商品、確実にコストが下がる商品などが挙げられるでしょう。

ただ単に便利、やったほうが良い、満足度が挙がるといった定性的な訴求ポイントでは、受注率は顕著に下がってしまいます。好況期以上にはっきりと投資対効果が求められるようになるため、経営効果がしっかりと現れる商品やP/LやB/Sにインパクトの出る商品を作りこむ必要があります。


そうした商品を、実際の導入先の数字・実績も含めて見える化することで、シビアになるお客様の要求に応える準備を進めることが肝要です。ぜいたく品は売れにくくなるため、基本性能をよりシンプルなものへと見直していくようにしてください。そして、企業の姿勢や考え方を積極的に発信し、その背景にある質に対する信頼を確保するように心がけてください。

第三のポイントは「価格」です。目を背けがちながら利益確保のためにそもそも避けて通れないテーマの1つです。そして、本来であればあまり価格では勝負したくないところですが、不況期においてはこのテーマと正面から向き合う必要が出てきます。


ポイントは、安易な値下げに逃げるのではなく、しっかりとした「安さ感」を出しつつ、収益を確保していく設計図を作りあげることです。目安としては、差別化の数字を加味して質を落とさず好景気の60~80%の価格帯の設定を目標としてください。


こうした視点を踏まえ、リーマン・ショック期に大きく飛躍したものの代表的なビジネスモデルが「軽39.8万円専門店」です。これは、車両販売価格は圧倒的な安値に価格設定し、その分メンテナンスやアフターサポートで収益を確保する、粗利ミックス設計のモデルです。


単に安値の設定を行うのではなく、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を高めつつ、お客様にも利するビジネスモデルである点がポイントです。

冒頭でもお伝えしましたが、今回の新型コロナウイルスは一定の解決をみるまでにはしばらく時間を要するでしょうし、世界の金融の動向も予断を許さない状況です。

短期としては、当座の資金繰りを金融機関と相談することが最優先です。その上で今回の施策も加味しながら、プラス発想で然るべき対策を進めていただけたらと思います。

船井総研の創業者、船井幸雄は「トップで99.9%決まる」と常々語っておりましたが、こうした危機にこそ、トップがポジティブ発想プラス発想で常にことに臨むこと。そして、トップが誰よりも元気であることが大切といえるのではないでしょうか。



経営者向け優良情報サービス『社長online』では他にも、コロナ禍で伸びる企業の事例紹介や、補助金に関するコラムなど掲載しております。是非ご活用ください。