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成功は経営者の視座・視野・視点にかかっている

2025.06.22
会社経営は経営者自身の変化がダイレクトに反映されます。人間は現状を維持しようとする恒常性があるため、自分ひとりでの変化は難しく、身を置く環境、関わる人を上手に活用するのが成功者の共通点です。会社の成長を左右する重要な要素である経営者の「器」。成長の天井を阻まず、ビジョンの実現をするために必要なポイントを解説します。

競争激化で選ばれる会社とは

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人手不足が深刻化し、生き残りをかけて競争が激化する現代において、企業経営は容易ではありません。私がコンサルティングをしている治療院業界も例外ではなく、全国5万院を超え、コンビニの数に迫るなど、供給過多の厳しい環境に置かれています。

その結果、顧客から本当に必要とされる治療院が生き残っていく時代に突入しています。これは、単に技術が高いだけでなく、顧客にとって利用しやすく継続して通院できる環境を整えること、そしてそれを支える組織体制と経営戦略が求められます。

継続した成長を遂げるには、生産性を上げるだけではなく、経営者の役割が非常に大きいのです。

成功は経営者の視座・視野・視点にかかっている

AIで生成

成功している経営者は、高いビジョンを持ち、それを言語化し、発信・共有することで周囲を巻き込む人間力を持っています。

ビジョンの設定は、経営のゴールを明確にすること。例えるなら、どの山を登るのかを考えるのと似ており、登る山によって必要な装備や期間、ルートも変わります。

経営者がいかに、視座・視野・視点を高く持っているかが、会社の成功に直結するため、大切なのは「師と友作り」や「モデル探し」です。

自分ひとりでビジョン設定や、そこから逆算した行動を取れる人は多くありません。実現しやすい環境に身を置くことで、成功確率が上がります。

特にモデルとなる企業を視察し、ベンチマークすることは、以下のようなメリットがあります。
1. 熱量と情報の獲得
2. 経営者自身の価値観の変化
3. 会社(組織)の変化
4. 現状打破のきっかけ
5. 視野・視点・視座の向上
経営者自身が変わらなければ、会社も変わりません。逆に、ご自身が変われば会社全体の変化につながります。

現状を変えたい、変える必要があると思いつつ、行動に移せていない場合でも「百聞は一見に如かず」。うまくいっている同業他社や地域で活躍している企業の視察をして、色々な意味でショックを受けることで現状打破のきっかけになるでしょう。

避けては通れない人間力

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いかに崇高なビジョンを掲げ、高い視野・視座・視点を持っていたとしても、現場を支える従業員がついて来ないならば、机上の空論に終わります。

ビジョンの実現には、巻き込む人間力や人徳が欠かせません。

成功している経営者は、組織のビジョンと従業員個人のビジョンを重ね合わせられるように考え、サポートする視点を持っています。

これには、権限移譲を適切に行なうことが重要になります。ポイントは2つあり、1つめは「相手に適した接し方(言葉/マネジメント等)ができているか」、2つめは「待てるかどうか」

1人ひとり、価値観や個性は異なります。多様性を理解したうえで対応を変えることが求められるのです。そして「桃栗三年柿八年」とも言いますが、成長スピードもさまざま。対応方法を変えたり、リソースの注ぎ方や優先順位付けを意識的にすることがポイントです。

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また、成功している経営者に共通する性格は「素直さ」「勉強好き」「行動力」が挙げられます。

常に学び続ける姿勢を持ち、物事をまっすぐに受け止められる心を持つことで、自身の可能性を広げ、外部環境の変化にも適応できるのです。

さらに、新たに得た知識を「考え中」のステータスで終わらせることなく、実際に行動に移し、試行回数を多くすることで確率が少しずつ変わります。

行動には失敗が付きもの。いかに早く立ち直り、再び行動を起こせるかが、成功のカギと言えるでしょう。

なお、これらを支えるのは「心身ともに健康であること」を忘れてはいけません。健康であることは、何よりの財産です。長く経営を続け、走り続けるために一番重要な要素です。

生産性向上、話はそれからだ

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経営者の理想の状態は、人によってさまざまです。多角化、多店舗展開、業績アップ、地域1番など、いずれにも共通して言えるのは「生産性を上げること」。これは本業の収益性を高めることとも言えます。

株式会社船井総合研究所では、他社と自社との差別化を図り、収益を増やすにあたり「差別化の8要素」というマーケティングの考え方を重視しています。

船井流「差別化の8要素

立地、規模、ブランド力は「戦略的差別化要素」としており、簡単に変えることができないものです。

一方で、商品力、販促力、接客力、価格力、固定客化力は「戦術的差別化要素」として、比較的変えやすく、自社の商品やサービスと照らし合わせて振り返っていただきたいです。

そして、得られた利益は、人的資本経営(人への投資)に充てるべきです。

多くの業界で慢性的な人材不足が起こっています。特に、サービスの質が「人」に大きく依存するビジネスにおいては、人への投資ができているかが重要です。

従業員の待遇・労働環境改善や教育に投資することを惜しむと、離職率が上がり、まるでバケツの穴が空き続ける状態に陥ります。これでは、より水(=人材)を入れる必要があり、本質的な課題解決とはなりません。

人材の採用と育成は、会社の持続的な成長に不可欠ですが、人的資本経営をする以前に、まずは生産性・業績アップによって利益を上げることです。