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「ドレッシングで100億」ピエトロ成長の柱は「商品」と「人」

2025.01.01
株式会社ピエトロは、福岡県福岡市に本社を置く食品メーカーです。1980年に創業し、2002年4月16日に東京証券取引所市場第二部 に上場、2015年12月には東京証券取引所市場第一部へ市場変更し、現在では、東証スタンダードに上場しています。主力商品はドレッシング、パスタソース等で、そのほかにもスパゲティ専門店「洋麺屋ピエトロ」も運営しています。同社は2024年3月期、売上100億円に達しました(連結)。そこに至るまでの変遷をお届けします。

スパゲティ専門店の「サラダにかけるドレッシング」が大ヒット

ピエトロは1980年、福岡県福岡市天神で36席の小さなスパゲティ専門店として創業しました。

創業店の「洋麺屋ピエトロ」の写真

当時、スパゲティといえばナポリタンやミートソースなど「赤いソース」が主流でしたが、ピエトロは明太子や高菜、納豆など和の素材をアレンジした新しいスパゲティを提供することで、新たな食文化の提案を目指しました。
当時は効率を重視し麺は先にゆでておく形が一般的だったのを、ゆでたてのパスタを提供するために、注文を受けてから麺をゆでる調理スタイルを採用。

料理を提供するまでに10分ほど時間がかかってしまうため、それまでの間に食べてもらえるものとしてサラダを出すことにしました。

サラダに使用していたドレッシングがお客から好評を博したことが、今の事業の礎となっています。

ピエトロの看板商品、ピエトロドレッシング

それまでの一般的な酸味の強いドレッシングではなく、醤油を使用したまろやかな味のものだったことが、新しいかつおいしいものとして受け入れられ、提供から1年後には行列のできる人気店に成長しました。
「次第にお客様がお店にいらっしゃって、『ここのドレッシングだとうちの家族が野菜を食べるので、ぜひ分けてほしい』と言われるようになりました。

当時は容器がなかったので、ワインの空き瓶などに入れてお渡ししていましたが、提供する回数が増えてきたので、これも事業になるのかもしれないと専用のボトルを用意したところ、おかげさまで口コミによりドレッシングの購入者の数が広がっていきました」

ピエトロの代表取締役社長、高橋泰行氏は語ります。

株式会社ピエトロ 代表取締役社長、高橋泰行氏


「サービスの一環で開始したドレッシング事業が『街のレストラン』から大きく飛躍するきっかけとなり、現在ではドレッシング事業が売上全体の4分の3を占めるまでに成長しています。

ドレッシングの製造は工場で行っていますが、私たちは工場を『大きな厨房』と呼び、レストランと同じように手作りの過程を大事にしています。

1日に約2万個の国産たまねぎを1つずつ人の手で切り、味のばらつきが出やすい巨大なタンクではなく、寸胴鍋で製造しています。“効率よく一度にたくさんつくる”のではなく“少しずつをたくさんつくる”それが規模の拡大した今でも、大事なことは変えずに行っていることです」

ピエトロの工場の様子

ピエトロの「経営基本方針」。大切にしているのは「感謝」と「自社だからこそ」
ドレッシングを主力商品に大きく成長したピエトロの経営基本方針は以下の通りです。

創業者直筆のピエトロの経営基本方針

「自分たちの大切にしていることを言葉にするために、さまざまな会社の経営理念を見て研究したところ『感謝』という言葉が入っているところは多くないと感じていました。

創業者はお客様に感謝することの大切さを常々語っていました。お客様に来ていただくのが当たり前ではないと常々感じていたことから、改めて大事な言葉として方針にも盛り込んだのです。


パスタやドレッシングなどの商品についても、それ自体は以前からあるものですが、工夫して新しいものをつくっていく。うちの会社にしかないオンリーワンのものを提供しようと心掛けています。

そして会社が発展し、成長していくことで、社員の幸せを豊かに実現していくことを会社の理念として考えています。創業者が創業から20周年を迎えた頃に直筆で書いたものを残してくれていますので、その教えを大事にしているところです」

創業者の死去と商品ラインナップの強化

創業から10年ほどで、レストランとドレッシング事業がともに成長し、売上は80億円に達しました。


しかし、2004年頃にデフレの波が押し寄せ、外食産業では低価格競争が激化。大手ファストフードチェーンが激安の商品を販売するなどして「外食は安いもの」という風潮が生まれました。

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