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社長が連帯保証人になることの失敗例を徹底解説

2023.08.03
そもそも社長が連帯保証人になる背景からご説明していきましょう。企業の負債に対する保証をするという重大な役割を果たしてきたのが、社としての代表である社長です。会社の負債の担保として社長が連帯保証人になることは、企業の責任とリスクを明確に体現する一方で、銀行や取引先に対して企業の信用力をアピールする手段でもあります。その背景には企業経営の不測の事態にも対応するためのリスク管理や、新規設立企業などでは資金調達の際の銀行融資への対応があるのです。ここ数年、この保証人外しの動きが活性化しています。今回は、従来の制度状況についての解説をメインに行っていきたいと思います。

企業の信用向上のための連帯保証人

社長個人が連帯保証人になることで、企業への融資や取引における信用力が一層強化されます。企業が連帯保証人として社長を指名することは、万が一、企業が負債を返済できないという最悪の状況になった場合でも、社長がその代わりに全額を支払うという強い意志を示す行為です。これは企業の安定経営への意義深いコミットメントを示すものであり、銀行や取引先からの信頼を得るのに大きな助けとなります。特に新設企業などでは、社長が連帯保証人となることで融資や投資の確保がスムーズに行え、ビジネスの第一歩を踏み出す支えとなるのです。

とくにこの状況となるのは新設企業の場合でしょう。信用履歴が未だ乏しく、融資の際には銀行から高い信用力を求められます。この状況で、社長が連帯保証人になることは、その企業における負債を全うする決意を示す重要な一歩となります。銀行からの融資を得る際や新たな取引を進める際に、社長が連帯保証人となることは、その企業に対する信用を一気に高め事業展開を円滑に進めることが可能となります。キャッシュが融資額と比較して大きくある場合や、融資額が想定よりも小さく個人事業主としての信用情報がある場合などは連帯保証人とされない場合もあります。

しかし、銀行にとってはお金は虎の子。社長自身が最前線でリスクを担うことで、銀行員(あるいは社員たち)への信頼性も向上するとされてきました。まさに、新規設立企業における連帯保証人は信用形成の大切な一環と言われていました。

社長の連帯保証人リスク

社長が連帯保証人となることは、一見普通のことかもしれません。トップとしての社会的責任を果たすため、自社の経営に対する信頼を示す行為として捉えられます。しかし、その裏には大きなリスクが潜んでいるのです。具体的には、財産上のリスク、法律的なリスク、そして信用失墜のリスクがあります。これから詳しく解説していきます。

財産上のリスク

連帯保証人となることで浮かび上がる一つ目のリスクは、財産上のリスクです。連帯保証人は、借主が借金を返済できなくなった場合、すなわち自社が財政的な困難に陥った場合、自身の財産を使って債務の返済をしなければならなくなるのです。これは、社長が私有財産をリスクに晒す意味でも、また社長が退任した後も連帯保証人となり続けた場合、その時点で社長ではなくなっても責任が及ぶという意味でも大きなリスクと言えます。事業が上手くいかなくても自分自身の生活を守るため、連帯保証人のリスクを深く理解することが求められます。

法律的なリスク

次に、法律的なリスクです。法律的なリスクは、主に返済義務に違反することで発生します。違反した場合、民事訴訟の対象となり、さらには破産手続きの対象ともなりかねません。そのような状況になれば、社長自身の信用が問われるばかりでなく、会社の信用も失墜します。また、借り入れを行っている相手が銀行などの金融機関であった場合、その信用情報が悪化し、将来的に必要な追加融資や新たな借り入れが困難になる可能性もあります。社長として、これらの法的リスクを十分に認識し、適切な対応をとることが重要です。健康リスクと合わせて勘案すべき問題でしょう。

信用失墜のリスク

連帯保証人としての返済が困難になった場合、それは自身の信用失墜だけでなく、会社の信用失墜をも意味します。社長の信用失墜は、自社の商品やサービスへの信頼度を減少させる可能性があります。また、企業のイメージを損ない、取引先や投資家との関係性に影響を与えるでしょう。会社の信用を守ることは、破綻を避け、成長を続けていくための最も重要な要素の一つです。社長は、連帯保証人という責任が招く可能性のある信用失墜のリスクに対して、十分に備えることが求められます。

連帯保証人にならないための条件

連帯保証人としての責任は、軽視するべきではありません。そのためには、連帯保証人にならないための条件を見極めることが重要なステップとなります。一度連帯保証人になってしまうと、返済責任が回ってきたときには自己破産という最悪のシナリオも考えられます。あなたの貴重な生活を守るためにも、連帯保証人にならないための条件を抑えておくことが肝心です。

信用力の高い企業であること

企業の信用力は連帯保証人にならないための大きな要素の一つです。信用力の高い企業とは、その企業の信用状況や財務状況が良好で、安定した収益を上げている企業を指します。これらの企業は借入が発生しても返済できる可能性が高いのです。具体的なチェックポイントは財務諸表の確認、借入金利の比較、債務比率のチェックなどです。これらが安定していれば企業の信用力が高いと評価できます。信用力の高い企業と契約することで、結果的に連帯保証人のリスクを避けることが可能となります。

すでに事業を行っている企業

新たに事業を始める場合、その予測不可能性から連帯保証人のリスクが高まる可能性があります。そのため、すでに定着した事業を行っている企業に対する債務保証が望ましいです。これらの企業は、前述した信用力の高さと並行してビジネスモデルの安定性や持続可能性を証明しています。また、歴史と経験という重要な資産を持っており、これらは企業が返済能力を維持する上で大切な要素です。まだ確立されていないビジネスモデルはリスクが伴うため、ある程度の安定性がある企業に債務保証をすることで連帯保証人のリスクを軽減することができます。

連帯保証人を回避する製品・サービス

いわゆる「連帯保証人」の制度は、借りる側だけでなく、保証をする側にも大きなリスクが伴います。万が一、借金を返済できなくなった場合、連帯保証人が全責任を負うことになります。しかし、最近ではそのリスクを軽減するための新たな製品・サービスが登場しています。それが、「保証保険」です。

保証保険とは

保証保険とは、借り手が借金を返済できなくなったときに、保証保険会社がその代わりに返済するサービスです。この制度により、連帯保証人の代わりに保証保険会社が借金の返済を補填するため、借り手も保証人の負担を減らすことが可能となります。そのため、連帯保証人になることのリスクを軽減することができます。保証保険は金融機関が提供するローンやリースといった借入の一部を補う形で設けられ、申し込むことで借り手と保証人双方が安心して取引を行えるようになります。

保険会社の役割とは

保険会社の役割は、リスクを共有し、その結果引き起こされる損害を補てんすることです。具体的には、保険契約に基づき保険料を集め、その一部を運用し、保険契約者が被った損害を補償するという役割を果たします。
保証保険の場合、金融機関から保証を受けた保険会社は、保証契約に基づき借り手が返済不能になった際に、保証債務を代わりに支払います。その後、保証保険会社は保険金を借り手に請求し、その回収を試みます。これにより、保証人のリスクを軽減し、借り手側にとっても返済のリスクを減らすことができるのです。このように保証保険会社は、借入の安全を支える大切な役割を果たしています。

連帯保証人になった場合の対策

連帯保証人になるということは、借金の元本・利息・遅延損害金などを保証する大きな責任を担うことになります。このような重要な役割を果たすためには、きちんとした対策が必要となります。それは、自身の負担を限定するための対策ですが、同時に借り手の信頼性を確認し、二つの目として機能するための対策でもあります。その対策として、保証範囲を確認する、期限を設定する、保証額の制限を行うといった方法が考えられます。

保証範囲を確認する

まずは、保証範囲を厳密に確認することが重要です。保証人が担保する範囲を示す保証契約書は、元本・利息・遅延損害金など、具体的にどの部分までの責任を負うのかが記載されています。予期せぬリスクを回避するためにも、どの範囲までの返済を保証するのかを把握することが極めて重要になります。また、保証内容が変更される可能性もあるので、定期的に契約内容の見直しを行うことも大切です。

期限を設定する

次に、保証の期限を設定することも有効な対策です。保証人の役割が無期限に続く場合、長きに渡って返済の責任を負うことになります。そのため、具体的な期限を設定し、それを超えた場合は保証の役割を果たさないとする方が、自身の経済的リスクを低減することができます。期限の設定は契約書に明記し、借金の返済が計画通り進んでいるかを定期的に確認することが求められます。

保証額の制限

最後に、保証額の制限も大切な対策となります。保証額が無制限だと、借主の返済不能時に全額を請求されるリスクがあります。それを防ぐためには、予め自己の経済状況を考慮し、支払える範囲内の金額を保証額として設定することが重要です。これにより、借主の返済が滞った場合でも、自己の生活を守ることが可能となります。保証額の設定は契約書に明記し、定期的な見直しを行うことでリスクを管理していきましょう。

連帯保証人の法律的側面

連帯保証人というのは、誰かが借金をしたとき、本人が返済できなかった場合に保証人がその返済を行うという事実に対して関わる立場の人物を指し示します。通常、親類や友人などがこの役割を果たしますが、本人が返済できなくなった際には、連帯保証人が責任を負い、返済する義務が生じます。連帯保証人となるには一定の条件があり、法律的には様々な規制や定義が定められておりますので詳しく見ていきましょう。

法律上の定義とは

連帯保証人とは、簡単に言えば、借り手が借金を返せなかった場合、保証人となった人がその全額を返済する義務があるというものです。民法上では、保証人と同じく、債務者が債務を果たさなかった場合に第三者がその債務を返済するものと規定されています。しかし、連帯保証人は、債務者が債務を返済する能力がなくなった場合に限らず、債権者から返済を求められることがあります。そのため、連帯保証人が債務者になる可能性は常にあります。こうした法律上の定義を正確に理解することが、連帯保証人になる前に必要なこととなります。

法律上の制限

連帯保証人となるには、一定の法的制限があります。最も重要なのは、債務者と保証人が連帯保証人契約を結んだ時点で、その返済能力が確保されていることです。また、法律では、無理な返済負担を強いられることのないように、連帯保証人の負担内容や範囲についての規定も盛り込まれています。連帯保証人となる前には、自身の返済能力を把握するとともに、契約内の細部まで確認し理解しておかなければなりません。連帯保証人となった場合の法的な制限や責任とともに、具体的な負担内容についても充分に理解することが必要となります。

新法律の注目点

新たな法律として注目されるのは、連帯保証人の負担軽減を図るものです。この法律では、連帯保証人が返済義務を負う場合、その範囲を明らかにすることを義務付けています。また、債務者が返済不能になった場合でも、連帯保証人の負担を緩和する規定が取り入れられています。これは、過大な負担を連帯保証人に押し付ける状況を防ぎ、より公正な契約関係を作り出すための規定です。新法律は連帯保証人制度をより公正にし、適正な運用を図るものであり、その詳細な内容を把握し理解することが重要となります。

連帯保証人体験談

人生で最も重要な決断の一つとして、連帯保証人になるという選択があります。しかしそのリスクと責任は重大で、多くの人々はその結果に直面する前には理解しきれないものです。ここでは、連帯保証人になった経験を持つ人々が抱える葛藤や苦悩、さらには場合によっては解決までの道のりをリアルに描く体験談を集めてみました。彼らが経験したことは、あなたが連帯保証人になる場合の有用なガイドラインになるでしょう。

失敗例

まずは失敗した事例をご紹介します。ある女性が兄弟のビジネスを支えるために連帯保証人になったのですが、その兄弟の事業はうまくいかず、結果として連帯保証人だった女性が大きな負債を背負うことになりました。その背後には十分な情報が共有されていなかったことと、経営者と保証人との間の信頼関係が曖昧だったことが原因でした。借入の規模や返済計画を十分に理解せず、信頼性の低い情報に基づいて保証人となった彼女は、結果として大きな失敗を犯したのです。

成功例

ある男性が、親友の会社設立を支援するために連帯保証人になった事例があります。親友の経営能力を信じていた彼は、リスクを背負って連帯保証人に名乗りを上げました。その後、親友の会社は見事発展し、彼の信念は裏切られなかったのです。しかし彼が成功した背後には、深い信頼関係と明確なコミュニケーションが存在していました。親友が経営者としての責任を全うする決意を話し合うだけでなく、会社の状況を定期的に透明に報告してくれたことも、彼が連帯保証人としての役割を果たす上で大きな安心感に繋がったのです。

事業再生の事例

これらの事例から学ぶべきことは、連帯保証人は決して単純な決断ではないということです。連帯保証人となったある男性が、事業再生を通して教えてくれた教訓があります。彼の友人の経営する会社が倒産の危機に瀕していましたが、彼が全財産を投じて助け、連帯保証人として多大なリスクを冒したことで事業は再生しました。友人の経営者としての潜在能力を確認し、事業再生に誰よりも熱心に取り組んだ彼の姿勢は、連帯保証人が成功するための重要な条件を示しています。あくまで連帯保証人は一つの選択肢であり、しっかりとした情報収集と理解、そして経営者との信頼関係が重要なのです。

連帯保証人のまとめ

借金やローンの際に必要となる連帯保証人。しかし、その役割と意義は、一般的にはあまり理解されていないのが実情です。連帯保証人とは、主債務者が借金を返済できなくなった場合、同様の責任を負う保証人のことを指します。単に名義を貸すだけでなく、本当にお金を返す義務が生じるのが連帯保証人の最も重要な特徴となっています。

社長が連帯保証人になるべきか

一般的に、企業の社長が自社の借入金の連帯保証人になるケースは少なくありません。しかし、これが必ずしも良い選択であるとは限りません。なぜなら、社長が連帯保証人となることで、その責任は非常に大きいからです。社長個人の財産も差し押さえの対象になる可能性があるそのリスクは大いにあるからです。加えて、その負担は企業運営にも影響を与えます。会社が経済的に困難な状況になれば、連帯保証人として追い詰められる事態も考えられます。このようなリスクを充分に認識した上で、連帯保証人となるべきか判断する必要があります。

異論・反論

連帯保証人になることの利点も無視できません。たとえば、社長が自ら連帯保証人となることにより、信用力を高め、より大きな融資を受けることが可能になるかもしれません。また、社長自身が経済的なリスクを直接感じることで、会社経営に対する責任感が増し、より一層経営に励む可能性もあります。しかし、その裏には前述のようなリスクが常に潜んでいるわけですから、この意見も十分に考慮するべきでしょう。

現代社会での連帯保証人の意義

現代では、個々の自由と責任が重視される傾向にあり、連帯保証人の存在は抵抗感を持つ人も少なくありません。しかし、その一方で、借り手側にとっては、連帯保証人は信用力を裏付ける大切な要素であります。借り手が信用不安と見なされてしまうと、融資に大きな影響が出ることもあるのです。このような観点から見ると、連帯保証人の存在は依然として重要な役割を果たしています。ただ、保証人になるという行為は、一定のリスクを伴うことも忘れてはなりません。借り手と保証人、両方がその責任と意義を理解した上で、社会的な支えとなりうる存在であることを認識する必要があります。