成功する社長の3つの姿勢
-
2023.07.15
- 私は学習塾など教育施設を中心に、20年以上経営コンサルティングを行い、さまざまな社長とお付き合いをしてきました。
「会社を成長させる社長の姿」経営コンサルタントとして、多くの企業経営者と接する中で見えてきた、成長を続ける企業、コンサルタントの想像も超えるような大きな成長をする企業の経営者に共通するのはどんなことかをお伝えします。
以下テキストは、経営者向け優良情報サービス『社長online』の情報テキストになります。月々1,650円で成功事例や新たなビジネスフレームを学べるので、是非加入を検討してみてください。
売上だけを追わない結果、長い目で見て大きな成果になることも
1つ言えるのは「損して得取れ」の発想を持っているということです。
売上、利益が最優先ではなく、また目先の効率性だけでは動いていないところがあります。それは私の専門が教育業界だからという面もあるでしょう。教育業界では特に、事業の目的を地域貢献や社会貢献、新たな世代の育成と考える傾向が強いように感じます。
そのように売上、利益を最優先にしないことから「儲かるから」よりも「これが大事」と考えることに経営者が一生懸命になることも、珍しくありません。
そのような姿勢は「こうすると効率よく儲けられる」を提案するコンサルタントにしてみれば「非効率、無駄」と感じるものもありますが、実は予想だにしていなかった利益につながることもあります。
ある地域で事業の拡大を続けている学習塾が、新たな教室を開校したときのことです。
その塾は、入塾希望者にテストを課していて、一定レベルの成績を取れない生徒は通うことができないようにしています。
入塾希望者は結構な数が集まりましたが、新たに開校した塾でテストを行うと、そのエリアの生徒のレベルが高くなかったのか、予想していた以上の数が不合格になってしまいました。
それでは当初見込んでいた数の生徒を集めることができません。社員からは「開校したばかりだし、今するべきは、生徒の数を確保すること。そのためには、合格の基準を緩めるべきでは?」という声が挙がりました。まずは集客し、その後で質を高めていく。経営コンサルタントの視点からも、きわめてまっとうな判断です。
しかし、その塾の社長は「私たちは能力の高い子を育てるんだ!」と、その提案を却下しました。目先の売上は立たなくていい。数よりも質を重視する判断です。 このような判断は、経営者でなければできません。
また、自身のこだわりがなければ成しえない選択です。
そのように目先の売上、利益にこだわらない姿勢が、継続的に成長する企業の経営者にはあります。
その学習塾は自分たちの立ち位置を変えなかったことで「優秀な子がいい学校に入れるための学びを提供する塾」のブランドを確立し、今ではその地区でも一番の進学塾になりました。
知らないことには謙虚で真摯。それが仇になることも
そのようなこだわりを持ち合わせる一方で「知らないこと、わからないことはわかる人に素直に聞く、教えを乞う」人が多いのも、成功している経営者の特徴です。
伸びている教育業の経営者は、「業界の常識は世間の非常識」という発想を持ち、異業種のノウハウ、エッセンスを取り入れることに積極的です。
そして、知らない情報を持っているコンサルタントや各種専門家からも、謙虚に教えを受けています。
私がコンサルティングをしていたそろばん教室の経営者の話です。
現在ビジネスにそろばんを使用する人はおらず、少子化もあり業界としては衰退産業です。
それでも、その経営者はそろばんに特化し、ほかの事業には手を出しません。
「そろばん文化を普及させる」ことを自分たちの使命、ミッションと考えていて、その質にこだわり続けています。
その会社の経営者はワンマン社長でしたが、当時若手のコンサルタントだった私のアドバイスは聞き入れ、実践してくれました。
その社長にしてみれば、ご自分のお子さんくらいの年齢の若造が言ってきたことでも、きちんと向き合っていたのです。
その経営者には「業者」というよりも「先生」としての扱いを受けました。
知らないものをもたらしてくれる相手ならば、年齢に関係なく学ぼうとする、敬意を払う、その謙虚な姿勢に多くの人が惹きつけられるのだと思います。
それらの謙虚な社長に感じるのは「自分たちのやっていることが完璧ではない。自分もまだまだ足りていない」と認識していることです。
常に客観的、別視点のアドバイスを私たちコンサルタントに求めていると感じていました。それは先ほど述べた「謙虚」とも通ずる部分です。
ただし「謙虚」にもネックと言える部分はあります。
年齢などに関係なく、学ぶべき相手と考えればしっかり学ぶ、それは言い換えれば相手を尊重するということで、周囲の経営幹部や社員、関係者に対する要求は、高いものがあります。
それらの経営者は、人格的に「謙虚」ですが、決して「優しい」わけではありません。
厳しさも多々ありました。 周りからも積極的に学ぼう、よいものを取り入れようという謙虚な姿勢は「自分は大した人間ではない」という思いからきています。
そして、その結果どうなるかというと「大した人間ではない自分でもできるのだから」と、社員に対する要求も高いものとなります。
とはいえ経営者のレベルまでできる社員はいませんから「なぜこの程度のこともできないのか?」とパワハラ気質です。
私もそれらの会社のコンサルティングでは「社長ほどできる人はいないんですから」と滔々と説き、人の育成、研修制度の構築やマネジメントの支援など、それらの経営者が最も苦手なことをよく行っていました。
人には厳しいが大事にもする
そのように周りに高い要求をし、厳しい面もある社長たちですが、人に優しいところもあります。
人を大事にし、できない社員も簡単に見切りをつけることなく、「ほかの仕事は向いているかもしれない」と、まずは人事異動でチャレンジさせています。
北関東の学習塾は、旦那さんの海外赴任についていくことになって辞めなければならないと言ってきた女性社員にも、赴任先で仕事ができる環境を整えていました。
東日本大震災のときには大量のおむつを買い込み、子育て中の社員に提供するなどしています。
ほかにも、コロナ禍で学園祭が中止になった高校に、公民館を借りて発表の場を与えるなどの活動も行っていました。
そして、要求に応えられないコンサルタントには厳しかったですが、一生懸命にやっている人に対しては、「若い人を育ててやる」つもりで、温かく見守っていたところもあります。
船井総研の主催するセミナーに、その社長にゲスト講師として登壇いただいた際は、セミナーの終了後に主催する若手のコンサルタントにフィードバックをしたりしていました。
経営者や企業に提供するコンサルティングは、時代に沿って変化しています。会社や経営者を取り巻く環境も変わります。
その中でも「変わらないもの」は何か?それは「人を使う」ことです。人を使うために、人を大切にする。人に対し厳しい部分もありますが、根底には優しさがある。
成功している経営者に、共通することです。
(無料お試しで他にも見れます!社長onilineにて公開中)