タイパ世代の採用戦略ー経営ニュース2025年12月
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2025.12.29

- 現場のコンサルタントが日々の活動の中で感じた「経営のヒント」を、読みやすいコラム形式でまとめました。生産性、リスク管理、最新トレンドなど、多岐にわたるテーマから、明日への活路を見出すきっかけになれば幸いです。
「毎日忙しくて時間がない」 そう感じている経営者やリーダーは多いかもしれません。しかし、それは物理的に仕事量が多い「多忙」ではなく、脳が疲れている「多忙感」かもしれません 。
「連絡が多すぎて追いつかない」「一日が終わっても達成感がない」。こうした感覚は、脳のワーキングメモリがエラーを起こしているサインの可能性があります。原因の多くは「タスク・スイッチング」にあります。資料を作りながらメールを返し、電話に出る。。。といった具合に注意を切り替えるたびに、脳は集中力を取り戻すのに約20分ものロスをしてしまうといわれています 。
解決策はシンプルに「シングルタスク」を徹底すること 。通知を切って目の前のことに集中するだけで、驚くほど時間は生まれます。

仕事でのミスやトラブル。これをやってしまったらクレームになるのは仕方ないと諦めていませんか? 実は、現場の肌感覚では、トラブルの7割はミスをしてもクレームにならないようにできるものです 。
大切なのは、事象が発生した後の対応ではなく、発生する前の想像力です。このまま送ったら揉めそうだなという小さな違和感を見逃さないこと。自分は大丈夫だと思っていても、相手にとっては不快かもしれないと疑うこと。特に若手社員の場合、文章のニュアンス一つで「分かってないな」と思われ、火に油を注ぐこともあります 。「言い訳をしない」「迷ったら上長に相談する」。これだけで、多くのトラブルは未然に防げるのです。

新しい企画や提案を考えるとき、うんうん唸って「ゼロから考えよう」としていませんか? ある人は、先輩からこうアドバイスされたそうです。「考えるのではなく、見つけないとダメだよ」
かつての著名な経営コンサルタントも「発明するな、発見しろ」と言いました 。 自分の頭の中にある仮説だけで勝負するのではなく、世の中ですでに成功している事例をたくさん見つけ、そのルールを抽象化して取り入れること。それが、確度の高い提案への近道です。

最近の学生は「タイムパフォーマンス(タイパ)」を重視します。就職活動でも、手当たり次第に受けるのではなく、最初から志望度の高い数社に絞って選考に進む傾向があります。
そのため、内定を出したとしても、学生が迷っている間に他社に取られてしまうケースも増えています。選考中にどれだけ自社の魅力を伝え、志望度を上げきれるか。そして、内定後も学生と接点を持ち続け、気持ちを繋ぎ止めておけるか。「選んでくれたから大丈夫」とあぐらをかかず、最後まで丁寧なコミュニケーションが必要な時代です。

システム開発の現場では、AIツールの導入で生産性が劇的に向上しています。ある企業では、人間だけなら11人月かかる作業が、AIを活用することで2.64人月と、工数が4分の1近くに圧縮されたそうです。
高度な技術が必要な場面でも、AIがサポートしてくれるため、少人数のチームでもハイスピードな開発が可能になります。ただ、ここで重要なのは「工数が減ったからといって、安売りしてはいけない」ということ。提供する価値そのものは変わらないからです。AIでコストを下げ、利益率を高める。これからの経営には、そうしたAIを使いこなす前提の見積もりや戦略が求められます


