目標を達成できる社長、達成できない社長の差とは?
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2025.07.02
- 私は30年近くコンサルタントをやっていますが、成功する社長の条件をあげるとしたら、「スピード」「決断力」「徹底力」だと思います。これが有るか無いかで、中小企業が最初にぶつかる年商 10 億円の壁を超えられるかどうかが決まります。
~船井総合研究所執行役員・杉浦昇
やろうと思ったことを、いつやるか?

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私が言う経営者の「スピード」とは、「良いと思ったことはすぐに実行に移す」ことを言います。企業間競争が激しい今の時代、ビジネスで新しいことを始めようと思ったら、早くスタートしなければ先行者メリットは無くなってしまいます。
スピードがある社長は、セミナーや勉強会で新しいビジネスモデルやノウハウを学んだら、自社ですぐに活用して、3か月以内に何らかの形にしています。一方、スピードが無い社長の場合は、同じセミナーに参加しても「勉強になった」と自分の頭の中に入れただけで、実行に移しません。これは非常にもったいないことです。ビジネスで機を逸することは大きなマイナスです。良いと思ったことはすぐに実行することです。
私がお付き合いさせていただいているA住宅リフォーム会社の社長は、まさにこのスピードがあるタイプです。この会社は住宅リフォーム業の他に、不動産仲介・売買、飲食店、産業エネルギーなど、次々に事業を拡大し、7つの事業で年商60億円、地域のリーディングカンパニーに成長しています。
A社長のスピードは社員への指示の仕方にも表れています。
例えば、私たちコンサルタントが会社に訪問した際に気づいたこと、「店頭に出ている宣伝用のぼり旗の数が、以前より減っていませんか」などと社長に伝えると、社長はその場ですぐに担当者に電話して改善するよう指示しています。
人間はやるべきことを「後でやろう」と思っていても忘れてしまうことがあります。多忙な社長であれば尚更です。だからすぐに社員に指示しておく。舩井幸雄も「即時処理が大事だ」と常々言っていましたが、やるべき事を必ず実行するために大事な心がけだと思います。
社員を動かすために、しっかり伝え・しっかり聞く

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また、A社長は社員に指示したら「言いっぱなし」にしません。社員がちゃんと実行しているか確認し、やっていなければ何度でも繰り返し言ってやらせます。人間にとって新しい事をするのはストレスであり、後回しにしてしまうので、社員が動くまで、結果が出るまで、やるべきことを繰り返し伝えて実行させているのです。
A社長は月に一度は各店舗を回り、自分が求める品質を保っているかをチェックしています。社員に特に徹底させるのが、店とオフィスの3S(整理、整頓、清掃)。「3Sを徹底すれば、仕事の効率が上がり、お客様の評価も上がる、いい事づくめだ」と言って社員を動かしています。
社員に徹底させるためには、なぜそれをやらなければならないのかを社員にしっかり説明して理解させること。「説明する労を惜しまないこと」が大事なのです。
A社長は、自分の思いを周りにしっかり伝えることに熱心であると同時に、周りの声を聞くことにも熱心です。社内外の人に「うちの会社や店を見て気づいたことがあれば、どんどん言ってほしい」と言い、「周りの人の声や、現場から上がってくる声は、自分が気づかないことを気づかせてくれる」と謙虚に耳を傾け、お客様アンケートにもすべて目を通しています。
住宅リフォーム業では、工事の過程でお客様からクレームが発生することもよくありますが、この会社のクレーム対応は即時対応が鉄則です。クレームというものは、すぐにお客様のところへ行ってお詫びすれば、無事に収まることが多いのですが、小さなクレームだからと放っておくと、やがて大きなクレームになり、それが会社の悪評となってあっという間に拡がってしまいます。
問題が発生したら小さな内に対応しておくこと。お客様からのクレームも、社内の問題も同じです。対応が遅れて問題が大きくなってからでは、解決に時間も手間もかかってしまい非効率です。
「できない」と思うから、できない。何があっても止まらないこと

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私がお付き合いさせていただいている住宅会社で、毎年2ケタ成長を続けて直近10年で売上が6倍の270億円になったB会社がありますが、B社長も「徹底力」にすぐれた方です。
B社長の口癖は「徹底の徹底の徹底!」です。「徹底×2で人並み、徹底×3でようやく他の人以上の結果が出せる」と言い、社員に小さな事も疎かにせず、凡事徹底するよう指導しています。
この住宅会社は、自社オリジナルの注文住宅の他に、大手住宅メーカーの住宅をフランチャイズで販売しているのですが、驚くことにメーカーの直営店の1.5倍の売上を上げています。フランチャイズ本部から提供されたノウハウを「徹底の徹底の徹底!」で社員にやらせるので成果が出せるのです。
B会社がなぜ、毎年2ケタ成長を続けることができるのか。1番大きな要因は、社長自身に、経営者としての徹底力があるからだと私は思います。「目標を立てたら絶対に達成する」と言い、毎日欠かさず事業計画の達成度をチェックしています。
経営者の中には、事業計画を立てても実行しきれないという方も多くいます。特にここ数年は住宅業界も新型コロナの影響で集客が落ち込んだり、資材が海外から入らなかったりと厳しい状況下にあったため、計画通りにいかなかった会社も多かったと思います。
しかしB社長は、それを言い訳にして目標を諦めることはありませんでした。新規出店で商圏を拡大し、新規事業も立ち上げるなど、次々に手を打っていったのです。外的環境の悪化によって一時的に業績が落ち込んだとしても必ず挽回する。1つ負けたら2つ勝とうとする。この社長の目標への執念と徹底力が会社を大きく成長させているのだと思います。