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何度も教えなくて済む教育マニュアルの作り方

2023.03.26
教育を効率化する方法です。リモートワークも増え、コミュニケーションも減っている今の時代のマイナスを、マニュアルでうまく補うことが求められています。
費用をかけずに動画マニュアルを作ることができる内容です。

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「今の新人は宇宙人」とは毎年言われていることですが、「Z世代」と呼ばれる今の若い人の育ってきた環境は昔のそれとはまったく異なるので、経営者の感覚が通じない部分がたくさんあります。
さらに、コロナ禍によるリモートワークで直接のコミュニケーションが減り、直接話せれば解決できることも、時間がかかったり、うまくやりとりできないことも、今の時代だからこそ起きています。
そのような2つの要因を解決する方法が「教育マニュアル」の作り方にあります。ポイントを押さえたマニュアルが作れれば、世代間ギャップも、環境の変化によるデメリットも解消できます。

育成における課題とこれから求められる育成の姿

働き方改革やリモートワークが進む上で、育成における課題感は非常に大きく出てきています。
まず、時間は減っています。また、営業・管理業務も必要なので教育に時間が割けられないという物理的な問題もあります。さらに、現場教育の時間が減少しているので、育っているようで育っていないという課題があります。

在宅やリモート勤務をしている会社は、自己管理が社員に求められています。そのため、若手社員は、自分で自分を律しなければならなくなっています。
オフィスだと「ちょっとこれやって」、「ちょっと今暇なのだったら、マニュアルでも読んで」のような話ができると思いますが、なかなかそういうことができずに空白時間を過ごさせてしまっているようなところもあると思います。

これは大いなる機会損失です。こういった外部環境で悩まされている会社は非常に多いと思っています。そのため、社員1人ひとりが自学実習をしてもらう仕組みを作っていかなければなりません。労働時間の総量の減少や、リモートワークがこれから主流になっていくなどの時代の流れを変えるのは不可能です。
こうした状況から無理して教育に時間を割くことは非常に難しいです。きちんと時間を使っていただきたいですが、そうではないところは悪く言うと「勝手に勉強してくれよ」というところをちゃんと会社として仕組み化していく必要があります。

そのようにしなければ、教育面においてどんどん尻すぼみしてしまい、企業の人財力が低下していく危険性もはらんでいます。そのため、自学自習してもらう環境整備をしていくことが必須な事項になっていきます。今教えている領域の4割ぐらいは自学自習できる環境をちゃんと作っていきましょうということです。

今回、お伝えしたいこと

経営者の方々も、新卒社員や20代の社員さんをどう育てていくかを経営課題として重視されている方が多いと思います。それには、若者の行動特性に合わせた自学自習型教育マニュアルが、自走する教育マニュアルの中では必要です。

ただ「システムを入れました」だけでは、効果的な教育のマニュアル、教育の仕組みは作れません。まずは若者といわれる20代の世代がどういった行動特性、価値観を持っていて、そのような世代がしっかりと自走していく、自学自習していくような教育マニュアルとは何なのか。このあたりを少し深掘りして解説をしていきます。

ゆとり世代の社員にぴったりはまる!教育マニュアルの作り方―若者の行動特性を理解する

若者の行動特性を理解することから解説します。Z世代とかいう言葉は、最近よくニュースとかで上がるようになってきました。もう少し言うとX世代、Y世代、Z世代といったように世代を切り分けられる時代になっています。

そして、ゆとり世代といわれる、ゆとり教育を受けた世代はY世代Z世代に分類されます。特にY世代、Z世代といわれるような人たちの特性を意識しながら教育、ないし業務というのを切り分けていかなければなりません。

Z世代は、今の20代前半から10代後半ぐらいの世代になっています。ここは、ソーシャルネイティブと言われ、思春期ぐらいからSNSを使い始めている世代ですから、デジタルで人とつながることに対して非常に抵抗がない世代になっています。

そして、そういったコミュニティがある中で人生を過ごしているので、「we」世代といわれていて、個人でやるよりも、みんなで何かをやっていきたいとか、みんなでコミュニティの中で面白いことをやっていきたいというような価値観を持っているのが、Z世代と分類されています。

そのもう一個上の世代がY世代と呼ばれ、ゆとり教育は平成元年から平成6年、7年ぐらいの世代が受けた教育といわれていますが、その世代は、デジタルネイティブといわれています。人生の中においてデジタルというものが共存されているというような世代になるので、デジタルorアナログのような概念ではなく、デジタルも自分の人生の一部、体の一部という価値観を持っています。

その上の世代は、高校生や大学生とか大人になってからデジタルのデバイスと付き合いを始める世代だと思っているので、デジタルという1つのキーワードにおいても価値観が変わってきています。


そのため、やはりZ世代とかY世代といわれるような世代に対してフィットしているマニュアル、教育、業務になっているのかを突き詰めていく必要があります。

若者の行動特性を理解する

20代の行動特性で、デジタルネイティブと書いた通り、「デジタルとともに生きてきた世代」ネガティブなことに対するストレス耐性が低い世代です。

また、失敗を恐れ、間違っていることや駄目なことに対する耐性が非常に低いです。教育自体がそういった教育になってるところも時代背景としてありますし、今は何でもGoogleで調べれば答えが出てくるような時代なのです。そのため、「答えのないことやわからないことに対してチャレンジしていくこと自体が無駄なのではないか」といった潜在意識が生まれやすい外部環境になってしまっているのです。

つまり、調べれば何でも答えは出てくるので、調べて答えを見つけて失敗しない成功確率の高いやり方を選んでいくような行動特性になっているのです。一面でいえば堅実ですが、チャレンジ精神に欠けていたり、行動ファーストというような動き方ではなくて、思考ファーストな行動になってしまっている特性があります。

さらに、LINEやTwitterでコミュニケーションを取ってきている世代なので、電話や対面でのコミュニケーションに慣れていません。そのため、リアルや暑苦しいコミュニケーションは嫌っていく特徴もあると思っています。

個人個人でいうと若干特性にばらつきはありますが、トータルでいうとこういった特徴になっています。ただ、これは本人たちが歪んでいるとかではなく、世の中の外部環境が原因でこうなってしまっています。そのため、ここに適応していくことが会社として必要です。

令和型マニュアルの3大要素

教育のマニュアルがある会社、まったくない会社があると思いますが、この3つの要素を押さえたマニュアルを作っていかなければなりません。

デジタルデバイスと共存している世代なので、マニュアルがデジタル化されてないこと自体がフィットしていないということになります。

そのため、マニュアルのデジタル化は必須です。もっと言えば、スマホファーストということで、PCも持ってはいますけれども触ってないので、マニュアル自体もスマートフォンで活用できるようにしていかないと、適用できていないことになります。要は会社のPCだけで見られるということ自体が、時代から遅れてしまっているのです。

さらに、SNSが当たり前になっているので、「いいね!」、「Like」、「ハート」などの承認欲求を企てる仕組みがあるように、マニュアルにもいかにその子たちの承認欲求を満たすような仕掛けが盛り込まれているのかが非常に大事になってきます。

マニュアルのデジタル化

まずは、再現性の高いものからマニュアル化していく必要があります。例えば、コピーの取り方は実務的な話で再現性は高いです。弊社はコンサルティング会社ですからコンサルティングのやり方とかそういったところは時間かけて教えてあげたいと思いますが、毎年新卒1年目にコピーの取り方などを教えていると、「何やってんだろ」と思うことはあります。


そのため、マニュアル化していく第一歩は、図の左側です。読んでくれたらできるような内容は「マニュアル化しておいたほうがお互いの時間が取られなくていいよね」というのが、マニュアル化の原理原則です。

そして、次に手順をしっかりと言語化していくことが必要です。「もう言語化できているよ」というような会社でも、実はもう1回深掘りすると、そうなってはいないものが、あと3~5個ぐらいはあります。

現場でクライアントに「業務を細分化していきましょう」というコンサルティングを日々させていただいている中での気付きです。今見えているものから、もう少し考えれば3から5個ぐらいは細分化できます。

そして、まず言語化されて、業務のステップができてきた中で、マニュアルを電子化してテキストだけではなくて写真や動画の視覚的に代わるものに変えていけばより教育効果が高まります。

そのため、1つひとつこの業務は必要なのかの検討が必要です。つまりマニュアル化していく中では、業務の再配分も意味合いとして含まれます。Aという業務があれば、そもそもこれは行ったほうがいいのか、やらないほうがいいのか。

つまり、アウトソーシングという言葉があるように、外注した方がいいものはどんどん出してください。


そもそも、この業務はいらないというような決断もしていただきたいと思います。その中で誰がやるべきなのか、どこまでやるべきなのか、そして、それがマニュアル化で教えなくても読んでもらったらある程度のできるレベルに落とし込まれていく、こういったステップで業務も分配していただければ非常に良いものになります。

その上で、このようなシートを使っていただいて、業務内容と仕事区分を1つひとつ洗い出していただくと良いと思います。仕事の区分もどういった周期でその業務が行われているのか、ここを把握するのは大事です。

日常的に行われているものか、例えば月次の経費の集計のような月一ぐらいで行われていることなのか、年間の営業数値の集約業務のような年1回しか行われてないことなのかといったところをしっかりと分類をしていただく必要があります。

行われる頻度が少ない業務をマニュアル化するより、できるだけ日常的に行われている業務をマニュアル化していったほうがいいということです。そして、これをデジタル化していったほうが効率性は高いです。

ここの着眼点を間違えてしまうと、優先度としては高いかもしれないのですけれども、日々の中であまり使われてないところをマニュアル化してしまう、また、そこにも時間工数がかかってくるわけですから宝の持ち腐れになってしまうケースが多いです。

時間と労力を最大限活用するという意味では、日常業務をいかにマニュアル化するかというところに着手していただく、そのためには「そもそも日常的業務とは何だっけ」というところからしっかり見える化していただく必要があります。それを難易度付けして確認していただくような流れが必要です。

コンサルティングの現場で、分厚い紙のマニュアルや棚いっぱいに業務マニュアルを大事そうに保管されているケースをお見受けします。新人や若い世代の子に「あのマニュアル読んでる?」みたいなことを聞くと、「いや正直読んでないです。分厚すぎて読もうと思えないです」みたいな現場の声を聞くことも多々あります。

マニュアルが、そもそも紙として存在していること自体が、これからの若い世代の行動特性を加味すると非常にナンセンスです。そのため、まずは、クラウド上にマニュアルデータが格納されてる状態を作るのがレベル1として必要です。

そういった意味では、Googleが提供しているサービスは、非常に使い勝手が良いです。例えば、GoogleにはGoogleドライブといわれるようなサービスがあり、これはGoogleアカウントがあれば誰でも使えます。

Googleドライブを使えば、ドライブ上にデータをアップロードして、Gmailを持っている社内の人たちでそれを共有をすれば、スマートフォン上でもデータが見られるような状況になります。

基本的には共有をした人でしか見られませんので、不特定多数が閲覧可能な設定にしていなければ、流出の危険性もありません。こういったGoogleのサービスを使っていただくだけでも、手軽に紙のマニュアルがデータ上にアップロードできます。

しかし、文章をアップロードするだけでは教育効果は落ちていきます。言語情報より視覚情報のほうが入りやすい、伝わりやすいというような時代になってきています。若い世代は、言語情報より視覚情報のほうが抵抗が少ないのです。

承認欲求を満たす

承認欲求を満たすような仕組みも用意してくださいというところです。

例えば、日報を全社員に共有していくような仕組みが大事です。左側が新卒の日報で、「こういったことを感じました」と「こういった気付きを得ました」みたいなことを日報で共有していくと、右側で上司から、「いいね」とか「良かったね」「頑張っていきましょう」みたいな返信をするだけでも、「自分は見てもらっているんだ」「ちゃんと感心してもらっているんだ」ということに気付き、それだけでもロイヤリティが上がっていきます。

この小さな積み重ねが人間関係とか信頼関係を築く1つだと思っています。先ほどお伝えした通り、今の世代というところを考えますと、短時間、高回転のコミュニケーションが当たり前なのです。

例えば、Twitterで1日に3、4回投稿して、それに対してリプといわれる返信をもらったり、いいね!をもらったりとかに承認欲求を感じています。そのため、社員面談で月に1回2時間しゃべっても、これはこれで大事なことですが、それだけではその子たちの承認欲が満たされるわけではありません。
月に1回2時間話す時間よりも、それを分散させて週に1回、もしくは毎日10分使っていただいたほうが、月に1回120分使うより有効です。小さな接触を毎日毎日積み重ねてあげるほうが大事です。

例えば、今人気が高まってきてるChatworkというようなチャットサービスを活用してもいいのではないかと思います。
投稿に対してスタンプが押せるので、返信は大変ですが、「今日こういうことしました」という投稿に対して、「いいね!」とか、「ありがとう」「了解」とか「すごい」などのスタンプが押せるのです。1秒ぐらいでそのスタンプが押せますし、スタンプで承認欲求が満たされます。

「見てくれている」とか、「いいと思ってくれてるんだ」というところを若い世代が感じるだけでも、承認欲求という意味ではいいと思います。いかに小さな承認欲求を満たす体験をやってあげるかということです。

令和型教育マニュアルの活用メリット

これまでの要素を1つひとつ、しっかりと押さえていくと、自立的に学ぶ社員が増えていきます。


結局、管理職も人間ですから、1回目より2回目、2回目より3回目のほうが、同じことを教えてもパワーダウンしていきます。そうなってくると、悪循環です。教わっている側も罪悪感を覚えていき、何回も教えていくと性格のいい子ほどそれを感じてしまいます。

育成とは、いろいろな定義がありますが、最大の教育育成は、主体的に自主的に学んで、良い意味で勝手に育ってくれるような子たちをいかに社内で養成していくかが、これからの組織における強みです。

ただ、「自主的に、主体的に動きなさい」と言うだけでは、動けないのは事実です。一方で、新入社員研修や定期的な研修で、マインド教育で基本的に「主体的に動くことは大事だ」と、懇々と伝えるのは大事なことですが、一方で、ちゃんと実行できる環境が今社内にあるのかも整備していかないと、言うだけでは結局デジタルのマニュアルが1個もなく、スマートフォンで見られず、結局上司に聞かないと情報が出てこないみたいな形は本末転倒な結果になってしまいます。


そのため、マインド教育をしていただく、一方でやりたいな、学びたいなと思ったときに気軽にすぐ引き出せるような環境になっているか、この両軸をしっかりと整備していただくことが必要なのです。

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