給料なしでも成功する社長の戦略と哲学
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2023.08.30
給料なしという選択の狙い
現在、一部の企業家や経営者が一定期間給料を取らない、「給料なし社長」となることを選択しています。これは一見非合理的で理解ツラい行動のように思えるかもしれません。しかし、その背後には組織の業績向上や社員のモチベーション向上など、企業運営において重要なポジティブな効果をもたらす独自の戦略や、給与取得とは異なる報酬を取る方法などが隠されています。
あくまで船井総合研究所ならびに社長onlineとして推奨する報酬制度ではないと前置きしますが、その理由や戦略性について今回まとめました。
給料なし社長という考え方の背景
給料なし社長という選択の背後には、企業が直面する苦境を共有し、組織全体の団結力を高めるという意図があります。すなわち、経営トップ自身が一定期間給料を取らないことによって、社員に対して利益追求だけでない、共苦・共闘の意識やモチベーションを喚起するのです。また、給料を取らないことで得られる自分自身へのモチベーションアップも見逃せません。成功への強い意志が鍛えられ、経営のヴィジョンを明確に見るための視野が広がるのです。
社長自らが給料を取らない理由
社長自らが給料を取らない理由としては、組織の業績向上のためだけでなく、企業の社会的責任を全うするためでもあります。製品やサービスの品質と共に、企業の社会的な評価や企業イメージは経営者の言動に大いに依存しています。そのため、経営者自身が犠牲精神を見せることにより、企業の信用や信頼性は飛躍的に向上します。さらに、企業は利益が出ない時期や事業リスクを体現する経営者の姿勢を通じて、自身のビジネスモデルや社内制度の改善に繋がる valuable insight を得ることができます。
給料なし社長のメリットとデメリット
給与を取らない経営者のメリットは、組織のモラル向上、経営者自身のモチベーション向上、企業の社会的評価の向上といった点が挙げられます。逆にデメリットとしては、経済的な負担が増える点、集中力やモチベーションの低下が起こる恐れがある点などがあります。
しかし、そのどれもがリーダーシップや組織の成長に繋がる重要な視点となるため、経営者としての覚悟や挑戦の原動力になるでしょう。給料なし社長という選択は、自社と向き合うことの大切さを再認識させてくれる貴重な機会でもあります。
経済的な観点から見た給料なし社長
近年、給料なし社長という存在が注目を集めています。彼らは一見不思議な存在に思えますが、この現象は経済的な観点からも分析する価値があると考えられます。なぜ給料なし社長が存在するのか、彼らの経済効果は何なのか、など興味深いテーマとなります。
給料なし社長の経済効果
給料なし社長がもたらす経済効果は、主に二つあります。一つ目は資金効率の向上で、資金を経営者の給料に使うことなく事業に集中的に投資できること。給料なし社長は自身の給料を削ることで企業のキャッシュフローを確保し、新たな事業展開や設備投資などに資金を使えるだけではなく、雇用の拡大や社内環境の改善に充てることも可能になります。
ゼロでなくても成長する企業の多くが従業員や設備に投資を行っています。逆に投資活動について消極的な社長ほど社長自身の給与を重視してしまいます。短期的に1億役員報酬をもらうことよりも従業員に報酬として支払うことで、大企業へと成長。結果的に10億円の役員報酬を上場後にもらったという場合もあります。(あくまで極端な例ですが)給与ゼロはそういった姿勢から戦略的に選択しているやり方の一つと言えそうです。
二つ目は、経営者自身が給料をもらわないことでステークホルダーへの信頼感を増大させることです。財務状況が厳しい場合や、スタートアップ企業などの場合、給料なし社長は企業の存続や利益追求の姿勢を示すと同時に、リーダーシップを発揮する重要な手段となります。
給与を抑えることの経済性
一見すると、給与を抑えることは個々の経済的側面で見ればマイナス面しかないように思えます。しかし一方で、企業としての経済行動においては、給与を抑えることによって企業経営の資源を活用する機会が生まれるのです。資金を経営者の給料に充てるのではなく、企業の成長に必要な要素、たとえば研究開発やマーケティング、社員の教育などに投じられることで、企業の競争力を高め、さらには大きな利益を生み出す可能性も開けます。
利益を再投資する給料なし社長の戦略
給料なし社長の多くは、自己の給与を事業へ投資するという思考のもと、利益を事業に再投資します。利益の再投資とは、企業が経営活動から得た利益をそのまま新たな投資に活用することを指します。これにより会社の現金流は改善し、新たなビジネスチャンスの掴みやすさを高めます。
また、経営者自身が金銭的な利益を追求するのではなく企業の成長を重視することで、企業内の風土も結束力を高める方向に向かうでしょう。これが長期的な視点で見れば、企業の競争力を高めて成長を促進する可能性があるのです。
法的な観点から見た給料なし社長
起業家や企業のトップともなると、初期の利益を会社に再投資するため、またはビジネスが軌道に乗るまでの間、自身の給料をカットする、さらには取らないという選択をされる経営者も少なくありません。しかし、社長が給料を取らないという行為は法律的にはどのような位置づけとなるのでしょうか。労働法との関係や必要な手続き、そして法的な問題を避けるための秘訣について解説致します。
給料なし社長と労働法の関係
給料なしの社長という存在は、労働法の観点から見ると、いくつかの問題をはらんでいます。社長は会社の最高位であり、経営判断をする立場であることから、労働基準法上では労働者とは区別されます。つまり、通常の労働者が受けられる時間外労働手当や休日出勤手当などの労働者保護法規は適用外となります。それ故、会社の経営者が無給で働くことについては法律上は抵触しません。
しかし、一方で給与がないことが労働者の権利を損なう可能性もあります。それは社保や労災保険などの各種社会保険制度の適用範囲です。もし社長がこれらの保険に加入していないと、何か問題が起きた時に保証を受けられない可能性があります。また株式報酬やストックオプションなどを絡めた節税方法として行っている場合、国税庁から指摘を受ける可能性もあります。その際、結果的に節約したつもりが適正に役員報酬を受け取っていた方が高い給与を得られたという場合もあるため、担当税理士や税務署に相談の上決定する方が良いかもしれません。
必要な書類と申請手続き
給料なし社長になるためには、一定の手続きが必要となります。これらは全て労働者としての権利確保と、給与なし社長に伴う社会保険などへの影響を最小限に抑えるためのものです。
まず、「労働条件通知書」の作成が必要です。これは就業規則の変更にあたり、労働者へ通知するものです。さらに、「賞与等一時金の支給に関する規定」、「給与等報酬の支給に関する規定」などの各種規定を設ける必要があるでしょう。
また、社長の健康保険や厚生年金などの社会保険料計算にも影響がでるため、社会保険労務士へ相談することも重要です。
法的な問題を避けるための秘訣
給料なし社長を続ける上で重要なのは、すべての手続きを適切に行い、自己の権利と義務を理解しておくことです。社長が給与を取らないという選択は自由ですが、それが会社経営や労働法にどのような影響を与えるかを理解したうえで慎重に行動することが求められます。
繰り返しになりますが、法的な問題を避けて給料なし社長を続けるためには、透明性の確保と社会保険の適用、そして法律的な手続きの遵守が不可欠です。現状実施は可能ですが、一般的ではない支払いスタイルのため、少なからず法務的な手続き・税務的な手続きは有識者や関係各所との調整を経ての実現をおすすめします。
給料なし社長の心理的な観面
給料なし社長という立場に立つ人の心理状態は、一般的なサラリーマンや一定の給料を得ている社長とは異なるかもしれません。彼らは常に自らの手で新たな価値を創出し、その成功の果てに初めて給料を得られるという、困難な状況に耐えながら仕事に取り組んでいます。給料なし社長の心理的観面について考察していきます。
給料なし社長の労働意識
給料なし社長の労働意識は、極めて高いレベルにあると言えます。自らの手で会社を立ち上げ、ビジネスを成功させなければ給料を得られないという状況は、普通のサラリーマンには想像もつかないほどのプレッシャーとストレスを伴います。しかし、そのような状況でも彼らは決して挫けず、自らのビジョンの実現に向かって日々努力を積み重ねていきます。そこには、自らが生み出す価値に自信を持ち、それを実現するための強い使命感と情熱があるのです。
また、彼らは自らの成果が直接自分の利益となるという経済的なインセンティブも持っています。そのため、労働意識が低ければ会社の成長や自身の生活レベルを維持することが難しくなります。給料なし社長にとって労働意識が高いことは、生存そのものに直結していると言えるでしょう。
ただ、給与がないことで責任感が欠落してはいけません。報酬はイコール企業の責任のよりどころであると定義されています。高い報酬をもらうことが一つのモチベーションやストレス(良い意味での)となることが本来の考え方ともいえるのではないでしょうか。
給料なし社長のモチベーションの源泉
給料なし社長のモチベーションの源泉とは何か、それは理想とするビジョンの実現、自身が創り出す商品・サービスが社会に与える影響、そして自己実現でしょう。市場で成功することによって自分の価値を確立し、自らの手で世界を変えることができると信じているからです。
また、給料なし社長たちは成功するために必要な能力を自ら学び、自己成長の過程を享受しています。チャレンジを重ねることで新たな経験や知識を得ることができ、それが次のステップに繋がるというサイクルが彼らのモチベーションを維持していると言えるでしょう。
給料なし社長の精神的強さ
給料なし社長には、常人をはるかに超えた精神的な強さが求められます。ビジネスを成功させるためには、超人的な努力を必要とし、経済的、心理的なプレッシャーを常に受けています。それでもなお立ち上がり、戦い続けることができるのは、彼らが強い精神力を持っているからです。
その精神的強さの源は何かと問われると、恐れずにハードルを超えるための勇気、ビジョンを追求するための執念、そして失敗から学び成長するための柔軟性があるでしょう。これらを総合的に考えると給料なし社長の精神的強さは、彼らが持っているビジョンや使命感、そして自身の成長への欲望によって鍛えられていると言えます。