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デービッド・アトキンソン氏が語る「人口減少時代の最強経営」とは?

2023.11.07
日本の、特に中小企業に対し提言を続けてきた元ゴールドマン・サックス金融調査室長デービッド・アトキンソン氏。日本の不良債権の実態について早くから警鐘を鳴らし、同社退職後は国宝や重要文化財の補修に携わる小西美術工藝社に入社。現在は同社の代表取締役社長を務めています。

ベストセラーとなった同氏の著書『日本人の勝算』や『新・観光立国論』などは、苦境にあえぐ日本がいかにして勝ち筋を見つけるのかについて新たな光を見せる存在でした。
そんなアトキンソン氏は、今年の年末に行う「時流戦略・提言セミナー」(主催:船井総合研究所)での登壇も決定しています。
セミナーでの登壇を前に、アトキンソン氏の名著『日本企業の勝算 人材確保×生産性×企業成長』から、同氏の考えや企業経営者が押さえたいポイントをご紹介します。

※今年の年末には中堅企業に向けたこれからの時流を読む「時流戦略・提言セミナー」(主催:船井総合研究所)にご登壇予定です。振るってのご参加お待ちしています。

「日本はまだまだ勝てる」

アトキンソン氏の提言は、国内・海外の経済データや事例の分析に基づいた思わず目をそむけたくなる事実から入り、進むべき正道を示してくれます。。

事実、本書は「世界一輝いていた日本という国は、先進国の中で第2位の貧困大国となり、生産性に至っては先進国中最下位の第28位までに下がった」という厳しい言葉から始まっています。

もちろん経営者のみなさまも、少子高齢化はより深刻となり良材料も少なく、労働人口も消費者もどんどんと少なくなり、市場は縮小し、給与が減っていくことは認識はしているでしょう。アトキンソン氏は、その良くないスパイラルから脱却し、企業自身が成長しなければいけないと焚き付けてくれます。


その時に大事なのは、「国民生産性」です。国民生産性とは、1人当たりのGDPによって算出される数値。生産性=労働生産性×労働参加率という形で算出されますが、この生産性は日本は著しく低いだけではありません。人口が大きく減るのですから、2060年に日本が現在と同じレベルを維持するためには、今の倍近い労働生産性を求められます。

事実1.7倍に引き上げなければ同規模の経済維持は成り立たないとアトキンソン氏は計算しています。逆に、現状維持の生産性しか出せなければ、今以上に貧しい日本になってしまうのです。

では生産性が上がらなかったのは何が原因なのか。

アトキンソン氏によると「日本には中小企業が多すぎること」「経営者の能力が低い」です。言い換えるらないと嘆く人々の多くは経営者の質が伴っていないから、経営者が経営者としての責任を果たせていないとアトキンソン氏は嘆いています。

経営者は常に自社の利益拡大を目指して効率性を追求しているという暗黙の了解があります。ですが、日本の経営者の多くは「自分のお財布に入れること」を主目的にしてしまい、会社としてどう利益を追求するか、拡大するかを考える人が少なくなってしまっているとのこと。また、会社の成長を常に求めず現状維持でもよいと考える人も多いのではないかと指摘しています。

会社が小さいままでは生産性は上がらない

能力の高い経営者のもとには、人・物・金などの経営資源が集まっていきます。その企業は成長のスパイラルを生み出します。しかし、成長の渦をつくれない企業は基本的に経営者のレベルがそこまでしかないということになります。言い換えるならば、「会社を大きくできない経営者=経営能力が低い」とアトキンソン氏はズバリ指摘しています。日本ではなかなか受け入れられにくいのですが、資本主義における企業の当たり前の基本経営が中小企業においてはできていない場合が多いのです。

また、日本には起業家が少ないといわれていますが、経営者の数が増えることは必ずしも日本の生産性において結果を与えるとは限りません。

成長意欲の高い経営者は優秀な労働資源を集めようとしますから、結果的にどんどん労働生産性の高い人材があつまり、掛け算のように増加していきます。逆に小さいままであれば、そのレベルで良いと判断してしまい、規模を大きくしなければ逆説的に良い人材が増えないのです。

生産性を上げようと叫んでも上がらない根本理由

中小企業が大企業と比較して不利な立場に置かれているのは確か。国や自治体が中小企業を応援しようと考える気持ちはわかるものの、なぜ不利なのかを忘れてはいけません。

中小企業を応援する目的は本来、新しい企業が包括的な意味で最適な規模まで成長するのを助けること。中堅企業になったり大企業になったりするのが目標です。国が行っている中小企業施策は、あくまで成長のために必要なものとしてつくられており、中小企業を優遇するためのものではありません。

そうした施策に頼っていては国力が弱くなり、継続的な中小企業施策は期待できないといいます。財政を健全化したかったとしても、生産性が低い上に人口も減っているので税収は増えません。増税すれば、どんどんと景気は悪くなってしまいます。

生産性を上げようにも上げられない、規模の小さな企業を数多くつくってしまったことが日本の衰退の根本にある。これを抜け出すためには、経営者としてもっと大きな会社づくりが必要なのだとアトキンソン氏は結論づけています。(データに基づき、アトキンソン氏が書籍において根拠をしめしておりますので、ぜひセミナー参加の前に本書もご購入・ご購読いただけますと幸いです)

あなたの企業が勝てる企業へと変化するために

では、人口や消費減少、景気悪化がくすぶる中でも他の会社を出し抜き成長できるのか。アトキンソン氏は意外にも、難しい話ではないと言っています。

まず、従業員250人を超える企業。業種にもよりますが目標としては500人を超える中堅企業になること。日本で言う中小企業規模ではなく、大企業になる一歩手前の規模になることを目標に会社を大きくしていくこと。会社の経営難易度は小規模と比較すると格段に高くなりますから、時流に沿った経営や、伸びるビジネスへの参入が必要となってくるでしょう。

では、そもそもこの5要素を集める企業に、時流を読みつついかにして成長させるべきなのか。デービッド・アトキンソン氏が日本の経営者に向けて企業成長への道筋を語る「時流戦略セミナー」にて、ぜひお聞きいただければと思います。 セミナーの詳細はコチラです。