できる社長の5つの「しない」
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2024.01.02
- 食品専門店の店舗開発や活性化のコンサルタントの寄稿記事です。今回は、これまでに出会った社長でシンプルに「すごい」と感じた方の特徴を紹介します。「挑戦」「育成」「即決即断」「隠し事なし」がキーワードです。
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しない1「経験豊富なベテラン」に頼らない
若手コンサルから吸収し、新規事業成功
ご紹介するのは東海地方で養豚場を経営する社長です。この養豚場は長年、豚を販売業者に卸していましたが、社長の丹精こめて育てた美味しい肉を消費者にダイレクトに届けたいという思いから、直売所を立ち上げました。独自のブランドを作ることに成功し、現在年商は20億円ほどの企業に成長しています。
その社長がユニークなのは、経営コンサルタントを雇う際は若者を希望することです。
経験豊富なベテランではなく、あえて若い人にする。人件費の安い若手に、といった理由ではありません。自分にはない発想を持っている若いコンサルタントの意見を聞き、そこから吸収して新たなチャレンジをしていきたいと考えています。
社長は「新しいことに挑戦しなければ未来はない」との信念を持っており、「開拓をしていかないと次はない」と常々口にしています。
商品の直売所を立ち上げた際も、当初の売上見込み1億円に対して2億円を投資し、最先端の機械を購入して事業をスタートさせました。すぐに投資が回収できないのはわかっている状態で、若手コンサルタントに「この直売店を何とか軌道にのせてほしい」と立ち上げの手伝いを依頼したのです。「若手が提案することは基本的にぜんぶやろう。ダメでも次につなげればいい」と、まずは挑戦することを優先しました。
若手コンサルタントには「上の人は呼ばなくていい。君たちに任せるから」と伝え、当たり前のことではなく、若手ならではの斬新なアイデアや意見を求めました。
そこまで言われた若手コンサルタントは、先輩や上司に頼れないのでプレッシャーも感じましたが、同時に非常にやる気になりました。「絶対になんとかする」と一生懸命に考え、動き、社長の期待した「何とかしてほしい」を成し遂げたのです。投資は無事に回収し、事業はその後会社の成長を支える重要な役割を果たしていきます。
その社長はどんな逆境でも新たなチャレンジし続ける方で、若手に完全に任せた際は当然不安や心配もあったことと思いますが、人前では常に笑顔を絶やさず決して苦しい表情は見せません。
社長に対してシンプルに「すごい」と感じました。
しない2 寝かさない
納得したら即行動
できる経営者は「自分が納得したらその場で決める、寝かさない」が鉄則です。
私が携わっている飲食店へのプロジェクトで、こんな出来事がありました。社長に対して、売上を伸ばすために新たな業態を立ち上げることを検討していると報告しました。
すると社長は「では、担当者を呼んできます」と言って、その場にシェフを呼んできたのです。突然の呼び出しにシェフは困惑していましたが、社長は今後の方針を彼に語り、プロジェクトメンバーとして加わるようにと伝えていました。
私からの「やろうと思います」という提案が、即、社長からの「やります」に変わったのです。
成功する社長は即断即決の次元が違います。自身が納得すると、中身はまだ正式に決まっていなくても社員の誰に担当させるかをすぐに決めるなどと、すぐに行動に移します。
その会社の売上は現在30億円くらいですが、社長からは「100億の道は見えている。その先の200億の提案をしてほしい」と伝えられています。「私の頭には案があるから、それを具体化する方法を教えてほしい」とのことで、常に未来を見据えて動いています。
しない3.絶対に悪く言わない
褒めて育てて戦力化
次に紹介するのは、東北地方で養鶏場を営んでいる社長です。その企業は直売店でお菓子や卵、総菜などの販売も行っています。
同社には周りと比べて作業のスピードが遅い従業員がいました。現場の従業員から社長に対して苦情を訴えられることもあったほどです。しかし社長は「でも、先月よりもスピードが上がっています」と返しました。そして、その従業員本人には「だんだん、できるようになってきましたね」と声をかけていました。
よいところを見たうえでポジティブな声がけが、本人のやる気につながるのです。その方は人よりも時間はかかりましたが、作業スピードが少しずつ速くなり、最終的には職場の立派な戦力に成長しました。
また、その会社が養鶏場で雇っている発達障害の従業員は人と接するのが苦手です。しかし社長がその従業員の「ダメな点」を口にしているのを聞いたことがありません。逆に、機械のメンテナンスが非常に優れている点を挙げて、「壊れたラジオを直して持ってきてくれた」と褒めていました。
人にはそれぞれ得意、不得意があります。経営者はそれぞれの従業員が輝ける場所を見つけて、輝かせてあげる。その社長がそう意識しているのかはわかりませんが、常にそのような態度で従業員と接しています。
トラブルを起こす従業員もいますが、社長は社員を信頼して育てており、絶対に人を切りません。どんな従業員にも活躍できる場をつくっています。社長の従業員への接し方を見ていると「こんな風にすると人は必ず成長するのだ」と感じます。
実は社長は会社の売上などに動揺することも多くある方なのですが、従業員の前では、どんなときも悠然と構えています。
会社は飛び抜けて待遇がよいわけではありませんが、人が辞めない同社を見ていると、従業員にとって活き活き働ける場でもあるのだと感じます。
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