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社長の悩み事「働きすぎてしまいます…。」

2023.06.26
現在有料メディアの社長onlineでは、現在の社長やこれから社長になる方々に向けて成功するため、成長するためのノウハウを紹介しています。WEB版では、その中でも一部記事を解説で紹介したり一部分を無料にて掲載。あるいは、WEB版でしか読めない、すぐに経営には役立たなさそうだけれども、ゆくゆくは役立ってきそうな話をご紹介していきます。

今回解説するのは、社長が働きすぎてしまうという悩み。従業員には勤務時間を徹底している管理職であったとしても、社長だけが守らない。会社としてあるあるだと思います。睡眠時間や余暇の時間を削り、自分自身として会社を成長させることが目的となりがちだからそうした自体が起きてしまうとも言われています。

健康経営の本当の意味

従業員たちに対して健康経営をはじめたある企業について紹介します。運送業を営むA社は社労士やメンタルヘルスサービス、産業医などを活用し、今現在の会社の状況をコストをかけて改善していこうと志しました。なかなかに先行投資や継続的な検査のために費用はかかるものの、これをはじめたことにより会社の効率化(残業の減少)や離職率の低下など目に見える成果がありました。しかし、そうした中で産業医から言われた一言が気にかかっていました。

産業医「社長のタイムカードはありますか?」
社長「いや、用意してないよ。大体四六時中働いているし」
産業医「経営者って働きすぎな職業といわれているんですが、人って働きすぎると、突然電池切れがやってくる人と、とにもかくにも働けちゃう人の二つがあるんです。前者であれ後者であれ経営者として会社にずっとかかわるのであれば、休み方についてもちゃんと考えて実践していった方がよいですよ」

こう産業医からアドバイスされました。そこで、自分自身も社員とおなじくタイムカードを切る癖をつけはじめました。すると…。

働きすぎを通り越して休みゼロ

タイムカードを通す前には、1.5人分ぐらい働いているかなと思っていた社長。そこには驚愕の時間記録が記載されました。

・土日出勤回数6回
・残業時間220時間

ブラック企業顔負けの働きっぷりです。自分でも、なんとなくたくさん働いていると思っていましたがその数字の高さは社長として働きすぎと言わざるを得ない状況を自分に理解させてくれました。

厚生労働書の基準によると過労死ラインというのは抱いたい80時間を超えるとアウト、100時間を超えないことを絶対順守とするルールとなっています。自身は社労士たちに正しい勤務時間になるようにルール化しているにもかかわらず、自身はアウトラインというハードルのはるか高いところで働きつづけてしまっていました。数字のインパクトもさることながら、それで体がついてきていたというのだから驚愕です。

帰れる社長になるためにやったこと

これではダメだということで、産業医の監修のもと会社にべったり経営者から、スマートに働く経営者へと転換しました。

実際にやったことは下記の4つです。
① 実務は手離れ
② 会議レス&会議ダイエット
③ たばこ休憩・コーヒー休憩タイマー
④ 判断は即断即決

では、ひとつひとつやってきたことについて紐解いていきます。

① 実務は手離れ

プレイングマネージャーとしての社長と、一般的な社長。2つが存在しているかと思います。今回のA社はプレイングマネージャーとして、実際に手を動かすことが慢性的になりがちだった社長でした。欠員が出た際には、自分で大型トラックを動かし、ときには営業作業まで巻き取っていました。これをすることで現場の状況理解と、社員達の信奉はたかまります。しかしながら、手離れしていない時間というのは経営者としての課題要求に対して答えられていない状況とも言えました。

こうした発想には根底として「社長の稼働時間は時給0円」という発想があったからとも言います。この考え方はなかなかに危うく働きすぎ問題の中心にある考え方とも言い換えられます。深夜帯での長距離運送。人の代わりが居ないからやった仕事が、マネージャーとしての稼働時間を減少させる、あるいは通常断らなければいけない仕事についても受けてしまう状況を作り出していました。

そのため、社長は「稼働するのは月に10時間まで。」「社内の人件費としてはベテランドライバーの1.5倍を社長の稼働原価とする」としました。その結果、会社として受けられる仕事のキャパシティは減少しました。しかしながら、売り上げ自体は3か月でさほど変わらないレベルにまで戻ったそうです。

というのも社長が稼働して獲得した仕事については緊急性が高い案件が多く、それに対応できるだけの余剰人員を社内で確保しました。それにより、各社員の業務効率化が図られ、社長に頼らなくても(頼れない状況だからこそ)働く時間を大きくへらすことができたというのです。

実務はもうやらないと決めるタイミングはもしかしたら今なのかもしれませんね。

② 会議レス&会議ダイエット

会議というのは膝を突き合わせてやらなければいけない場合と、一言だけ「やる」「ダメ」「やりなおし」と決める場合とパターンが分かれます。こういったことを言ったら語弊を生みがちですが日本は会議が大好きな人が多いです。このA社も社長が出席する会議は月に41件ありました。この中から、1か月で50%を会議レスに変更。会議をするのではなく社長の空いている時間を曜日を決めて作り、短時間で判断してもらえそうなものについては社長の横の机で議論をする。という形式に変更。会議室で時間を集めて決めるのではなく、決めてもらうために社長の横に行くという形式にしたのです。

また、このデスク椅子を用意しないことも特徴的でした。座ってしまうとうーんとうなってしまう時間ができてしまう。だからこそ立机でみなで集まって議論をする。再春館製薬やキヤノンが行っている会議スタイルを模倣しました。その結果、一度にガッと決めることで社長自身の頭の回転数も早まり、実務で検討したいことについても早々と決まっていく状況ができていきました。

また、定例会議自体も見直しました。本当に定例でやらなければいけないことかをすべて判断月の開催回数を減らし、時間としても雑談しがちな時には社員が時計を意識できるように、でかでかとタイマーを設置。社長の時間という観点だけではなく、会社の社員達の時間を使っているという意識づけを行って、リデュースすることに成功させました。
月間にして減少した会議時間はなんと31時間。なかには5時間おこなっていた定例会議を1時間プラス書類の確認に変更し80%の時間を減らしたものもありました。

これこそが会議レス&会議ダイエットです。

③ たばこ休憩・コーヒー休憩タイマー

A社の社長は大の愛煙家。
それ自体は、個人の趣向でありますから否定すべき要素ではありません。

しかし、副流煙禁止法などにより職場からエレベーターでおりてたばこを吸える喫煙スペースまで毎度歩いていくことがなかなかに無駄でした。

産業医さんから、たばこを吸いに行ったらタイマーをつけて、帰ってきたらSTOPと押してみましょうと指示を受けた社長。実際に図ってみると、5分ぐらいだとおもっていたたばこ休憩に15分以上の時間を費やしていたということがわかりました。その15分、されど15分。1箱を2日で吸っているため、大体1時間ぐらいをたばこに費やしていたのです。

通常の平均喫煙時間が10分程度と考えれば休憩として納得感があります。しかし、1日合計1時間を浪費していると考えればなかなかに無駄残業を生んでいるということに。

社長は、喫煙自体をスパッとやめて食後と3時の休憩のみに変更。とにもかくにも、働きすぎを減らすためにできることに徹しました。

④ 判断は即断即決

最後に社長がいちばんに成果をあげたというのは、判断スピードのアップでした。顧客数が50を超えてきた時から、社長が正しい判断にかかる時間が大きく変化したと言います。持ち帰るタスクは、土日オフィスで判断する時間になってしまったり、次の機会にまでもやもやと判断をする時間が増えてしまいました。それらについて納得して判断したことであっても、トラブルを引き起こすこともあり時間と成果のつながりはあまりかじられないこともあったそうです。

いわゆる判断に必要なコストを集中できていなかった。と社長は言っています。判断するために時間を使うべきか判断する(たった10秒でも)を導入しました。その結果、決めるべきことや行動すべきことはすぐに実現、次にアクションできないことについては、やりながら判断するように部下に指示を出すように変化させていきました。

熟慮することをこの社長はやめたわけではありません。しかし、社長としての働きすぎをへらすために考えることに時間を使い過ぎないように、自分をマネージメントすることで残業しがちな自分を統制できるようになりました。

社長が働きすぎるとどうなる

多くの成功する社長達をみていると、時間の使い方が上手に感じられる人や勉強に使っている人、休み上手な人々が多いです。逆に成長の壁にぶち当たる社長ほど、自身で手を動かしてしまったり、考える時間が多かったりします。24時間という時間の使い方において、すべて働くという人も憧れますが、それ以上に効率的に働ける人の方がより素晴らしい経営者と言えるのではないでしょうか。

社長が働きすぎ体や精神にダメージをおうと、経営や会社にとってもダメージコントロールできない事態になったりします。社員としても、働きすぎる社長の健康状態は大丈夫なのか心配になったりします。そういった事態をさけるために、働きすぎストップに挑戦してみませんか?

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