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社長が会長になるタイミング「適年齢期」とは

2023.06.26
今回解説するのは、社長が会長になるタイミング。大企業の社長であっても、中小企業の社長であったとしても会社が続くタイミングではいつかはやらなければいけないこととして、この社長から会長へ変わることがあります。

実務の責任を次の世代に受け継ぐことを前提にした会社と、突然社長になる場合の会社とでは転換のときのショックが大きく異なります。今回は、社長から会長に移るタイミング「いわゆる次の社長」の決める年齢のタイミングについて解説します。

100歳まで社長をやっても問題はない?

さっそくセンセーショナルな見出しからはじめさせてもらいましたが、社長に年齢制限というのは存在しません。それこそ60歳で老いを感じて辞めるという人もいれば、100歳を超えて会社の成長の為に働き続けるという考え方もあると思います。

実際100歳まで働いた社長としては、第一交通の元社長の黒土氏が著名です。創業社長かつ、幾度の経営危機を乗り越えた敏腕経営者。一時社長職は辞したものの、90歳を超えて社長として復帰。100歳を期に会長職となりました。創業者と中興の祖と、経営危機を乗り越えたV字回復の立役者とも呼ばれ、経営指針や判断も90歳を超えてもビシバシと取っていたと知られています。老後はゆっくりとではなく、老後なく働く社長というのも経営者にとっての一つの新たなロールモデルでもあると感じさせてくれる。そんな人であることは言うまでもありません。

また、逆に一番油が乗ったタイミングで経営から手を放す社長もまた存在します。海外社長であれば、マイクロソフトのビル・ゲイツは40歳を超えたタイミングで退任。結果論かもしれないが、その後のスティーブ・バルマーによる成長を見ると、新たな社長を任命することでマイクロソフトは大きく成長したことから見るにビル・ゲイツとしての経営判断は最適だったと言えるのではないでしょうか。

日本においても、育児による社長退任や、海外事業部設立に伴う社長退任(社長はアメリカ支社の社長になる)、IPO直前に社長職を辞す。投資家と袂を分かつかたちで、株はもちつつ社長を辞めるなど意外と事例は事欠きません。ここから見るに、社長を辞めるタイミングというのはやめるべきか、やめないべきかを正常に判断できる自分なりに最適なときに行えばいいのではないでしょうか。

組織の長や中核者に対して後から年齢制限というのを設けるパターンも存在します。たとえば自民党の73歳制限などもその1つ。衆議院の選挙方式である比例代表。得票率に応じて議員資格を得られる制度ですが、その選定基準を「公認時に73歳未満」とする「73歳制限」という内規が存在します。これは、当時中曽根氏や宮沢氏などを巻き込んだ形での決着となりましたが、最初から年齢キャップを用意しておくことで組織内の人員の新陳代謝を早めるという意味合いがあるのです。年齢により職責のある人の新陳代謝を促進させることは、企業がサスティナブルな成長を行うためには必要不可欠ですから先に「何歳までしか社長をやってはいけない!」とルール化するのも手かもしれません。

70歳で社長を辞める場合

江戸時代の隠居の年齢は、大体70歳とされていました。そうでない場合、病気や特別な理由をのぞいては、働き続けるというルールになっていたのです。この70歳を選択する社長は意外にも多いです。前述したとおり、社長の引退年齢は60歳を段々と超えてきており平均寿命の向上にともない、70歳で引き継ぐタイミングだと確信する人も少なくないと思われます。

ただ、ここで気にしてほしいのが次に引き継がれる社長の年齢です。たとえばわが子に引きつごうと思ったとき、75歳社長のご子息・ご息女は「45歳~55歳」程度が一般的ではないでしょうか?継承側がどのような環境にあるかは不明ですが、場合によってはお孫さんが25歳ということだってあるわけです。60歳で次の社長が引退する場合、経営にかかわるのはたったの5年間という場合も想定されるわけです。自分自身は社長を中長期的にやれてきた自負あるでしょう。しかし、あらたな社長にとっては自社雇用をたとえ行っていたとしても、社長として活躍するための経験値をためるプロセスがありません。そういうことを考えると、社長が引退する年齢としてはちょっと遅い印象を受けませんでしょうか?

もちろん、55歳から社長に就任されて活躍される場合もあるため頭ごなしに70代での社長就任を固辞してもらいたいわけではありません。しかしながら、タイミングとしてどんなに遅くとも70代ぐらいが一般的といわれる理由がそこら辺にある気がします。

会社継承をバトンに例えると

400メートルリレーという競技をご存じでしょうか?400メートル区間を4人が分担してバトンを受け渡し走るという競技です。この競技、通常の100m競技を4回走るよりもタイムが短いとされており、トップスピードでの一瞬での再加速と、ほぼ無呼吸で走る選手たちの一瞬の対決というのがだいご味な種目です。

前年メダルを獲得した日本短距離界のエースたちでしたが、2021年の東京五輪では前評判と異なりまさかのバトンミスでの敗退となりました。これがなぜ起きたかについは日本陸上の専門家の範囲ですから今回割愛します。しかし、この通りバトンを受け渡すこと、あるいはバトンを受ける側がなんらかのトラブルになってしまった場合、競技停止や減速してしまうこととなるのです。

企業にとって前に進み成長しつづけることは約束ともいえること。受け渡すタイミングとして最適なのは、バトンの受け手側も社長と同じ速度で走り、受け取ったタイミングで社長をぶち抜いていく加速を見せることなのです。そのタイミングが来ていると感じるのであれば、想定年齢よりも早くに受け継ぐべきですし、逆に機は熟していないのであれば社長として長期運用を自己の判断で行い続けるべきなのです。

最後に繰り返しになりますが、社長から会長に引き継がなければいけない、あるいは社長は〇〇歳で」会長にならなければいけない。という原理原則はありません。ですが、常に考えるべき一つの行為として、ビジネスシナリオの一つとして常に考えて置くことは必要だと言えるはずです。

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