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成功社長が実践する「異常値法」とは?

2024.05.17
「伸びていることを伸ばす」業績アップの鉄則です。成功社長は伸びているところを見つけるのが得意です。
伸びている部分、異常値が出ている部分をどのように発見し、どのように強化すればいいのでしょうか?
また、あえて異常値を作り出し、他社と差別化をはかり、独自性を作ることも重要です。
成功社長が実践している「異常値法」を解説します。

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戦術面と戦略面

「異常値法」には2つの観点があります。

戦術面として、事業別や商品別、プロモ―ション別に異常に伸びている部分を見つけて、その点を強化することで業績を上げていく手法です。

もう1つ戦略面として、異常なビジネスモデルで業績を上げていく手法です。(例:業界平均で地代家賃は売上5%のところを10%の地代家賃にして好立地を生かし、業績を上げるなど)

社長の仕事は異常値を見つけること

画像提供:PIXTA

大きな視点から細部までを分析した上で、異常値を発見することがポイントです。

まずは、事業単位で昨年対比二桁成長しているところはないのか?(または、50%増など異常に伸びている部分はないのか)を見ます。

次に、段階をもう少し細かく分析して、各事業の商品・サービスで昨年対比二桁成長しているのはないのか?(また、50%増とか異常に伸びているところはないのか)を見ます。

商品・サービスも大分類から中分類に、そして小分類へと細かく落とし込んでみていきましょう。細部まで見ていけば、異常に伸びている商品・サービスを見つけることもできると思います。それは、金脈と言えます。

さらに、その金脈の商品・サービスをどうプロモーションするかが重要です。

こちらに関しても各プロモーション媒体をすべて確認し、どの媒体で告知を強化するか確認しましょう。「伸びている商品・サービス×伸びているプロモーション」に思いっきり投資をしていきましょう。

人材面にも適用できる

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人材面にもこの考えは適用できます。

・エース人材は、伸びている事業に配属。伸びている商品・サービスに関わるようにする

・人員は伸びている事業、伸びている商品・サービスに人員を集中。増員させる

簡単に人材の異動はできないよと思んじている方もいると思います。上記のようにフレキシブルに人材を異動や集中させることができるようにするためには、「①仕組み化」「②採用段階から異動が当たり前」にしていくことが重要です。

例えば、「イモトのWiFi」から「にしたんクリニック」に大きく事業シフトしたエクスコムグローバル株式会社の西村誠司社長も異動が前提の採用をしていたようです。

伸びているところに、ヒト・モノ・カネ・情報を大きく集中させることこそが業績アップの王道になのです。

異常値のビジネスモデルづくり

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業績を伸ばし続ける、強いビジネスモデルは「異常値」から始まります。

業績好調なある八百屋の例です。

規格外野菜(色や形、大きさが基準から外れ、一般的な流通になっていない野菜)を集客商品として破格で売り出し、通常の野菜や他の食材を買っていただくことで、収益性を調整しています。価格の異常値を作って集客力を高めているのです。

また、好立地に出店しているため地代家賃は高いですが、その分、ハード面はあまり費用をかけていません。プライスボードは野菜を仕入れた段ボールに手書きにしています。

この事例は、PL(損益計算書)型の異常値となります。PLだけでなく、BS(貸借対象表)でも異常値を作るとさらに強いビジネスモデルになります。

最近上場したスーパーマーケットのトライアルさんは、圧倒的な規模(在庫量)でテック力による少人数体制を商品価格に反映して業績を伸ばしています。

大きな異常値は

① 他社よりも安い価格(②と③を反映)

② 他社よりも大きな規模(在庫量)※大量仕入れで安価、規模が大きいことによる集客力を活かして販促費削減

③ テック力を活かして他社より人件費がかからない

この圧倒的な規模(在庫量)はBSの工夫で実現できます。

リーディングカンパニーのビジネスモデルの磨きこみとは?

近年は、PL型の異常値法もさらに深堀りをしています。

事例にあげた八百屋は、PLの粗利部分での工夫でした。

現在は、販管費部分でも、メリハリ化を促進(異常値法)し、販管費で削減できた部分をさらに価格に反映させ、さらなる売上を伸ばしていることもあります。

例えば、デジタル化に伴い、デジタルツール関連の費用が大きく増えているかと思います。デジタルツールについては見直しを推奨します。

・本当に必要なデジタルツールか?

・他のデジタルツールと併用や代替、統合できないか?

・もっと適切なデジタルツールがあるのではないか?

を調べてみてください。ある会社では、1人あたりの月間システム量が3万円程度削減できる可能性も出てきています。ここで削減できた収益は価格に反映して、他社が真似できないレベルに安く設定したり、賃上げに適用したりして、より業績向上にコミットしていきます。

異常値はどうやって発見するのか

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最後に、業績を上げ続ける強いビジネスモデルを構築するための異常値をどうやって発見するかです。

大きく3点あります。

1) 実績を確実に把握する仕組みづくり(BI経営、クラウド会計の導入等)

2) 自社基準と業界基準、業界リーディングカンパニー基準を知る

3) 異業種の成功事例を多く知る(海外企業の事例も参考にする)

1) 実績を確実に把握する仕組みづくり

まずは、自社の実績を正確に把握できないと何が良いのか、何が悪いのかわかりません。自社の実績がわかれば、上述したように異常値が出ている好調商材に異常なほど強化することができ、突き抜けた実績を出せるでしょう。

自社の実績を正確に出すために、ワークフローの整理、会計の整理およびデジタル化、BI(ビジネスインテリジェンス)つまり、ビジネス情報の可視化をしていくことです。

2) 自社基準と業界基準、業界リーディングカンパニー基準を知る

自社の実績を確実に把握できれば、自社基準ができていきます。平均成約率は〇%、平均買い上げ率は〇%。地代家賃は売上の5%などです。

業界基準については、

・TKCグループが公開しているBAST要約版を参考にする

・業界専門のコンサルタントに聞く(船井総研など)

・付き合いのある税理士に聞く

・業種別審査事典を見る(大型の図書館で読むことができます)

などからPL構造や業界基準を知ることができます。

また、業界のリーディングカンパニーの情報を知ることも重要です。 こちらは、

・同業界で上場している企業のIRから決算情報を丁寧に読み込む

・帝国データバンクや東京商工リサーチからベンチマーク企業の企業情報を購入する

・同業者に聞く

などが考えられます。 基準を知ることで意図的に業績アップにつながるような異常値を作っていきましょう。

3)異業種の成功事例を多く知る(海外企業の事例も参考にする)

成功事例を多く知るほど、引き出しが増えて、いざというときにピンと業績が上がる種を見つけることができます。

様々な勉強会やセミナー、読書、社長onlineのようなビジネスメディアに積極的に多く触れていきましょう。

社長onlineでは300名以上の社長にアンケート調査を行いました。月間の勉強代に関していは、3割以上の社長が5万円以上を費やしていました。

成功する社長になる第一歩は、「異常値」を見つけることだと考えます。

今回紹介した異常値法をできる範囲から実践してみてはいかがでしょうか?

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