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経営者が考える節税対策の落とし穴とは 元国税専門官の教える税金対策

2023.04.23
4月の特集「社長のお金の使い方」。今回は多くの経営者にとって関心が高い税金対策について元国税専門官でフリーライターの小林義崇氏にお話しを伺いました。国税専門官として相続税の調査などに従事した経験を基に経営者が税金とどう向き合うべきかを解説します。前編は所得税・法人税です。元国税専門官の視点で考える節税対策の落とし穴とは。

小林義崇氏 1981年、福岡県生まれ。西南学院大学商学部卒業。2004年に東京国税局の国税専門官として採用され、都内の税務署、東京国税局、東京国税不服審判所において、相続税の調査や所得税の確定申告対応、不服審査業務等に従事。17年、東京国税局を退職し、フリーライターに転身。著書に「すみません、金利ってなんですか?」「イラスト図解 絶対トクする! 節税の全ワザ」など。新刊に「会社も税務署も教えてくれない 会社員のための節税のすべて」

節税対策の大きな考え方

節税の基本は「税金を計算するときの基準となる利益を下げる」ということにあります。税金は法人税も所得税も稼いだ利益に対してかかってくるので、多くの方は税金を抑えようと考えると、利益を下げようという意識が働きます。
多くの経営者は期末になって、いろいろと物を購入したり、取引先の接待費を増やしたりしながら経費を増やして節税対策をしようと考えがちです。しかし、その節税のための行動によって、実は会社のお金を減らしてしまいます。その理由は、節税の効果よりも節税対策のために払っているお金の方が高くなるからです。例えば税率が3割と考えると、経費を10万円増やせば3万円分の節税効果がありますが、実際は差引の7万円を余計に負担している形になります。
私はこのような節税対策はよくないと考えますが、実質的にお金を減らさずに節税の効果がある方法がいくつか存在します。
例えば「経営セーフティ共済」という制度です。これは、取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。この経営セーフティ共済に積立金を払うと、それは全額が経費になります。しかも積み立てたお金は将来的に戻ってくるので、お金を失わずに節税できるのです。こういった制度を使うのが節税対策の基本になってくると思います。

 

 

経費を増やし過ぎた結果、、

 

画像提供:PIXTA


経営者の方に考えておいてほしいのは、節税対策のデメリットです。節税対策をすると見かけ上の利益が減るため、会社の財務状況が悪くなる上、銀行から融資を受ける際にネガティブに働くことになります。銀行の融資は基本的に財務諸表をみて健全な会社であれば有利な条件でお金を貸すという仕組みです。極端な話、節税対策をして会社を赤字にしてしまっては、銀行からお金が借りにくくなってしまい資金繰りが悪化する事態にもなりかねません。
また、節税対策となると「役員報酬を上げて利益を下げよう」という考えになりがちですが、これも危険です。会社の節税をしたつもりでも、役員報酬を上げれば社長個人の税金や社会保険料の負担が増えてしまいますし、高額療養費制度や自治体により差はありますが児童手当などの受給にも影響するので、慎重に考えなくてはいけません。

 

 

この経費の使い方はセーフ?アウト?

 

画像提供:PIXTA

 

経費について正しく判断ができることも重要です。税務署が税務調査で経費をチェックするときは、基本的に「事業と関係があるか」という視点で見ています。明らかに仕事用に使っている物や仕入れた商品であれば問題ありませんが、事業とプライベートを兼ねたような「グレーゾーン」は指摘されやすいです。
例えば、福利厚生費という名目で家族旅行の代金を経費にすると、税務署から否認されます。社員旅行に家族も同行した形ならいいのですが、社員が社長とその奥さん2人だけの会社の場合は2人での旅行を経費だと説明しても、税務署はプライベートな旅行だと判断するでしょう。
福利厚生費に関しては細かいルールがあり、スポーツジムの会費やゴルフ代、野球観戦費も経費として認められることもあります。
そのためには「会社の福利厚生目的」だと示せる根拠を用意する必要があります。例えば就業規則に「社員の野球観戦に対して会社としてお金を支給する」といったルールを定めておけば、それが経費と認められやすくなります。
気をつけたいのは、

 

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