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会社役員の給料の決め方とその重要性について

2023.10.18

会社役員の給料を決める要素

日本国内の企業において、給料は様々な要素によって決定されます。その大部分は企業の業績、役職の有無、そして個人の業績が評価されるためです。それぞれがどのように影響を与えるのか見ていきましょう。社長の給料というのは組織全体の運営状況や業績を反映する重要な要素であり、またリーダーシップや意志決定を示すものであると言えます。そのため、その要素がどのように影響を与えるかを理解することは企業の内情を知るために重要となります。
 

業績連動型の給料設定

会社役員の給料が業績連動型で設定されるケースも少なくありません。これは、企業の業績が良ければその分役員の給料が上下していくというもの。
例えば、売上や利益が増加すれば、会社役員の報酬も比例して増加します。逆に、業績が低くなれば給料もそれに比例して低くなるのです。この業績連動型の給料設定は、役員が自身の経営戦略や意志決定により企業の成果を上げるように働きかけるための方法とされています。だからと言って、全ての企業でこの業績連動型が適用されているわけではありません。企業の体制や規模、業績の評価方法などによって差異が生まれます。
対する外部取締役の場合は固定給の場合が多く、年額でどの程度支払われているかが開示される場合もあります。こと株式会社で上場している場合、有価証券報告書において取締役にどれだけの報酬が支払われているのか記載する必要があります。
変動というニュアンスでは、上場前企業における取締役はストックオプションといった形で株式の付与を約束されています。所有株数×企業価値に基づく株価と考えれば、一般的な上場企業の取締役の10年分あるいは100年分の役員報酬を1度に得られる場合もあります。(対するリスクや、上場の難しさは言うまでもありませんが)
 

役職年数と役員給料

役職に就く年数もまた、役員給料に大きな影響を与えます。一般的には、会社員であれば経験年数が増えるほどその給与は高くなる傾向にあります。しかし、会社役員の場合は、役員報酬が高まるロジックとしては、会社や業界全体の景気動向であったり、コミットメント具合により左右されがちです。
長きにわたって経験を積み、企業管理に必要な知識や技術を習得してきた者への賞賛ともいえるでしょう。また、生え抜きの役員であれば経験年数が長ければ引き受けるリスクも大きくなり、それに応じた報酬が支払われるべきだと考えられています。しかし、全ての企業がこの原則を適用しているわけではありません。企業の規模や業界、業績等により、経験年数と給与の関係は異なるのです。 

役員報酬の上限・下限

会社役員という役職は、社長の横で伴走し会社全体を見渡すもので、会社の方向性を示す役割を持つ重要なポジションです。その重要性ゆえ、社長の給料と同等に高額に設定されることが多いです。
しかし、あまりにも高すぎる給料は、経営状況や社員との格差拡大など、様々な問題を引き起こす可能性があります。一方で、低すぎる給料も役員というストレスの多い職種で働く動機付けや働き甲斐に影響を及ぼす可能性もあります。このように、給料の上限・下限の設定は、会社運営における項目の一つとし重要性が課せられています。
 

給料の上限設定の重要性

高すぎる給料は、会社の経済的な負担を増大させる恐れがあります。また、単独の賃金上昇は、他の社員との間に「給与格差」を生じさせることで、社内のコミュニケーションやチームワークにマイナス影響を与える可能性があります。この格差は、結果的に会社全体の生産性低下につながる場合もあるのです。給料の上限設定は、このような問題を防止する手段となります。上限設定により、賃金上昇が会社全体の負担とならないようにし、また、社員間の健全な給与バランスを維持できるのです。
また非上場企業であったとしてもその役員報酬にしっかりとしたロジックがなければ「高すぎる」あるいは、「もらっている割に仕事をしてくれない」など、後ろ指をさされることとなるでしょう。
 

給料の下限設定の意義

一方、給料の下限設定も同様に重要な役割を果たします。役員役割は、会社全体の経営方針を立案し実行するという、大きな責務とリスクを伴います。これに対する適切な報酬がなければ、その動機付けを損なう恐れがあります。さらに、他社との競争においても、経営者と同等の職責である職員が会社の成否を左右すると言えます。そのため、優秀な人材を確保、そしてその人材が持続的に働き続けられるような給料の下限設定が必要なのです。
 
 

会社役員の給料の決め方

重要な地位の人間が受け取る給料、すなわち報酬は企業の成功に大いに影響を与えるため、その報酬は公平性と適性を問われたりすることがあるのです。では、具体的に会社役員の給料はどのように決められるのでしょうか。

 

会社役員の給料の決定プロセス

一般的な会社役員給料の決定プロセスは、まず取締役会で決定されます。実のところ年功序列や職責に求められる仕事の質によって左右される部分や、上場企業であれば競合他社の役員の金額により左右される部分が少なからず存在します。
しかし、それだけが全てではありません。社長ら経営陣の報酬は、株主総会で承認を得なければならず、そのための報酬体系を設計する役割が、企業によっては報酬委員会という専門の部署に所在しています。報酬委員会は、その組織の競争力を維持し、優秀な人材を確保するために、適切な報酬額を見つける役割を果たしています。また、企業の利益を追求する株主と、労働者の待遇改善を求める労働組合との間に立ち、そのバランスを保つ難しい役割も果たしていきます。
 

社長の給料を決定する部署と役職

企業の報酬体系の決定は、その企業の大部分の繁栄と経済状況を反映しています。報酬決定に重要な部署と役職としては、主に合議制か社長の決定によって決められます。ただ、国内大手企業における役員報酬について社長の独断で決まる場合はすくなく、一般社員の人事制度とおなじく役員報酬を公正に評価・決定するために設置されたルールのもと、社外役員を含めて過剰・過少ではない役員報酬が支払われます。
 

ちなみに社長の給料はいかにして決まる?

社長の給料を決める定石というものは、いくつかの要素を考慮に入れています。まず、その企業の業績、すなわち利益は重要な基準となります。また、社長の経験、語学力、専門知識などの個人的能力や業績も給料に大きく影響します。さらに、同一業界の他社の社長給与との比較、あるいは、その企業の従業員の平均給与との比較も念頭に置かれます。これらを全て踏まえて、報酬を決定することにより、適切な報酬水準を維持し、社長のモチベーション向上や優秀なリーダーの迎え入れを可能にしていきます。
詳細については、下記記事をご覧ください。
 

給料と企業財務

給料というものは、一見すると経営者個人の富裕度を示すもののように思えますが、それ以上に企業財務に深く影響を与える要素であります。経営者の給与は経営性能の評価、モチベーションの向上、リスク対策など、多方面に渡って企業運営に関与します。その給与が妥当かどうか、またその金額は企業の財務状況と適切にバランスを取っているか、それらは企業の健全な経営が可能かどうかを示す大切な指標なのです。
 

給料と企業収益の関係

企業収益と社長の報酬は密接な関連性を持っています。経営者の給与などの報酬が高いと、それが企業収益と照らし合わせて妥当であるかどうか、社員や投資家、そして市場から注視されます。経営陣に対する高額報酬は、その企業が高い利益を上げている、つまり経済的に健全である証とも取れます。しかし、収益が見込めない企業であっても社長の給料が膨大であると、経済的バランスが崩れるだけでなく、社内のモラルや組織風土にも影響を及ぼすでしょう。
場合によっては、業績が悪いとメディアから攻撃を受けることがあります。そういった際に、「社長が〇〇万円もらっている」「役員は〇〇円だった」という情報も攻撃のひとつのきっかけとなってしまったりする点に注意が必要です。
 

役員報酬が企業経営に与える影響

役員報酬が高いことは、必要な人材を確保し、その人材を長期にわたり結びつける手段でもあります。その一方で、過剰な場合、企業の健全性を損ない、ステークホルダーからの信頼を失う原因となることもあります。その人物に支払う役員報酬としての適正度というのは、初年度では決定しずらく、成長する要因は実のところ経営陣ではなく市場動向や社員の頑張りであったりする場合もあるのです。そういった意味ではインセンティブの観点だけでなく、企業経営全体の観点からも必要とされています。社長の報酬設定は、企業の利害関係者に対して企業経営への深い理解と体制の透明性を伝える手段になります。
 

企業信用度

企業の信用度が社外取締役においては大いに影響を与えます。社外取締役は時に、攻めと守りの存在です。給料を稼ぐための経営者のパフォーマンスが期待される形とは異なるベクトルで成果が求められます。
適切な報酬設定がなされていれば、投資家やクレジット業者、顧客はその企業に対する安心感を持つでしょう。給料設定が適切であればあるほど、社長や経営陣に対する期待と信頼感が増し、それが企業の信用度上昇に繋がります。同時に、社長が自己報酬を優先する形にならないようなバランスの取れた報酬設定が求められます。
 

社長の給料と法律

社給料というのは、会社のビジョンを具現化し、その実現のために尽力するトップマネジメントに対する報酬です。しかし、いくら社長の働きが優れていれども、その報酬が適正であるとは限りません。法的な視点から考えると、社長の給料は一定の基準とルールに基づいて設定しなければならないのです。特に、不適切な給料設定は、企業の健全な経営を阻害し、法的問題を引き起こす可能性もあります。それでは、具体的にはどのような法律が社長の給料に関係し、また問題が発生した場合にどのように対処すべきなのでしょうか。
 

給料設定に関する法令

給料設定には、商法や会社法などの法律が関与します。商法においては、報酬は会社の取締役が決定すると定められています。一方、会社法では、報酬の額や支払い方法に関する具体的な基準は示されておらず、それは各社の経営判断に委ねられています。ただし、ここで重要なのは、報酬が適正であるべきとの原則です。そのためにも、企業は直近の業績や市場の標準額、企業の規模等を考慮し、適正な報酬を設定しなければならないのです。
 

違法な役員報酬に対する対応

不適切な給料設定が明らかにされた場合、法的な対処が求められます。まず、役員報酬が過剰な場合、それは無駄遣いと見なされ、株主から賠償請求されることがあります。また、報酬が不明瞭である場合、それは情報開示義務違反となり得ます。いずれの場合も、問題が発覚した段階で迅速な対処が求められます。誠実な対応とは、事実を明らかにし、適正な修正を行い、再発防止策を立てることです。
税務的にも役員報酬の渡し方においては、近年信託SOで訴訟が起きるなど判断が分かれる部分もあったりします。担当税理士や税務の担当官とのやり取りを会社として、あるいは個人としてしっかりと行っていく必要があるでしょう。(少なくとも確定申告はされるかと思いますので。)
 

法的な問題を避けるための方針

法的な問題を避けるためには、まず社長の報酬が透明であり、その基準が明確であることが重要です。また、報酬設定は、社外の専門家や株主を巻き込むことで、より公正さを保つことも可能です。
さらに、給料設定のプロセスを会社法に則った形で記録し、その記録を適切に保管することで、給料設定が適法であったことを証明する材料を用意することも重要です。以上のような措置を講じることで、社長の給料設定に関する法的な問題を避けることができるでしょう。
 

社長の給料の透明性

組織の健全な運営には、そのリーダーを補佐する役員陣(外部取締役・取締役両方)の給料がどのように設定され、どれだけ報酬を得ているのかを知ることが求められています。社長の給料設定に透明性があることは、組織の信頼性と公平性を向上させるキーとなるのです。さらに、組織内部だけでなく、外部のステークホルダーからも組織への信頼を得られる要素となります。この節では、そんな社長給料の透明性について考察します。
 

給料公開のメリット・デメリット

給料を公開することには、何らかのメリットとデメリットが存在します。メリットとしては、まず透明性が挙げられます。組織施策や投資の優先順位、特にその成果を反映する社長の給料がどのように設定されているのかをしっかりと社員に示すことで、組織の公正性や公平性を保証できる可能性があります。また、この透明性は組織内外からの信頼を得るための強力なツールとなるでしょう。
 
しかしながら、デメリットも無視できません。給与情報は極めてプライベートな情報であり、その公開は個々のプライバシーへの侵害と捉えられる場合もあります。また、給料の額によっては、社員間での不平等感や嫉妬心を煽り、組織内のコミュニケーションに悪影響を及ぼす可能性もあります。
 

役員給料の公開対象

役員の給料の公開対象は大きく2つに分かれます。上場企業であれば、主に株主や社員に対しての開示です。企業は経済活動における株主に対して経営責任を負い、その経営成果を明らかにする義務があります。同様に、社員も組織の一員として社長の報酬に興味を持つ権利があるとされます。
非上場企業であれば、役員を目指すという目標づくりや、高いフィーを払っていることによる社員達の監査的な意味合いもあるでしょう。企業では社員の労働を通じて得られる利益が社長の報酬にどのように反映されているのかを知ることは、社員にとって重要なインサイトを提供します。よって、株主と社員を公開対象とすることはあくまで社長の判断や業態によるところが大きいです。
 

公開する給料情報の種類

公開する給料情報の種類は基本給、賞与、ストックオプションなどが一般的です。基本給とは定期的に支払われる給料のことを指し、業務の成果によって変動しない部分を含みます。それに対して、賞与は業績に対するインセンティブとして支給されるもので、業績により大きく変わる可能性があります。また、ストックオプションは特別な報酬の一種で、社長自身が企業の成果を直接享受する形となります。これらの情報を詳細に開示することで、社長の報酬がどのような形で設定され、その業績にどれだけ連動しているのかを把握することが可能になります。
 

給料改革の必要性

近年、高額な役員報酬も問題視されています。経営者の給与体制は、社員からの評価や満足度、労働環境にも深く関わってきています。そのため、給与の公正な設定は働く環境を改善し、社員のモチベーション向上にも繋がるのです。ここで、給料改革の必要性について詳しく見ていきましょう。
 

給料設定の見直しとその方法

まず、給料設定については公正性が求められています。企業成績や業績、社員の平均給与と比較して公正な給与水準であるか、また役員報酬会社の財務状況に見合ったものであるかを考えるとき、その設定を見直す必要があります。
定額型の役員報酬であれば、結果がでなければ減額、あるいは契約関係の解除ということもありえるでしょう。株価や業績、社内評価などに連動した給与設定を導入することです。また、社内での公開と透明性の確保も重要で、これにより社員の理解や納得感が得られるでしょう。さらに外部のコンサルタントによる評価を導入することで、客観的な評価を行うことが可能になります。
 

給料改革の目的

給料改革の目的は、公正性の確保にあります。これは、企業の収益と直接の関連性を持ち、良好な業績を上げている企業であればその成果を反映する形の給与であるべきです。また、給与決定のプロセスに透明性を持たせ、社員の理解や納得感を得ることが求められます。その結果、社員の満足度やモチベーションの向上を図り、企業全体の生産性や労働環境の改善につながります。
 

改革の必要性を感じる状況

自身が自社の経営成績や業績に見合った給与を受け取っているか疑問を持ち始めたとき、給料改革の必要性を感じる状況になります。また、社員からの役員に対する報酬への不満が高まったときや、社内で公正な評価が行われていないと感じたときも同様です。
また、企業の業績が好調であるにも関わらず、給与がそれに見合って上昇していない場合も、給料改革の必要性を感じることでしょう。