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4人家族はマイノリティ?地盤ごと変化するマーケット

2023.05.23
「4人家族(夫婦と子ども2人)はマイノリティになるかもしれない」

少子高齢化が進み人口が減少し続ける日本。総人口は2050年に1億人を切ると予想されています。人口減少や世帯数の変化はこれまでのマーケットにどんな変化をもたらしているのでしょうか。新築住宅業界ではこれまでターゲットにしていた4人家族の割合が減ってきているといいます。
あるコンサルタントは「これまでのビジネスモデルが、もはや地盤ごと変化している」と指摘します。変化に気付いてからでは、遅いでしょう。10年後20年後先を見据え変化していくマーケットに対応していくことがますます重要になってきています。

今回は、毎月1回以上行っている「特集記事」より「マーケティング」のテーマ記事の一部分をお届けします。

人口は減少しているが、世帯数は増加

総務省が5年ごとに実施している国勢調査から世帯数と人数の推移をみていきます。最新の令和2年の調査結果では人口は減少し続けていますが、世帯数は5570万5000世帯で2015年から238万1000世帯増えているのです。ただし、1世帯当たりの人数は減少しています。

世帯数を世帯の人数別にみると、1人世帯が最も多く、世帯人数が多くなるほどその数は減ってきています。2015年と比較すると、1人世帯は急増し2人世帯も増加していますが、3人以上の世帯は横ばいから減少しています。

現在の日本における世帯数

増加  1人世帯(大幅)、2人世帯
横ばい 3人世帯
減少  4人以上の世帯

4人以上の世帯数が減少し続けているいま、4人家族をメインターゲットにしている市場ではどのようなことが起きているのでしょうか。人口減少だけではない市場の変化も含めて、住宅担当コンサルタントに聞きました。

メインターゲットが減った住宅市場で起きていること

いままで一般とされた4人家族は顕著に減少し続けている

画像提供:PIXTA


住宅会社は基本的に4人~5人家族、間取り3LDK~4LDKの新築物件をターゲットにしています。メインとなる客層は、20代後半から30代で小さいお子さんがいる世帯でした。

しかし今、そのメインターゲットの割合減ってきているのです。

もちろん人口が減っていることも影響していますが、それ以外の層の割合が増えてきています。


例えば、シングルマザーの親子、未婚の子どもと母親、男女問わず1人で家を建てる方などです。

4、5年前は「増えてきつつある」と感じていた層が確実に「増えて」きています。客層が多様化しているのです。1人で家を建てる方は、昔はいわゆるマイノリティでした。現在も割合としては少ないですが、特別な存在ではなくなってきています。

住宅を購入するタイミングがずれてきている

また、以前は子どもが小学校に入学するまでに住宅やマンションを購入したいというニーズがありましたが、今は「様子を見る」という方も増えています。

実際、35歳~30歳代後半で子どもが小学校高学年や中学生になってから、初めて家を購入したいというケースもあります。

話を聞くと、かつて住宅購入を検討した時期はあったそうですが、当時は様子を見ようと考えたそうです。世の中の情勢や世帯の収入が将来どうなるか分からないといった理由もあるでしょう。
住宅を購入しようと考える時期も、かつてと比べてずれが生じていると感じています。

小さい家が選ばれる傾向

画像:PIXTA


さらに、住宅の広さも変化しています。
坪数が小さくなってきています。新築は地方都市では、35坪から40坪が平均でした。しかし、住宅生産団体連合会が主要都市圏において調査した「戸建注文住宅の顧客実態調査」によると、2005年度に142平米(42.9坪)だったのが、2014年度では129平米(39.0坪)になっています。おそらく今は30坪まで小さくなっていると感じています。部屋1つ分がなくなっているのです。
その理由には、もちろん4人家族が減少していることも挙げられますが、4人家族でも小さい家を選ぶ方が増えているのは間違いありません。

原因の1つはお金でしょう。賃金が上がらないため、建築費、維持費が安くなる小さい住宅を選ぶ人が増えたと考えられます。

そして、おそらく家族のカタチも変わってきているのではないかと感じています。

男女のきょうだいを一緒の子ども部屋にする方や、子ども部屋自体を作らない方もいます。

コロナ禍以前から、徐々にこれらの傾向が見られています。そしてこれらの変化は、コロナ禍の3年間でガラッと変わってきた印象です。

資材高騰の影響で客層が変化

また、住宅業界に限った話ですが、ウッドショックなど価格高騰の影響で、住宅は1棟当たり、200万~300万円値上がりしています。 

200万円変わると住宅ローンの返済額が変わってくるため、購入する客層に変化が生じました。今まで家を買えた層が買えなくなり、逆に今まで来店しなかった層が訪れるようになりました。
今、そこに苦戦してる住宅会社が多いです。これまでと違う層の顧客に対しては、接客に対する考え方や対応の仕方が異なります。そこがチグハグになり、売れなくなっていまします。

そこで、今一番売れている家は何かというと……。