社員数100名を超えても成長し続ける-社員を奮い立たせるPMVVとは
-
2023.11.25
- 「社員が100名を超えてから業績が伸びない」と悩むことはありませんか?
社員数が100名を超えると成長が横ばいになってしまう企業の共通要因について解説しました。「イノベーションを起こし、持続的成長企業に生まれ変わりたい」。そんな社長に向けてお届けします。
以下の記事は、経営者向け有料情報サービス『社長online』の一部になります。月々1,650円で成功事例や新たなビジネスフレームを学べるので、是非加入を検討してみてください。
1、企業の成長が横ばいになる7つの要因
企業の成長が横ばいになる7つの要因は以下です。
①創業時、情熱を持って掲げた経営理念が希薄化していないか
経営理念は、創業時からの会社経営における目的・哲学を表しているものです。経営者を含め全社員がそこを目指していく必要があります。「私たちは」という主語の下で、理念を整理する必要があります。
②経営戦略の軸となる使命が社内で浸透しているか
自社の使命・役割を正しく認識できているでしょうか。使命とは自社の事業を通して地域に・お客様に・社員のために出来ること・行っていることを指します。このミッションを全社員が理解し、体現できる言葉になっているかをチェックしてみてください。
加えて、経営者自身、社員、お客様も、「内発的動機」を持てる使命・役割・ミッションを軸に経営戦略を進められているかという点もチェックしましょう。
「内発的動機」とは、心の底から打算なくやりたいと思う感情です。いわば、「鼓舞された感情」です。一方「外発的動機」は、給料や役職・地位・名誉など他と比べて相対的な感情に基づいた動機です。これはいわば「操作された感情」です。
もちろん外発的動機も必要ですが、どうしても社員はそちらに寄っていってしまいます。内発的動機を社員・経営者自身が意識的に持てるかという視点は重要な意味を持つのです。
③自社の展望を表すビジョンが形骸化していないか
ビジョンとは前述の理念を翻訳したもので、企業のあるべき姿・展望を表すものです。ビジョンがないと理念・ミッションがあっても、社員がバラバラに自分の方向に進んでしまう恐れがあります。
自社のビジョンが今期の事業計画が中心になっていませんか?
今期の事業計画が中心となると、社員は日々数字に追われることになり、外発的動機しか発露せず成長を見込むことができません。成長を遂げるには、未来のあるべき姿を可視化し、考える企業になることが必要です。
④社員の主体性を育むバリューがあるか
前述の会社の理念・ミッション・ビジョンが大事といわれても、社員には10年・20年後の未来をイメージすることは難しいと思います。そこで、日々の業務の中で理念・ミッション・ビジョンを実現していると実感できるバリューが必要になります。こ4点がそれぞれ結びついていることが重要です。
バリューをもとに「マップではなくコンパスで動く」ことで、方向性を定めて主体性を育むことが可能になります。社長だけの判断軸は一体化を崩してしまう恐れがあるのです。
⑤未来の成長を支える新商品・新事業発想があるか
既存事業だけではいつか成長は止まってしまいます。既存事業に固執した企業は意思決定に時間がかかった上で、やらないという結論になる傾向が強いです。
社員一人ひとりが新たな事業を考える文化があれば、業績アップし続ける企業へと成長することができるのです。ここで理念・ミッション・バリューを実現するためにビジョンの明確な体現として新商品・新規事業の発想が必要です。既存事業を活性化させる発想から未来の新規事業への発想を持つことが肝要です。
⑥必要な人財開発を後回しにしないか
人財開発を採用・育成として考えてはいないでしょうか。そうした企業では新卒はすぐに使えないという理由から、即戦力の中途採用や必要に応じた補充採用が増加する傾向があります。
結果としてインセンティブ評価もあり、離職率が高くなり、逸材社員は成長が期待できる会社へと転職してしまいます。継続的人財開発が未来に向け組織を成長させるカギとなります。
⑦組織作りが後回しになっていないか
成長が横ばいになっている企業の組織の状態として、以下の4つが挙げられます。
最終的に企業を成長させるのは人・組織です。日々の常務に追われていても組織作りに力を入れる必要があります。
2、社員の内発的動機が発露し成長する企業
成長が持続している企業の共通要因は、”会社の『方向性(計画、ビジョン)』に『社員の心(モチベーション)』をどれだけ載せられるかが重要である”ことを熟知している点です。
そこで、組織軸のPMVV(理念・ミッション・ビジョン・バリュー)が重要です。成長企業が重要視するPMVVの詳しい定義や考え方は以下の通りです。
給料や役職・地位・名誉などの外発的動機とは別に、純粋に「これがやりたい・絶対やらないといけない・やることが私たちの役割や存在だ」というものがPMVVの位置付けです。「だから、私たちは・・・」という繋がるストーリーで策定しましょう。
以下は、PMVVを策定し、大きな成長を遂げた企業の事例と社長のコメントです。
3、なぜ中期経営計画が不要と言われるか
また、成長を続ける企業は「中期経営計画がない」のも特徴です。
中期経営計画がないのにどう社員の目標が実現できるのか。実は「中期経営計画がない」代わりに「明確なPMVV」があります。
読みづらい未来では「中期経営計画」は使えません。自社の「中期経営計画」が以下の2点に該当していないでしょうか。
数値へのコミット性が高くなりがちで、視野が狭くなってしまいます。その結果、イノベーションが起こらない・後回しになりがちになります。また、計画が走り出すとタスクに追われている感が社員のモチベーション低下を招く恐れもあります。
4、社員の心が奮い立つ「ビジョン経営」
では、社員のモチベーションが上がるビジョン経営とはどういったものなのか。
ビジョン経営とは、未来のあるべき姿を設定しバックキャスト視点(逆算)の下で行う経営です。社員を鼓舞する良いビジョンがある一方で、社員が疲弊してしまう悪いビジョンもあります。以下を注意してビジョンを策定しましょう。
5、どのように良いビジョンを策定するのか
内発的動機が生み出されるPMVV策定のステップを解説します。
①PMVVはわかりやすくしましょう。PMVVは社員・経営陣・社長全員の共通の目的であり、夢であり、志です。それを実現するために目標と手段があります。
設定したビジョンがPMVVの体系全体のことでストーリー性があるのか、未来に向けた経営の「変革と挑戦」を示すものか、という点を意識してみてください。
PMVVの一貫性のチェックに加え「V(バリュー)」設定の際は以下の点をチェックしてみてください。バリューはPMVと日常業務を繋ぐ役割を持っています。
②ビジョン実現のためには全社戦略(組織人事戦略、財務戦略)と事業戦略(差別化要素、マーケティング発想)に分けて考える必要があります。
トップの全社戦略への着手・注力が成長のカギです。
トップが全社戦略に集中できるよう、PMVVが浸透した経営チームを組織する必要があります。その結果、専門性とスピードがアップすることにつながります。
また、経営チームには、ただPMVVを浸透させるのではなく「経営チームも社員も一緒に」浸透されるという考え方を持つ必要があります。
「させる」式の浸透では社員は価値観を無理やりすりこまれている・強要されていると感じてしまいます。社員にPMVVを浸透させるためにも、経営チーム全体がPMVVへの理解度を高め、体現していきましょう。
6 、組織が成長し続けるには
イノベーションが起こる持続的成長企業となるには、正しい組織の成功循環モデルを知ることが重要です。
組織には「関係の質」「結果の質」「思考の質」「行動の質」の4つの質があります。結果の質を最優先にする組織はバットサイクルに陥る傾向があります。
一方で持続的成長を遂げる企業では、「関係の質」を最優先したグッドサイクルが循環しています。
「関係の質」・「思考の質」を重要視したことで、結果の質に変化が見られた企業の事例は以下の通りです。
組織の成功循環モデルはPMVVと密接に関係しています。「思考の質」を「結果の質」の前段階に置くことは、即時的な効果が見えにくく、後回しにしてしまうかもしれません。
しかし、「思考の質」はどのように社会に価値を提供していくのかという部分に大きく関係しています。その為グッドサイクルを回すことは、企業が長期的・持続的に成長を遂げるために必要不可欠です。
「関係の質」、「思考の質」を上げるためには、P(パーパス)を明確に再定義して浸透させる必要が生まれます。それによって、戦略を方向転換して、関係の質・思考の質に関わる「行動の質」が変わります。そして、「結果の質」が変わるという好循環が生まれてきます。
このような変革をやりきるために確固とした動機付け(PMVV)が重要になっているのです。
【おわりに】
今回は社員数が100名を超えてから成長が横ばいになってしまう要因と、持続的成長を遂げるためのビジョン経営について解説しました。
本記事が会社の成長の一助になれば幸いです。