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成長をけん引する自社に合った新規事業の選び方

2023.11.20
多くの経営者にとって興味関心の高い「新規事業」自社に合った新規事業は、どのように選べばよいのでしょうか。その目安となるものを、先行事例などから提示いたします。

多くの社長が新規事業に注目している

船井総合研究所では、年間800本前後のセミナーを開催しています。

 

2023年のセミナーで特にヒットした経営テーマの1つが「新規事業」でした。以下の図は本年のセミナー集客数TOP10です。人気セミナーの半分(5本)が「新規事業」に関するものでした。

 

「新規事業」に関する内容だけで、今年は400名以上の方に弊社の丸の内オフィスまでご来場いただいたことになります。

 

この場をお借りして、ご参加いただいた皆様には厚く御礼申し上げます。

 

 

 

多くの方に新規事業への興味・関心をお持ちいただいていることを、強く感じています。

 

 

本業における成熟化が避けられない今、周辺もしくは飛び地の業界に目を向けつつ「旬な新規事業」にチャレンジし、商圏を維持しながら「コングロマリット化」することで、企業成長スピードを維持していきたい、といったご意向をお持ちの企業様が極めて多いことが明るみになった1年であったと考えています。

 

 

 

「新規事業による成長」が生き残りのカギ

画像:PIXTA

 

新規事業に興味がある、必要性を感じている一方で、100億化、地域コングロマリット経営のような大きな成長戦略を新規事業によって実現するのは、多少なりとも不確実性を伴うという点はご認識の方も多いことでしょう。

 

 

様々な新規事業立ち上げにチャレンジする方が増える一方で、同じ業界、同じビジネスを行っているA社とB社で、その成否に大きな差が生じるようなケースも目にしてきました。なぜその2社には差がついたのでしょうか?その大きな理由が「企業ビジョンの位置づけ」です。

 

 

どんなに儲かるビジネスモデルであっても、事業を現場で実行する担当者や、投資判断を行う経営者に「自社がそれに取り組む意義」「(事業参入を経て)将来的にありたい姿」が明確でなければ、チャレンジが日の目を見ることは多くないように思います。

 

 

逆にこれらが言語化されているなど明確なことで、関係者全員が同じ方向を向いて進み、正念場でも「やりきる力」が衰えることなく、新規事業の成功確率は圧倒的に高まっている様子を目にすることもよくあります。

 

 

大切なのは「儲かるからやる」という単純な動機ではなく「自社が行うことの意義」です。「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道

徳は寝言である」という有名な言葉がありますが、”売上至上主義”に走り法令違反などの問題を起こし社会的バッシングを受ける事例や、逆に”思いばかりが先行”して収益性・サービス維持が追いつかず、どこかで破綻してしまう事例など枚挙にいとまがありません。

 

 

経済だけではダメだけれども、道徳だけでもダメ。この2つを言い換えれば「夢」と「儲け」をどう両立させるか?は極めて重要な問題であると言えるでしょう。

 

新規事業とビジョンを両立させた成功事例

画像:PIXTA

東証プライム上場企業でもある鎌倉新書はもともと仏壇・仏具に関する出版を生業としていましたが「自社として顧客への提供価値はどうあるべきか?」を常に見直し続けたことで、「終活領域における情報メディア事業」へと大きく舵を切り、直近10年で10倍近い成長を遂げています。

 

世界でも類を見ないレベルに急速な高齢化が進む日本でのビジネスドメインを「終活」ととらえ直し、葬儀関連に限らず介護・不動産・保険など、周辺領域の新たな事業にもチャレンジし、成功していることが、同社の持続的な成長を下支えしていると言えるでしょう。

 

この事例からもおわかりいただける通り、ひとつの答えになるのが「ビジョンの実現手段として「新規事業」を選択する」という姿勢です。企業としての夢(思想・志)を、儲け(新たなビジネス)によって「体現」するために、両者の磨き上げを行うことで、2024年のさらなる飛躍へとつながることと思います。

ベンチマークとなる上場企業調査のススメと、2つの成功事例

新規事業を具体的に行っていくための戦略について。100億事業化に向けては「単一事業伸長」から「事業多角化・総合化」に舵を切る必要がある、ということをお伝えしましたが、実際に進めるうえではその目標とすべき存在、ベンチマークを設定していただきたいと思います。

 

また「なかなか身近にベンチマークする先がない」と、その設定に苦労するケースが多く見られます。

是非お勧めしたいのが「上場企業調査」です。決して数は多くありませんが、多角化している中堅企業のIR情報は、事業拡大を目指す

多くの方にとって非常に示唆に富んだ内容です。

 

 

実際に弊社でも注目している数社を基に、上場している多角化企業が10年前後の変遷の中でどのような事業戦略を取っているのか?について、IR情報を基に少しだけご紹介していきたいと思います。

 

パターン①:成長領域への積極投資

至極当然のことのように見えてしまいますが、1つ目のパターンに共通するのは「伸びる領域に投資している」ことでした。

介護事業・娯楽事業を主力とするA社は、介護事業内の「業態細分化」によって直近10年間で業績を拡大させています。市場拡大によって「生活介護」や「相談支援」等、新たな業態が登場しているのに合わせて細かく対応してそれらのニーズを拾うことで、もともとは同程度であった事業構成は、介護:娯楽=3:1程に拡張しています。

葬儀・仏具領域に携わるB社は、自社のドメインを「終活領域」と再定義することで、「相続・遺品整理」等、これまで取り逃がしていた市場を獲得しながら、横串機能を持たせることで、自社内での送客の仕組みを整えていくことに成功しています。

両者に共通するのはいずれも「成長産業」に早期から目を向け、その攻略にリソース配分を惜しまなかったことにあります。100億、もしくはそれ以上の拡大には「平等・均等配分」よりも「メリハリ投資」が必要であることの証左と言えるでしょう。

 

パターン②:地域×顧客の転換投資

リユース関連市場で地域トップシェアを誇るC社は、物流機能をM&Aすると共に海外2か国へと事業展開を行うことで、事業の安定拡大を実現させています。「エリア拡大」に主眼を置き、そのために必要なコア機能への投資が功を奏している事例のひとつでしょう。

フード領域で有力企業の1社であるD社は、業界に甚大な影響をもたらしたコロナ

禍においてDXを敢行、なんと「外食」領域を大きく成長させることに成功しています。

業界は異なりますが、どちらの会社も勝ち筋の明確となったテーマについて徹底的に創意工夫を凝らした結果、事業構造に厚みを持たせることに成功しているのです。

船井総研には「ツキの原理」という言葉がありますが、複数の事業を行う上場企業にとっても、より一層「ツキ(=伸びる外部環境/強みのある内部環境 他)のあるものを伸ばす」ことが有効であるということができると思います。

 

➂新規事業でのチャレンジをさらに前進させるために

 

ご紹介した事例は上場している中堅規模の会社の取り組みですが、みなさまの取り組みにも共通する内容があったのではないかと思います。

今回ご紹介した「新規事業開発」について、みなさまにピッタリの企画をご紹介させていただきます。

禍においてDXを敢行、なんと「外食」領域を大きく成長させることに成功しています。
業界は異なりますが、どちらの会社も勝ち筋の明確となったテーマについて徹底的に創意工夫を凝らした結果、事業構造に厚みを持たせることに成功しているのです。
船井総研には「ツキの原理」という言葉がありますが、複数の事業を行う上場企業にとっても、より一層「ツキ(=伸びる外部環境/強みのある内部環境 他)のあるものを伸ばす」ことが有効であるということができると思います。

 

④新規事業でのチャレンジをさらに前進させるために

ご紹介した事例は上場している中堅規模の会社の取り組みですが、みなさまの取り組みにも共通する内容があったのではないかと思います。

今回ご紹介した「新規事業開発」について、みなさまにピッタリの企画をご紹介させていただきます。