営業/マーケ採用/人材社長経営戦略経営用語集財務/資金調達

成功するクラウドファンディングのポイントと4つの事例

2024.02.13
集客の新たな方法として「クラウドファンディング」を取り上げます。資金調達という本来の目的だけでなく、今の時代は「マーケティング」「ファンづくり」のツールとして活用されています。うまくいっている形などを分析しました。

マーケティングのツールとして機能するクラウドファンディング

クラウドファンディング(crowdfunding)とは群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、インターネットを通して自分の活動や夢を発信することで、想いに共感した人や活動を応援したいと思ってくれる人から資金を募る仕組みです。

企業のクラウドファンディングの形として注目されているのが「新商品開発」言い換えれば「マーケティングのツール」として機能するようになっています。

クラウドファンディングは、参加者が具体的な出資を行うことで成り立ちます。商品開発に際しての顧客アンケートで「このような商品があったら買うか」と聞いて「買いたい」という声が集まったので実際に発売したものの、まったく売れなかった、ということはなかったでしょうか。

「買いたい」という声が集まっても、人が本当に買うとは限りません。

クラウドファンディングは「このような商品が本当にあれば買う」という市場の具体的なアクションが取られています。その数が多いほど、実際に売れることが約束され、また潜在的なニーズが高いことを意味します。

このほかにも、商品の開発段階から顧客が関わることで、顧客はいわば商品開発の一翼を担う気になり、ファン化にもつながるのです。

その形は6つ

「集客」の観点で企業が行うのは主に「購入型」

マーケティングの手段として機能させるためには?

集客・マーケティングの手段として考えるならば、目標金額の設定が必須

このほかに、クラウドファンディングにおけるマーケティングの注目ポイントとして、以下のようなことが挙げられます。

 サイトページの工夫

 支援に対するリターンの工夫

→相場が適正かどうか、リターンが複数存在しているか(例:3つのリターンを1人の支援者が購入すると、購入された方は1人ですも「支援者数」は3人とカウントされる。複数リターンを設定することで、「支援者数」を最大化できる。ほかにも会員特典制度、個数制限、早割の活用などがある

 他社との差別化

 目標金額が適正か

 SNSなどを用いて集客しているか

 支援者にイメージさせることができるかどうか

 プレスリリースの活用

4つの成功例とそのポイント

1.大規模な停電が発生しても安心に生活できる新世代ポータブル蓄電池「BLUETTI EP500」

成功のポイントとして、まず「緊急時に役立つ」とニーズが高いことが挙げられます。そしてサイトページに商品の写真が多用され、支援者が内容をイメージしやすくしてあります。

ほかにも限定プレゼントや早割、個数制限など「今出資したほうが得」と感じるポイントがあり、リターンについても複数を用意し、選択肢が多いのもプラス。1.2億という巨額の資金調達を実現したのも納得です。

2.「完全会員制パフェバー」の会員募集

「会員制パフェバー」という、かなりニッチな切り口の施設で集客した例です。

ニーズは決して高くはないと思いますが、「完全会員制の隠れ家パフェバーで味わう、大人の背徳感」というキャッチコピーが、限定感を強く演出しています。

リターン会員権が得られ、早割の活用と複数リターンを用意するほか、個数制限も行っています。
会員が一定数に達すれば開業後の損益分岐点はクリアし、会員さえ確保できればその後の経営は可能、会員数が減ったならばその後募集していくと考えられます。

また「経営に必要な会員数は集まっています」と言えれば、金融機関からの開業資金調達も容易になると言えるでしょう。

3. めちゃくちゃ美味しいビリヤニをみんなに食べさせたい。それだけ!

シンプル極まりないコンセプトで、それゆえに一切のブレがなく力強いメッセージになり、ビリヤニというニッチなメニューで1000万円以上の資金調達に成功した例です。

初めてのクラウドファンディングで、限定数も設定しないため集まりすぎてパンクしてしまっているなど粗削りな部分はありますが、紆余曲折を経て「ビリヤニしかない!」という境地に至ったという話や、提供するものにまったく迷いがないことなどなどから「ビリヤニを食べたことのない人にも興味を持たせる」レベルの強さを生んでいます。この出資で初めてビリヤニを食べる人もいるのではないでしょうか。

4.クラフトビール醸造所の設立を通じた観光の活性化

山形市蔵王クラフトビール醸造所と、ビアレストランのオープンへの出資を募るものです。クラウドファンディング実施の背景に「蔵王の観光客数減少」に対する問題意識があります。蔵王を訪れる人が増えるような新たな観光資源をつくりたいという思いのもと、地元の観光に関わる企業を巻き込んでのプロジェクトとなっています。

施設オープンの大きな目的である「ぜひ蔵王に来てほしい」が伝わる内容です。クラウドファンディングは「何を売る」よりも「開発の思いを伝える」「ファンになってもらう」が大事とよくわかります。

集客、マーケティングの手段として機能するクラウドファンディングをご紹介しました。集客の強いパワーとなる「ファンづくり」を行うための方法として、自社でも始められてはいかがでしょうか。