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待機児童数の「減らし方」! 施設開発だけではないではない解決方法とは

2023.05.06
今回のテーマは『待機児童問題』。

一見すると経営とは直結しなさそうな全く異なる事例から、経営切り口の学びを解説していきます。
「待機児童」というワードをご存知ない方はほぼいないという昨今、皆様は待機児童についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。なかなか解消されない社会問題の一つとお考えの方や、または待機児童数を減らすには、もっと保育所を増やせばいいのでは?と思う方も多いのではないでしょうか。

少子化の影響等もあり減少傾向にある待機児童数。今回は「待機児童対策」という切り口で、経営課題を解決するためのヒントをご案内します。

とにかく保育園を増やせば待機児童が減るという間違い

待機児童数を減らすためには、シンプルに考えれば待機児童のいる地域に保育所を設置すれば問題解決すると考えがちです。しかし、保育所を設置するのはなかなかに難しいのです。

そもそも認可保育園等は、自治体が今後の保育の需給バランスを加味しながら設置していきます。

例えば、待機児童が増えつつあり注目を集めるA地区がありました。A地区は、現時点では待機児童が増えているように見えますが、利用者というのは人口推移によっても、保護者の働き方によっても変化します。

向こう3年間はニーズが高かったと仮定しても、その後ガクッとニーズが低くなる可能性もあります。

このような将来的なニーズの変化を考慮しながら設置していく必要があるわけです。

さらに認可保育園等の場合は、基本的に設置のために補助金が用いられるため、近隣の園の状況、予算のための議会など様々な関係者との調整を行わなくてはいけません。また財源も無尽蔵にあるわけではありません。

したがって「とにかく作れるもの」という訳でもないのです。

加えて保育業界は人材確保が難しい業界の一つです。したがって、保育園を作っても働く保育士の先生がいなければ結果的に待機児童の解消とはならないわけです。

では実際に待機児童数を減らすことができた自治体は、どのような方法で待機児童数を減らすことが出来たのでしょうか。

代表的な施策を3つほどご紹介したいと思います。

待機児童を減らすことができた3つの施策

新設された保育園画像のイメージ

新設された保育園画像のイメージ 画像提供:PIXTA


① 保育園を設置する

結局作るのか!となりそうですが、待機児童数を減らすための方法の一つとして重要ではあります。そもそも「空き枠」がなければ待機児童数を減らすことが出来ません。したがって保育園を作ることも重要な打ち手の一つです。

② 保育士の先生を確保する

よくよく調査していくと保育園に、子どもたちを預けることが出来る余裕があるにも関わらず、保育士がいないため活用されていない「枠」がある場合があります。

逆に言えば、保育士の確保ができれば十分に子どもたちを預けることができる余地があるわけで、数千万円から数億円かけて新たな保育施設を作るよりも効率よく待機児童数を減らすことが出来る可能性のある施策です。

③ 既存保育・教育施設の活用する

一般的に「待機児童数」を考える場合、認可保育園の空き状況をベースに考えるわけですが、厳密には「幼稚園」や「企業主導型保育事業」などといった、他の制度を活用した園の「空き枠」も加味して考える必要があります。

実は、近年幼稚園へのニーズが減少している地域は数多くあり、幼稚園に空いているスペースが存在する場合があります。また企業主導型保育事業は認可保育園に比べると充足率が低い施設もあります。

認可保育園は「厚生労働省」管轄、幼稚園は「文部科学省」管轄、企業主導型保育事業は「内閣府」管轄と、管轄が異なるため、自治体内でもうまく連携し切れていない場合も散見されました。

この管轄の壁を越えた連携をし、既存施設を上手に活かすことで大きな支出なく「空き枠」を増やすことも出来る施策です。

他にも細かい施策は多々ありますが、上記の施策を徹底できるだけでも待機児童数の減少に大きな効果が見られました。

もちろん「待機児童数」は厚生労働省の定義に基づき算出されるため、その定義が妥当かという議論もあります。その議論は今回ここでは扱いませんが、「待機児童数」を減らすためには、単に施設を作るだけではないというのが分かるのではないかと思います。

本解決策から大きく学べること

企業において大きな投資というのはワクワクするものです。しかし、そこに「投資をすること」が目的なのか、それとも「成果を上げるため」が目的なのかで大きく解決方法が異なります。

新たなシステムの導入、工場の設営、自社ビル建設など大きな予算を動かすプロジェクトというのは刺激的ですし、やるぞ!とすぐに取り組みがちです。しかし拙速に取り組んでしまうと、もっと安価に解決できる機会、または今あるリソースで解決できる機会を逸してしまう可能性もあります。

(※時としてその強引さが大切な場合もありますが・・・)

この待機児童対策の事例から学べることは、問題解決のためにはなにが必要なのかを見極めることがすべてなのです。また単純に、投資することだけが問題解決の最短施策ではないということです。

設備投資が大きく必要なビジネスも、しっかりと外部の目線を取り入れ客観的に問題を分析したり、または進める場合でも既存の設備や機能などで似たようなことができないか模索してみたりすることから始めるべきです。