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8年で年商3億円が28億円になった社長が徹底した「たった1つ」のこと

2023.06.05
10年以上経営コンサルティング業を営む中で、多くの素敵な経営者とご一緒にお仕事をさせていただきました。当事例以外にも年商6億円企業が7年で年商50億円に、従業員3名の企業が4年で18名に、年商35億円企業が4年で年商72億円に……とここでは表現できないほど、急成長をした社長とお付き合いさせていただきました。これらの社長には共通点があるのです。それは、1番になることを徹底したのです。

~船井総合研究所 社長online事業責任者 小梢健二~

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年商3億円が8年で年商28億円になった社長が徹底した1つのこと、それは、「1番戦略」です。商品量、安さで1番などといったことです。

1番と2番は非常に大きな差です。 有名な話ですが、日本で1番高い山は富士山ですが、2番目に高い山は?と聞かれて答えられる人はでしょう。

今時で言うならば、ネット検索したときに1番目に表示されるのと2番目にされるのではクリック率が 約2倍違います。1番を取ると圧倒的に強いのです。

売上を爆発的に上げた1番戦略

当時、年商3億円だった中古車販売店は、立地は市街地でなく郊外と決して良くない。市街地では、 自店舗よりも敷地が大きく、建物も立派で、展示在庫が100台以上あるような店が複数ありました。 一方で自店舗の在庫は70台程度です。一定の売上はあるものの、大きく成長する手応えは ありませんでした。 社長の人柄の良さでリピートや口コミで少しずつお客様が増えているといった状況でした。

いきなりオールNO.1は取れないから……。

展示在庫量では1番になれませんが、何かに絞り込めば、商圏内で1番になれるだろうと調べ、 一定の規模感がある軽自動車で実現することを決めました。 軽自動車専門店として転換したのです。軽自動車だけで展示在庫が70台あれば、 商圏内で1番軽自動車を展示ししていることになります。 そうなると、チラシやWEB広告をすることで新規のお客様がご来店して売上を伸ばすことが できたのです。

お客様は1番豊富に軽自動車を実際にみて選ぶことができる店と認識して、 立地は良くないながらも来店してくれるようになったのです。

一番戦略の数値上のロジック

画像:PIXTA

では、どこまで軽自動車の展示在庫を増やしていけばいいのでしょうか? これは船井流の1.3倍の法則を活用しています。 人は1.3倍で差を感じるということです。例えば、目の前で1mの棒をみて、 1.1m、1.2m、1.3mと見せていくと、1.3mになったときに8割くらいの方 が長くなったと感じます。 これは、商品量や価格にも同様に適用されます。 例えば価格であれば、1,000円が定価であった場合、1,000円÷1.3=769円  つまり、23%オフすると人は安く感じます。 また、1,000÷1.3×1.3(1.3の2乗)=591円 つまり41%オフすると非常に 安く感じます。(これが昔で言う超大目玉商品です)

軽自動車の展示在庫も同じで、商圏内の自動車販売店で展示在庫50台が自店舗以外で 最も多いとするのであれば、50台×1.3倍=65台はマストで展示することで お客様は差を感じていただけます。 もっと強くするためには、50台×1.3倍×1.3倍(1.3の2乗)=85台を意識して 展示在庫を増やしていきました。 売上を伸ばしつつ数年後には、さらに50台×約3倍(1.3の3乗)=150台以上を 展示することで圧倒的、軽自動車専門店として商圏内1番になり、経営が非常に安定しました。

新規出店で次々に業績を拡大しているある自動車販売店の社長は 「地域一番店になれることを前提の条件で出店すると決めている」と言います。 近隣の競合と比べて優れた場所に、潤沢な資金、人材を整え 「絶対にその地域の一番店になれる」器からスタートする、 それがその会社にとっての「成功するビジネスモデル」であり、 その勝ちパターンを適用できる条件が揃うときにのみ出店する、 だから成功するのだと語ってくれました。

採用も1番戦略

画像:PIXTA

商品やマーケティングといった売上を上げる部分だけでなく、採用などの人事においても1番戦略は使えます。当時は、地域で行われる合同説明会で新卒採用を行っていました。その時に自社よりも規模が大きい企業も多数ありましたが、1番多く学生が会社説明に参加し、優秀な学生が選考を受けてくれました。

合同説明会のブースの「勝ちパターン」は1番目立つように背景のボードからのぼり、椅子の背もたれにもPOPなどを用意し、学生を呼び込みスタッフも1番多くいることなので、その条件をしっかり満たした結果、多くの学生を会社説明に呼び込むことができました。

また、地域内の同業者の給与体系などを調べ、1番良い給与体系も構築することで魅力的なオファーを出せるようにしました。

他には業績が伸びていく過程で、働きやすい環境を整えました。最新の器具の導入などの設備面の改善、食事補助、教育制度の充実など、力を入れていき、社員さんにとって成長できながらも心地よく働ける環境を作っていき、地域内の同業他社で最も良い環境を作っていきました。

何のために働くか、何のために会社が存在するのか、パーパスやミッション、バリューなども社長が外部の知見も入れながら時間をかけて丁寧に作りこみ、会社の根幹も作り上げています。

投資面も1番戦略

今では、複数店舗を構えていますが、2店舗の出店から、出店時にすでに地域1番であることを徹底しています。立地や敷地面積や建物といった規模などは徹底的にこだわっています。

新たに店舗を出すときは、徹底して商圏内をリサーチ。良い立地かつ最大級の規模でないと出店しません。この規模についても、単なる一番ではなく、基本的に多店の1.3倍×1.3倍(1.3の2乗)以上になることはマストです。

年商13億円のときに2店舗目を出店しましたが、投資額は約5億円です。この投資額も地域内ではかなりインパクトのある金額だったでしょう。(投資額の比較はできないので1番かどうかは不明)

その後の出店においても年商規模の拡大に応じて、投資額は大きくなり、全店舗は圧倒的地域1番の規模で店舗展開。 新規のお客様が多く来店するだけでなく、ライバル店が追いつけないほどに業績を伸ばし続けています。直近15年間で減収になったのは1回だけ。それもわずか2000万円足らずでした。

お金を借りるのは、誰もが勇気がいるものです。「返せなかったらどうしよう……」と考え、躊躇します。それが普通の感覚だと思います。

大きな借入を行って成長を続けている会社の社長は、借入の判断を「事業規模を拡大したい」欲求があるかないか、から考えるといいます。

「上がった利益を貯めてから新たに出店する、が安全な拡大の方法だと思う。 けれども、人生は1回、現役の時代が100年も200年もあるわけではない。 現役でいられる時代は、せいぜい30年しかない。その中で「自分はここまで成長したい」と思っているならば、借入しか手段はない。

「利益の中での成長」では、大きな成長はありえない。

現在は「ビジネスモデル上絶対にうまくいく、その方法がほかの場所でも適用できる」という確証を概ね得ている

ならばお金を借りるのを怖がって事業規模拡大の欲求を無理やり抑えるよりも、欲求のままにお金を借りてやりたいことをやる、という意思決定になるのは、自分の中では極めて普通なこと。 だから10億円の融資を受けた際も、まったくと言っていいほど不安を感じることはなかった。

それよりも「大きくできる」わくわく感、楽しみのほうが大きかった」 「いつか1番を目指す」ではなく、「1番戦略」こそが、成功する社長の考え方だといえるのではないでしょうか。