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市場シェア率とは?その言葉の意味と高め方や競合分析について徹底解説!

2023.06.05
社長が知るべきキーワードとして今回紹介するのは「市場シェア率」。たくさんの人々が購入やサービスを受けるなかで、その割合を示す数字になります。レッドオーシャンではあれば数パーセント、ブルーオーシャンであれば50%といったように領域と規模の掛け算により数字が異なってきます。今回はそんな市場シェア率について解説していきます。

市場シェア率とは

市場シェア率とは、自社の製品やサービスが市場全体でどの程度の割合を占めているかを示すバロメーターです。この数値は市場が100億円あるなかで10億円を占めていたら10%。100億円の中で100億円すべてとれていたら市場のシェア独占状態とも呼べる「100%」と言えます。

この市場シェア率というのはマーケットシェアとも言い換えられます。この数字をなぜ重視するかというと、市場規模の成長と同じく市場規模が大きくなることが大切だからです。シェアを上げるために、キャンペーンをうってみたり、価格を割引してみたり、競争性が必要となってきます。

なぜシェア率が重要なのか

シェア率は社長が定点観測する重要なファクターですが、なぜ気にするのでしょうか。それは、単にシェアNO.1というネームバリューが欲しいという訳ではありません。市場というのはあくまで有限というものではあるため、高ければ高いほど売り上げにつながっていきます。(もちろん売り上げの積み上げがあり、はじめてシェア率が高まるという視点が前提ですが今回は割愛します。)

シェア率を重要視する理由としては、事業のバロメーターである観点についても補足します。シェアが急速に高まっているときというのは、商品の人気が高まっていたり、顧客にとって選ばれる商品、知名度が高まった結果と言えるでしょう。逆に、シェア率が急速に下がっているときは競合他社が参入してきていたり、価格や商品での差別化によりインパクトを受けている可能性があります。売り上げなどの数字を見るのと同じく、ライバルとの状況を把握し自社のいる位置をしるという点で成績表のような存在としてチェックすることを意識していきましょう。

シェア率の計算方法について


一般的に市場規模が明示されている場合とそれ以外においてシェア率は異なってきます。ただ、統計情報などをベースに設定する際には、以下のような計算式が成り立ちます。

① 調査手法 シンプルな計算式
市場規模÷自社規模=シェア率

ただ、すべての商品が市場規模が明示されているワケではなく、また自社と市場規模の調査元がことなればシェア率の数字に乖離が生まれます。

② 調査手法 アンケートを用いた調査
5000人にアンケートを実施。ここ一か月間で自社商品と競合商品を何回程度購入したかを確認。全体においてどのぐらいの人がどのぐらいの頻度で利用しているかの平均値を割り出し、かつ5000人にどのぐらい利用されているかを計測。

5000人の自社商品購入回数÷5000人の全体購入回数×100=市場シェア率

シェア率については市場全体をどこに定義するかによって数字情報は大きく変わってきます。たとえば軽自動車メーカーのA車。軽自動車として確固たるブランドを取り、シェアNO.1という金字塔となりました。しかし、自動車産業全体でみれば一般自動車やEVカーなど種類も多様です。シェアとしては全体市場で言うと5位といった場合もあります。シェア率と序列が業界においてどれだけ高いかというのはまた別物であるため、注意が必要です。

シェア率を高めるための5つの方法

シェア率については成長市場と衰退市場とでは高めるための手法は大きく異なってきます。今回はシェア率を高めるためにありえる戦略の数々の手法をご紹介します。

① 競合との差別化ポイントを明確にする

競合となるシェア率が高い商品に対して差別化を見出すことは大事です。価格であれデザインであれ、はたまた機能面であれその商品を買うべき理由を差別化ポイントとしておくことが大事です。これは客観的な評価かつ顧客目線で考える必要があります。競合との差別化がなければ、まったく同じ商品にしかありません。その場合知名度が安心度に置き換わり、差別化がなければ先行参入者が優位なままになってしまいます。

② 競合との差別化ポイントを訴求する

差別化ポイントを見出した次にやるべきことは差別化している点をアピールすることです。安い携帯電話会社は「セールです」「〇〇円です」。通信の音質の良さをアピールするのであれば「声がクリア」。移動中や郊外などでの通信エリアをシェア獲得の武器とするならば「つながりやすい」などが挙げられます。

顧客が選ぶためのポイントを詳細にまで解説すると非常に長くなりますから端的に言えば「機能やサービスとしてこれが欲しかった!新しい」というメリットと感じるポイントや、「そこを解決してほしかった!嬉しい」というペインポイントを解決することが選ばれることへと繋がっていきます。

いうなれば武器のような存在によってシェア率という雑木林を切り開いていくイメージでしょう。

③ 顧客が求めるポイントを見つめる

顧客は移り気な人と、新しいものを求める人、安心感が第一な人、あるいはコストパフォーマンスやタイムパフォーマンスを求める人などそれぞれ存在しています。安心感が欲しいという人に向けて「安いですよ!デザインがいいですよ!」と言っても響きません。

全体シェアに対して、どういった人が多いのか調査し商品開発をしていくことがシェア拡大への第一歩です。しかし、ちょっと難しいのが製品の購入交換頻度です。

たとえばテレビ。大体10~20年程度と言われています。今であれば節電需要を謳った製品がニーズが高いはずです。しかし、製品開発をしてリリースするころには、節電買い替えは多くの需要を満たし新製品販売のブームは過ぎている可能性もあります。将来に向けたシェア率を高めるという観点では今顧客が求めているポイントを学びつつ、その先に顧客が求めるものは何か熟考する必要があるのです。

④ 価格を下げるor機能を増やす

日本の家電製品を見ると、松下幸之助が歌った水道精神に満ち溢れたものが多い区感じられます。廉価機能の製品であれば安価に。こだわりのある人たちにとっては、高くて質の良いモデルといった風です。

価格は一つの購入指標になりえます。1万円の多機能と1000円の単機能であればどちらを選びますか?世の中には1万円を超える鼻毛カッターがありますが、SHOPで購入されるのは安い1000円代のものです。切れ味よりもコストパフォーマンスを求めるからです。市場が5000円の中に、500円の商品を提供すればそれだけでシェアは大きく奪えます。(むろんたとえ話です。)

また同価格だった時に、デザインや機能性なども差別化ポイントのなるのです。後発サービスであれば基本機能を具備しつつ、それにオプションであれがつきます。これがつきますということだけでもニーズの訴求に繋がるのです。

⑤ 選ばれるチャンスを増やす

とある化粧品メーカーは、90年代まで訪問販売や専売店への流通のみを主としてきました。カウンセリング化粧品とも呼ばれるジャンルで、各営業担当が顧客に対して最善の化粧品を売ることができるという点でメリットは大きかったです。

しかし、2000年代には大型のドラックストアが乱立。カウンセリング化粧品は熟年層からは好まれたものの、ドラックストアで購買する層とはマッチせず一気にシェアを落とす結果となりました。化粧品メーカーはドラックストア向けに、同一商品を小分けにして販売。その結果、一時的に下がったシェア率の盛り返しに成功しました。

ここから学べるのは、ところ変われば品変わるということです。販売先が増えればそれだけシェア獲得の機会が増えます。小売商品であればいかにしてコンビニエンスストアと組むのか、地方まで含めたスーパーマーケットの棚をどれだけ維持できるか、ネット通販に参入し購買層を増やす。などやり方はいろいろとあります。通称チャネルを増やすというやり方です。

化粧品メーカーでは、同一商品販売を行いましたがドラックストア向けプチプラや専売商品を作るメーカーも多いです。(最近では量販店の価格を守るためにAmazon専売の型番商品やパッケージも増えてきました。)

シェアを獲得するための方式としては上記以外のやり方もたくさん存在します。(例えば大規模広告を打ったり、M&Aを行ったりなど。現実的な施策から奇手まで含めれば大小さまざまあるわけです)

シェアの維持の難しさとは

最後に紹介するのは、シェアを維持しつづけることへの難しさです。技術的ハードルが高い場合や、競合が参入しえないほどの薄利多売の製品を除きシェアというのは常に変動の憂き目に立たされます。

というのも万人受けする製品というのはこの現代においてなかなに生み出すのがむずかしくなってきているからです。たとえば洋服、近代まではオートクチュールとよばれる1人のために1着つくるスタイルか、あるいは古着をはじめとする既製品のリサイクルシステムが成り立っていました。

現代において効率的に低廉化の製品が量産されるスタイルへとなりました。この場合、シェア獲得のためには価格で押し、他社が参入しえないほどの廉価なファッションスタイルはやがてファストファッションと呼ばれる領域を作り出しました。ZARAやユニクロなどがあげられます。

そうしたファッション、廉価で多くの人を満足させる一方で、ファッションにこだわりたい人や他とは同じ服を着たくないという人たちのニーズを満たすことは難しくなってきます。シェアが高まれば薄利多売に寄る傾向が強くなり、シェアの網目を抜けるニーズまでとりきれなくなるのです。

消費者のニーズを広告であおることはできても、潜在的に満たしたい欲求はあくまで製品側が考えるべき課題です。そうしたとき、薄利多売からの脱却を行うことは難しく、現状維持を続ける場合、ゆるやかにシェア率が下がっていくのです。

今回紹介したシェア率の計算方法や獲得方法というのはあくまで概略です。自身の製品を再分析しつつどういったやり方が真似されないか。オリジナリティのあるやり方か、一度の失敗ではめげずに試行錯誤していくことが大事なのではないでしょうか。

 

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