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新人が平均の5倍売り上げた「入社前教育」

2023.03.02
来月になると新入社員が入社してきます。昨年内定式を迎えた新入社員達。その離職率や活躍の可否は、実は昨年にある程度決まってしまっています。新卒採用アクションの新たなセオリーについてお届けします。

いかにして新入社員を即戦力化するのか

力を入れて採用活動を行っているからこそ、内定を出した学生には、活躍していってもらいたいですね。採用活動に関して4月から入社プログラムの調整を今急ピッチで行われている企業様も多いと思います。しかし、本当の即戦力人材の獲得は、入社してからではなく入社の前から始まっています。

「翌年4月から入社する学生を即戦力化するために、今から始めたい教育プログラム」というのが存在します。

このプログラムは、非常に効果が高く、またその成果もわかりやすいので、来年4月に新卒社員の入社予定がある企業は、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。

実際に、ある住宅販売会社が、新人は年間に2棟も契約をとれればすごいと言われる世界で、新人1人が平均10棟契約を獲得した会社の例などもあります。

内定の後どういうアプローチをしていますか?

画像提供:PIXTA


内定式が終わると、内定を出した学生に対するアプローチは「辞退防止」から「早期戦力化」などに目的が変わります。それに伴い「10月からどういうことをやっていくか」を考えていく必要があるのです。

昔は「学生は働くに関して何もわからないのだから、ゆっくり育っていってくれればいい。3年くらいかけて一人前になってくれれば」といった感覚がありました。4月の入社後に部署に任せる場合も多かったと思います。しかし、今や早期教育、戦力化がとても大事になっています。

最近の学生はインターンなどを経て「働く」のイメージをしっかり持てるようになってきていますから、昔よりも、戦力になってもらいやすいのです。

企業にしても、育成にいつまでも投資するよりも、早く一人前になって稼いでくれるようになるほうがいいですよね。

そのための準備を、ぜひ内定式後の学生に対し始めていただきたいのです。

企業にしても、入社前に初期教育が終わり、4月から業務開始とスタートできるか、4月になってイチから始めるかでも、新入社員の成長スピードは違います。

早いに越したことはありません。

入社前研修は「入社後のルール」を教える場

4月から教える予定の研修内容。その一部分は、内定式後の10月時点から伝えていくことが十分に可能です。

では、10月から内定者には何を教えたらいいか?一般的には「しつけやビジネスマナー」といったものが必要なものと思われがちですが、私たちが提言しているのは「もっと実務を教えよう」です。

それよりも「実務で生まれる障壁をどうクリアするか」を教えたほうが、効果が高くなります。

具体的には「会社への理解」を徹底して深めてもらうのです。

学生は当然、入社する会社について調べていて、自分なりの理解もしています。

だから会社について詳しく教えるのは、入社前でも問題ないのです。

自社がどのような考えで会社経営をしていて、どのような組織、職種があり、社員はどんな人かを説明すると、入社後の業務リテラシーが高くなります。

「まだ会ったことはないけれど、顔と名前は知っている」人がたくさんいると、学生も安心するほか、入社後のコミュニケーションリスクが減ります。

どこまで覚えられるかは学生次第ですが、覚えておいて、得はあっても損なことは1つもありません。

GW後退職は何故起きるのか

OJTに過信は禁物です。

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入社前研修では、実務寄りのことも教えておくと即戦力人材につながりやすくなります。具体的には社内ルールの一部を教えていきます。お店を構える業務ならば店舗のカギの閉め方、書類の場所やコピーの取り方などなどです。

早めに教えておくと、管理者は「毎年入ってくる新人にその都度教える」手間がなくなり、実務面でも楽になります。

管理者も人間ですから、何度も同じことを教えるのは面倒と感じるものです。また「OJT(On the Job Training:実務を体験させながら仕事を覚えてもらう)で学びながら身につけていこう」という考えで教育しているところも多いかと存じますが、「必要なことはみんなが教える」形になり、メンバーは「正直に言えば面倒臭い」「なぜ教育担当者でもない自分がそこまでやらなければならないんだ」と思うもの。そうした声や、先に教えておいてほしいことなどをこの時期に取捨選択し、来年入社の社員から反映していくことを心がけましょう。

また、OJTですと、教える人の独自のやり方が入って伝えるべき内容にブレが生じても不思議ではありません。

そのため、会社の基本となること、教えるべきことを、人事担当者が事前にすべてルール化しておくのです。

入社前の内定者時代に会社に関する基本的なことを教えておくと、入社後にそこから教えなくてよいので、新人にも仕事を振りやすくなります。

「任せたい仕事はあるが、新人にその仕事以前のやり方から教えているヒマはないので別の人に」というケースはよくありますが、新人が基本をすでに習得済みでしたらどうでしょう。

たとえばすぐに商談に同行させることもでき、先輩や上長は商談し、新人は議事録作成などの事務を、という形で、あるリソースを最大限に使用できる形をつくれて、効率を上げられます。

新人が平均より5倍の成果を出した住宅販売会社

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そのような形で、新人を即戦力化することに成功した会社の事例をお伝えします。

それは中国地方の住宅販売会社です。新人は年間に2棟も契約をとれればすごい、とされる業界で、この会社は新人1人が平均で10棟の契約を獲得しています。2020年4月卒の新卒営業担当者だけで、合計32棟の契約を達成しました。この例は相当にすごいケースですが、入社前にしっかりした教育ができれば、少し前まで学生だった新人の即戦力化は、十分に可能になります。

また、土台となる入社前の教育があることで、実際の現場でより学んでいく、OJTも活きてくるのです。

学生によっては、実戦で学んでいくよりも、しっかり教えてもらうことで力を発揮できるようになるタイプもいます。

そういう人たちに本番前に学んでもらう場をしっかり設けることで、成果を出せずに辞めていく人も少なくなる。そのような効果もあります。

入社前研修の準備は3月から

最後に、研修はどのくらいの期間にかけて、どのくらいの時間をかけて行うのがよいかについてお伝えします。

行うのは月に2回程度、時間も1回あたり1時間程度で構いません。月4時間で、合計48時間ほどです。学生の本業は学業ですから、学業がある、部活があるなどならばそれを優先してもらうようにします。可能であれば、研修は半年くらいかけて行うのが理想的です。

10月から開始するならば、5カ月にはなりますが、準備には1月ほどかかり、内定式の準備などもありますから、無理やり9月から半年にするよりも、無理なくしっかりした内容にできることが望ましいです。内容の選定については、その年の4月ごろから開始しておくとよいでしょう。

また、入社後の新人の業務をスムーズにするために、会社内にも「今度の内定者」と顔と名前を貼り出して、彼ら彼女らを覚えてもらいやすいようにしていただければと思います。

新人の即戦力化は、仕組みや制度の構築でかなり進められます。

学生の入社後のギャップをなくし、彼ら彼女らにしても働きやすい環境を、ぜひ整備してください。