誰がやっても業績が上がる「売れるリーダー」の作り方
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2026.08.07
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- 飲食や小売り、不動産、美容などの店舗ビジネスを手掛けている経営者にとって、「店長に適した人材がいない」「誰を店長に配置すればいいか分からない」「経営者感覚のある店長がいない」という悩みは常につきまとうものです。本当の意味での『売れる店長』とは、自ら現場で接客して売上を作る人ではなく、自分なしでも売れ続ける店を作れる人のことです。今回は船井総研で30年以上活躍する店舗経営のベテラン・丹羽 英之が、売れる店が実践している「店長の育て方」をご紹介します。
解説:船井総合研究所 丹羽英之
執筆:船井総合研究所 山内淳史
INDEX
【解説者プロフィール】丹羽 英之(にわ・ひでゆき)
1992年の入社以来、ショッピングセンターの販促プロモーションから開発・リニューアルまでを積極的に支援。既存のハード(=躯体)・ソフト(=商品と人)の強みを最大限に活かしたソフトリニューアルを得意とする。特に、船井流マーケティングをベースとした即時業績アップとテナント一体化支援に定評があり、多くのファンを持つ。数多くの共同店舗、テナント専門店のコンサルティングを手がけた経験を生かし、近年はSCマネージャー研修、テナント店長研修、チェーンSV研修を積極的に行っている。中央会、商工会、会議所での講演実績も多数。
「良い店長がいない」と悩む社長の盲点

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まずは、店舗ビジネス経営者が避けられない「店長不足」の課題から紐解いていきましょう。
今なお、多くの企業で「現場経験があり、業績を上げられる人」を無意識に店長に任命しようとする罠に陥りがちです。
しかし、人材不足が叫ばれる昨今、どんな店に行っても数字を作れるような優秀な人材は非常に限られています。結果的に、店舗出店を強化したい会社ほど、店長を任せられる人材の絶対数が足りなくなってしまうのです。
だれでも店長ができる会社に
そこで必要になるのは、誰を店長にするかという視点から、「誰でも店長ができる仕組み」を作る視点へと、発想を転換することです。
誰でも店長ができる仕組みが回れば、店舗では次のようなことが起きます。
- 店舗Aの店長が変わっても、業績がブレにくい。
- 社員Aさんがどの町のお店で店長をやっても、業績がブレない。
- 自然と後任候補が育ち、新店舗を任せられる仕組みが整っている
店長の素質は「マーケティング」と「マネジメント」

[画像:生成AI]
それでは、仕組み化を進めるにあたり、店長には本来どのような能力が求められるか整理しましょう。
まず「店長に何を求めているのか」を明確にします。
ほとんどの場合、店長に求められる素質は、マーケティング(お店の集客数を確保し、売上と利益を出すこと)と、マネジメント(スタッフを育成し、将来の店長候補を生み出すこと)の2つ。どちらも同じくらい大切です。
ところが、多くの会社では「マーケティングはできるけど、マネジメントは苦手」という社長や店長が非常に多いのが現実です。とりわけ、社長が数字を作れる会社ほど、店長に対しても無意識に数字を求めてしまいます。
結果的に、数字に追われる店長が人材育成そっちのけで現場に出てしまい、店長不足につながります。
▼ 記事の後半では、こちらについて紹介しています。
☑ 店長量産に向けた仕組みづくり4ステップ
☑ 「マーケティング」と「マネジメント」の苦手を補いあう人材配置
☑ エースから「監督」への転換がカギとなる理由
店長量産に向けた仕組みづくり4ステップ

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ここからは、仕組みで売れる店舗を作っていく具体的な方法をご紹介します。
スタッフが自然と良い店長へ成長していくための仕組みづくりは、大きく4つのステップに分かれます。
①個人評価からチーム評価へと評価制度を切り替え
最初のステップは、店長自身の意識改革を促す評価基準の改定です。
評価基準が変わらなければ、店長はいつまでも自分の数字だけを追い続けます。
まず着手すべきは、店長が現場に貼りつかないと店が回らない状態を即座に止めることです。そのためには、個人の営業成績などを評価する「個の評価」ではなく、支店などのチーム全体で数字を作っていくという「チーム評価(全体評価)」の考え方を導入することが大切になります。
さらに、「次の店長や副店長を何人育てたか」という育成実績の評価ウェイトを最も高く設定します。
②現場仕事を部下に渡していく
評価制度を整えた後は、具体的な業務の棚卸しと権限委譲に進みます。
ポイントは「重要だけど緊急性が低いタスク」に集中できる環境をつくることです。店長が抱え込んでいる業務を剥がし、部下やツールへ徹底的に引き渡していきます。
「緊急度は低いが重要度が高い業務」に時間を割く

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日々の現場対応など「緊急かつ重要な業務」から、採用、人づくりなど「緊急度は低いが重要度が高い業務」に時間を投資できる環境を整えましょう。
うまくいっていない店長の陥りがちな最大の罠は、「自分がやっている業務を手放さない」「部下に渡さない」ことです。しかし先に述べたように、店長の仕事は安定した売上と利益を上げ、人を育てることのはずです。
接客やポップ作り、陳列、清掃などは、アルバイトやタイミーなどのスキマバイトサービスも活用できます。AIやITツールを活用すれば、マニュアル作成やシフト調整、メール対応などの自動化も可能です。自分(店長)がいなくても業績が安定する仕組みづくりに注力することが大切です。もし転職や育休などで店長が不在になっても、店舗を安定的に運営できるようになります。
③「マーケティング」と「マネジメント」の苦手を補いあう人材配置
業務の整理ができたら、次は適材適所の人員配置を考えます。
先ほど、店長の素質は数字を作る「マーケティング」と、人を育てる「マネジメント」にあるとお伝えしましたが、両方を高いレベルで兼ね備えたプロ店長は、そう簡単には見つかりません。ユニクロなどの大手は別として、通常の企業が店舗展開に合わせて量産するのは至難の業です。
したがって、これら2つの能力を組織で補完し合うという発想が有効となります。

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【事例】弱点を補完する人材配置
例えば、マーケティングは得意だがマネジメントが苦手な店長の店舗には、マネジメントが得意な副店長を配置する。あるいはエリアマネージャーがマネジメント部分を重点的にフォローする。お互いの弱点をカバーし合える「チームで勝つ采配」を経営者がデザインするのです。
雇用形態に関係なく、マーケティングに向いている人、マネジメントに向いている人はいます。
かつてのしまむらではパートさんが店長を務める「パート店長」が存在しましたし、カレー専門店CoCo壱番屋のFC加盟店・スカイスクレイパーでは22歳のアルバイト従業員を社長に抜擢し、話題となりました。
人の育成の基本は「長所伸展(その人の強みや得意な部分を伸ばすこと)」です。雇用形態上の制約はあっても、能力がある人材には役割を任せることで、自然と意識は高まっていくのです。あなたが探している「できる人材」は意外と近くにいるかもしれません。
④PLを理解できる「経営者感覚」のインプット
最後のステップは、店舗経営の根幹となる数字の意識づけです。
店長不足や人員配置と同じくらい、店長の「経営者感覚」の育成に悩む経営者は少なくありません。特に難儀するのは、売上だけではなく、粗利や営業利益、ひいてはPL全体を俯瞰できる、経営者感覚を店長に持ってもらうことです。
「人が足りないから増やしてください(人件費意識が薄い)」「売上達成のためにチラシを撒きます(効果測定はほぼしない)」という状態のままでは絶対にNGです。そこから脱するには、店長にPL感覚を持ってもらうことが不可欠です。
ここまでの3つのステップを実践することで、店長にある程度は経営者感覚をつかんでもらえるはずです。そこから先は幹部研修などの育成の仕組みを磨いていく必要があります。
「ドンキ」や「オオゼキ」で経営者感覚のある店長が育つわけ
【ケーススタディ】経営者感覚が育つ組織づくり
「経営者感覚を持つ本当の店長」が活躍している企業で有名なところは、ドン・キホーテやスーパーのオオゼキが挙げられます。
これらの店長は、まさに「一国一城の主」。各店舗での売価設定、仕入れ、採用といった権限を持っており、店舗ごとのPL管理まで一手に担っています。そこまでの権限を持たせている経営者のもとだからこそ、店長は成長し、会社全体の数字を伸ばしやすくなります。
ただし、高スペック店長を見つけて育てるのは大手の戦い方であり、中小企業がそのまま真似するのは危険です。中小企業は先述のとおり、個々のスタッフの得意分野を生かし合いながら店を盛り上げていく必要があります。
エースから「監督」への転換がカギ
ここまで、仕組みで売れる店舗を作るための要点を見てきました。
「店長」にまつわる課題を解消するためには、考え方と仕組みを変えていくのが遠回りに見えて実は近道なのです。
中小企業には、スター選手ばかりが集まるわけではありません。自分が売上をつくるのではなく、どんな地域・どんなメンバーであっても勝ちにいけるチームを作れるかどうかが、店長としての本当の手腕といえます。
野球好きの方であれば、長嶋茂雄氏と野村克也氏の両名を思い出していただけるとわかりやすいと思います。

[画像:生成AI]
松井秀喜をはじめとするスター選手を輝かせてきた長嶋監督と、不調な選手にも光を当て、再生工場の異名を持っていた野村監督。
いずれも素晴らしい人間力の持ち主ですが、少なくとも中小企業において「本当に売れる店長」の多くは、野村監督タイプです。頼りない部分があっても、常にスタッフの様子を気にかけ、素質を見抜き、「力を貸して」と素直に部下を頼れる、そんな店長が結果として活躍するのです。
店長にしたい人材がいない!と悩むのではなく、店長に人を育てさせ、得意・不得意を踏まえて人を配置し、経営者感覚を身につけさせる仕組みを即座に導入してみてください。これまでの悩みの質が変わり、より建設的な施策を打てるようになるでしょう。
