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マイナス思考を治す必要はないのかもしれません「実は成長に?」

2023.06.07
社長onlineでは、コンサルティングの中で見えてきた成功する社長とはどんな人々なのかを紹介しています。連載第二回の本原稿を全文公開いたしますので、ぜひ加入を検討してみてください。

弊社創業者の舩井幸雄が唱えた「素直」「プラス発想」「勉強好き」という成功の3原則があります。この中の「プラス発想」を「何事も楽観的に考える」と解釈している方はいないでしょうか。二十余年コンサルタントに携わってきた経験から、成功する社長とは、プラス発想だけでなく「もう1つ別の発想」を共に持ちながら会社を存続させていると感じます。

~カーボンニュートラル支援グループ 貴船隆宣

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マイナス思考に強みがある

ダメと言われているマイナス思考ですが、実はプラス思考の方にこそ落とし穴があることも。
画像提供:PIXTA


私は二十余年コンサルタントをやってきましたが、成功している社長の方々を見てきたなかで、弊社創業者の舩井幸雄が唱えた成功の3条件である「素直」「プラス発想」「勉強好き」を兼ね備えた人が多いことを確信しています。

それに加えて、「プラス発想」と共に、「良いマイナス発想」を持っている方が多いと感じます。通常の「マイナス発想」は自分の欠点ばかりに目を向けてそこから脱することができない状態ですが、「良いマイナス発想」は、自分に足りないものをきちんと自覚し、その課題に向き合い克服しようとする姿勢があります。

また、経営者の中には「プラス発想」を「何ごとも楽観的に考えること」と解釈している方もいますが、単なる楽観では自社の課題を放置してしまうことになり、会社の成長は望めないでしょう。

「良いマイナス発想」を持っている社長は、たとえ会社の業績が良かったとしてもそれに慢心しません。今は良くともこの先は分からないぞ、という危機感を常に持っているため、会社経営を中長期的視点で考え、早めに次の手を打っておこうと考えます。

「良いマイナス発想」を持っている社長は、視点が常に上にあります。自社より上の企業、業界内で上位の企業に目を向けて、自社が至っていない部分を見つけます。社長である自分も特段優秀ではない、頭もよくない、だからこそ、もっと勉強をしないといけないとして、更なる勉強の必要性とともに具体的に行動に移しているのです。目標を常に高いところに置けば、自社に足りないものが分かり、それを補っていくため、成長スピードがおのずと速くなるものでもあります。

そのような社長は、経営者として自分にはまだまだ足りないものがあると思っているので、新しい知識を得よう、外の優れた人から学ぼうと考えて、おのずと「勉強好き」になっていきます。

船井総研には同業者の社長が定期的に集まる勉強会(経営研究会)がありますが、そこに集まっている社長はみな勉強好きです。全国各地から集まった社長が自社の取り組み等を発表して情報交換し、良いと思った他社の取り組みは持って帰って自社の経営に活かしています。お互いが教え合い、先生であり生徒であるような良好な関係をつくっています。

「良いマイナス発想」を持った社長は、謙虚な姿勢で外の人から学ぶことができる人、それを会社の成長につなげることができる人なのです。

マイナス思考による改善のための近道

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「良いマイナス発想」をする社長は、何でもその道のプロに相談するのが早いと考えています。自分で考えても時間がかかるばかりで正解にたどりつけないと分かっているのです。

私もこれまで多くの社長から経営相談を受けてきましたが、相談事で最も多いのはやはり「組織づくり」です。会社の売上が上がり事業規模が大きくなってきたとしても、それに伴って人が育ち、組織が育たなければ会社の成長はいつか停滞します。いわば、中身と外見が一致していない状態と言っても良いでしょう。

会社の成長は、人間の身体の成長と同じだと思っています。子どもの身体を成長させるには、栄養を与えなければなりませんよね。栄養を十分に与えなければ成長しないし、栄養バランスに偏りがあれば病気になってしまいます。

コンサルタントとしては、スポーツ選手に例えれば、その選手がオリンピックを目指すのか、地区大会決勝を目指すのかに合わせて、その会社に必要な筋肉に絞って経営者の方とお話をするケースが多いものです。

人が育たない、組織が育たない理由はさまざまですが、中小企業に多いのは社員を育てる仕組みがないケース。今の若い世代には「見て覚えろ」といったやり方は通用しませんし、現場に任せきりではうまく育ちません。会社が社員研修などの教育の仕組みや評価制度をきちんと整えていかなければなりません。
組織のまとまりがわるい、社員が定着しないといった課題がある会社は、社員のマインドを育てることにも力を入れてほしいと思います。自社が目指す姿をPMVV(パーパス、ミッション、ビジョン、バリュー)という目に見える形で示して、社内に浸透させる働きかけを行うことも必要です。

正しい選択をするために最も必要なこと

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「良いマイナス発想」を持っている社長は、事業承継においても準備が早く、計画的に進めています。

経営者にとって最も大きな仕事は会社を存続させること、すなわち次の社長をつくることです。私のお付き合い先の社長のなかで、自分の息子に跡は継がせないと以前から言いきっている方がいます。「自分の息子が自分よりも優秀ならば、会社をもっと良くすることが可能かもしれないが、しかし本当に優秀ならば他の道で花を開かせるだろう」と後継者候補から外しました。むしろIPOを目指し、優秀な社長候補が入ってくる会社にしていこうと取り組んでいます。

会社と社員の将来のために誰が社長になるのがベストなのか。自社に適した人材がいなければ、外に人材を求めることも必要です。近年は中小企業間のM&Aも増えていますが、他社の優れた経営者に会社を託すことも選択肢の一つでしょう。良い社長に出会えれば、安心して会社も社員も託すことができます。
事業承継がうまくいく社長は、自分の引退時期を早めに決めていることが多いです。自分でも「まだまだできる」という年齢、周りの人からも「引退するのは早いでしょう」と言われる年齢で次の社長にバトンタッチしようと考えます。

人は高齢になるにつれ、どうしても判断能力が衰え、時流の変化に気づくのが遅れ、新しい技術にもついていけなくなる。もし自分がそうなれば会社の成長の妨げになってしまう―そんな「良いマイナス発想」から、自分の引き際を決め、次の世代に会社を託すのです。

こうしてみてくると、「良いマイナス発想」を持つ社長は、会社と社員のことを大切に思い、そのためにベストな選択をしようと常に考えている社長といえるかもしれません。その選択の連続が会社を成長させているのだと思います。

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