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SATOグループ代表・佐藤良雄氏が教える経営者の成長に必要な10個の決まり

2023.03.08
SATOグループ代表・佐藤良雄氏は国内最大の社労士法人、そして、行政書士法人、人材紹介・派遣、給与計算のBPO企業の代表でもあります。グループの従業員総数は1400人を超えます。今回は船井総研の経営者合宿で講演いただいた「自分の成長こそ経営」というテーマについて、今回は前編をご紹介します。

本日は「自分の成長こそ経営」というテーマです。私が行っている仕事で、物をつくるものは1つもありません。全て自分もしくは従業員の能力をベースに、お客様から評価と対価を得る仕事をしています。

商品が優秀だ、他より美味しい、性能が良いなどといったことは私の仕事には一切介在せず、働いている従業員の能力でお客様の信頼を勝ち得て、ご報酬をいただくビジネスをしています。そのため、今回のテーマに相応しい仕事をしてきたと思っています。

経営者にとって経営とは自分の成長そのものです。組織や職員の成長など大事なことは多くありますが、まず自分が人よりも早く成長して大きな器を身につけながらビジネスを拡大していくことが、創業してからある程度の規模になるまで不可欠なファクターです。

これができない人たちは、事業を大きく拡大することは難しいでしょう。

経営者として成長するための10の決まり

それでは、私が仕事を始めた当時の話をさせていただきます。行政書士を開業当時、会社の設立や営業の許認可の手続きの代行を行っていました。また、夜間の大学に通い、18時から21時まで大学で法律を勉強しました。

そして、大学を卒業した年の10月に結婚。この人と一緒にいる時間も欲しかった。さらにその当時私はサッカーの選手をやっていました。

とにかく、やるべきこともやりたいことも多かったので、私は自分と多くの契約をしました。

1つ目は「1日4時間睡眠」です。これは最初から決めたわけではなく、必要不可欠なことに時間を割り当てていくと4時間しか残っていなかったのです。

55歳までは1日4時間睡眠を実行しましたが、おすすめはできません。長い時間仕事をしてきた中でいろいろな経験を積んだり、多くの人と会うことに非常に役立ちました。

2つ目は「テレビを見ない」です。結果として4時間睡眠とも関係ありますが、テレビも普通の人のように見たら、さらに睡眠を減らさなければならないので、結果としてテレビを見ないようにしました。

みんなが知っていることを、知っている必要はないのです。大人になったら、自分にしかできないことや自分しか知らないことが価値です。テレビなどみんなが知っていることを自分も知っていることは、大人になれば価値はありません。

3つ目は「トイレでの反省」です。これは時間の質に関わってきます。私のロールモデルである松下幸之助さんの本を参考にしました。著書の中で、「経営者になったら寝床に着いたらすぐ寝てはいけない。しばらくはその日にあった出来事を思い出しなさい」と、そして「あのときにこうすればよかった。こう言っておけばよかったということを夜寝る前に見直しなさい」とありました。

それをやろうと思いましたが、睡眠時間が限られていたので寝床に入ったらすぐ熟睡しなければなりません。その代わりにトイレでの時間を活用することにしました。その何十秒で、この時間帯に直前でやっていたことを反省するのです。

「こんな話をしなければよかった」「この人にはこんな話を次にしよう」ということをトイレに行ったときに見直すことを当時から今もやっていますが、未だに反省しきりでこの自問自答が自分の時間の質を上げています。

「昨日どこのチームが勝った」「天気がどうした」など、そのようなことは経営者にとって意味がありません。自分の話す時間を意味のあるものにしていくために、トイレでの反省が私に豊かな時間を与えてくれたと思っています。

4つ目は「社長としか会わない」です。社長にしか会っちゃ駄目だという意味ではありませんが、特に地方の社長たちはすべての物事を自分で決めます。

どの行政書士に自分の新しい会社の設立を頼むか、誰を呼んで相談をするかを決めるのは地方都市では中小企業の社長だけです。そのため、それ以外の人と会っても何も成果を得られません。常務や専務、部長だろうが結局決めるのは社長です。

そのため、自分の仕事を伸ばすために「意思決定権がない人と会わない」と決めています。

自分が勝手に決めていることですから、会っている人にそんな話をすることはありませんが、社長がいる所にしか行きません。

社長としか話さないことによって、時間の質は限りなく上がります。なぜかというと、私達はものを売っているわけではありません。会った人の中からしかお客さんは生まれてこないのです。

決まりを作り実践する

画像提供:PIXTA



5つ目は「誘われない仕組みづくり」です。これは若い頃から賢かったなと今でも思います。自分の時間を有効に使うためには、時間を自分のものにすることが重要です。例えば、日常的に私もスケジュールを作っていますが、他人に誘われたり、付き合って遊ぶことなどの時間は他人の時間です。

そのため、私は自分で誘います。誰を今度の日曜日のゴルフに誘うのに相応しいか。誰を来週の夕食に誘うか。つまり、誰が自分にとって優先順位が高いかを判断していくことこそが時間を自分の時間にすることなのです。

そのために必要なのは、誘われないことだと思いました。先輩の経営者やお客様に「今回の仕事ありがとうということでご褒美にご飯を一緒に食べよう」「ゴルフに行こう」「旅行に行かないか」
などよく誘っていただきました。

しかし、お客様には「誘って食事をご馳走してくれなくても私はあなたのことを考えて、あなたのために一生懸命尽くします。仕事はちゃんとやりますのでご心配なく。その分、私はまだ若いので学校も行かなきゃいけないし、勉強もしなきゃいけないし、1件でもお客さんを増やさないといけない」というお話をして、私を誘わない環境をずっと作り続けました。

こうして必要な時間は、自分で誘って作っていく仕組みを構築していきました。

クライアントに利便を供する仕事をやっている人たちは、お客様がわれわれを誘いやすい立場にいるので誘ってくるわけですが、この状態だと相手の時間になってしまいます。

私は既存でメンテナンスをしなければならないお客様、これからお客様にしたい人たち、会ってみたい人、ロールモデルの人たち、こういう人たちとの時間を作っていくことを一生懸命にやりました。

個人でビジネスをやっている人たちは誘う・誘われない仕組みづくりはほとんどができていません。難しい価値観もしくはアクティビティなので、ぜひ、参考にしていただければありがたいと思います。

6つ目は「日曜日にしかゴルフをしない」です。これはゴルフだけではありません。平日に遊びや旅行に行くことも含めて、従業員が仕事をしている時間は従業員と私の共有の時間だということに徹することにしています。

おかげで平日に私をゴルフに誘う人はいなくなりました。私がゴルフをしようと思ったら、誰とゴルフをするかが重要です。

楽しいゴルフをする人、営業に使いたい、知識教養を深めたいそれぞれのテーマでメンバーを決めることができるようになりました。誘いたい人を意識して時間を使っているかどうかで、差は付くと思います。

7つ目は当たり前のことですが「経営の勉強を続けること」です。ずっと続けなければなりません。

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8つ目は「経営者との人脈構築を怠らないこと」です。今すぐ自分の仕事に結びつく人たちだけではなく、もう二度と仕事の縁はないだろうなという人たちとも多くの縁を繋ぐことを心がけました。

経営や人生の中で出てきた壁を打ち破ったり、よじ登ったりするときに助けになるのは仕事関係の人たちだけではありません。

それ以外の人たちの力を借りる。または今まで進出していない分野へ仕事で進出したいときにそういう人たちの情報や人脈を活用しなければ、そこにたどり着けないことが、長い経営者人生の中ではよくあります。

そのため、経営者は今すぐに仕事にならないからとおざなりに扱うことをしないほうがいいと思います。

一生その仕事で食べていけるものはほとんどありませんから、新しい仕事を始めたり、微妙に業態を変化する、もしくは発生した問題を解決してくれることはすでにある人脈の中以外に存在することがあります。そのため経営者は多種多様な人脈構築を怠らないことが大事だと思います。
9つ目は「ロールモデル」です。これは経営者としての見本またはあるべき姿です。先ほど、松下幸之助さんの本から多くを学んだと申し上げましたが、残念ながらお会いしたことはありません。
しかし、この人の本を読んで、経営や商売の真髄を学びました。もし読んでない方がいらっしゃったらぜひ、お読みになってください。

その中に出てくるお話やバリューを学んだので、今でも私のロールモデルの1人は松下幸之助さんです。

2人目は似鳥昭雄さんです。今は日本を代表する社長の1人です。よくテレビにも出ておられますが、最初はしがない家具屋でした。家族付き合いもしておりましたが、この人は天才だと思いました。

私をニトリホールディングスの役員として迎えてくれ、そこで学んだことは今の事務所の経営の本質論の1つとなっています。

私は似鳥さんのような天才肌ではありませんが、お客様や友達を大事にし、そのためには努力を惜しまないことも含めて、こんな人でありたいと思う経営者です。

もう1人は土屋公三さんです。東証2部へ上場した、地元札幌のハウスメーカーの創業者です。若い頃からお付き合いをしていて、社外役員を15年も務めました。

そして、人生設計プログラム3KMの設計にも参画をさせていただいています。個人、家庭、会社の3つをどう人生設計していくのかを頭の中でバランス良く組み立てることができたのは土屋公三さんのおかげです。生き方も含めて性格や行動も正反対ですが、私のロールモデルです。

ロールモデルは自然に見つかることもありますが、意識して見つけることも必要です。「こんな人になりたい」「この人のここが素晴らしいのでここをまねしたい」というような経営者に追いつき、追い越す。

私は残念ながらできませんでしたが、ロールモデルとしては、今申し上げた3人は非常に適切だったと思います。今も目標ですが、とても追いつく相手ではありません。それと同時にわれわれには遊びの友人も必要かもしれませんが、経営者としての友人も必要です。

きちんと切磋琢磨をしてライバルと思えるような経営者を見つけて、お付き合いをするということが、経営者が自己成長する最大のポイントの1つだと思います。

10個目は、「どんなことにもチャレンジする」です。経営者はチャレンジしなければなりません。失敗をすることも経営者の役目です。従業員に失敗をさせるのではなく、失敗するようなリスクがあるものは、自分でやる気概と実行力が必要です。

私も失敗したことは成功したことよりも多くあります。しかし、リスクを負うのは経営者の役目だと思っています。また、それを楽しんでやらないと経営も人生も面白くはなりません。

どんなことにでもチャレンジしようと絶えず思い続けて、それを紙に書いて優先順位を決めて実行していく。どんなことにも挑戦し続ける意欲と体力を維持することは自分の成長に不可欠です。

チャレンジしていくためには健康な肉体と健全な精神が必要不可欠です。それを頭で分かっているだけではなく、それをいつも実行している自分を自身に見せることが大事なのです。

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