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前年比150%で成長し続ける企業の経営戦略

2026.09.19
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前年比150%で成長し続ける企業の経営戦略
今回は、政府の「100億宣言」をした企業など約60社以上と向き合ってきた船井総合研究所の岡﨑晃平氏が解説します。年商50億円を突破し、中堅企業へと成長する企業に共通する6つのポイントを紐解きます。

解説:船井総合研究所 岡崎晃平

INDEX

政府の「100億宣言」から紐解く、急成長企業の共通項

現在、中小企業庁が主導して、中堅企業への成長を官民で支援する政府の「100億宣言」というプロジェクトが進められています。

私はこれまで、この「100億宣言」を行っている企業を含め、売上100億円を目指す約60社の経営者の方々に直接ヒアリングを行ってきました。

その中で見えてきたのは、年商50億円を超え、100億円へ向かうステップを駆け上がっている急成長企業にいくつか見られる「共通のポイント」です。本記事では、前年比150%以上ベースで成長を遂げる企業がどのような経営をされているのか、私が出会った企業の例をもとに紐解いていきます。

外部環境の変化にブレない「中長期の投資計画」


まず1つ目は、震災やコロナ禍といった大きなマイナス局面での動き方です。前年比150%で急成長している企業は、こうした社会の激変へ上手に事業を適応させることができています。

ただし、それは行き当たりばったりの対応をしているわけではありません。

伸びている企業は、有事が発生する前から常に5年後、10年後を見据えた投資計画(工場や生産ライン、商品ラインナップの拡充など)をすでに描いています。

あらかじめ中長期の投資計画という「自社の軸」があるからこそ、想定外の事態が起きても慌てないのです。変わってしまった新しいニーズに合わせて計画をどう軌道修正し、どこへ攻めの投資を向けるべきかを、ブレずに判断できていました。

目先の変化に振り回されてその都度考えるのではなく、未来から逆算した計画を持っているかどうかが、結果として大転換期を次の成長ステップへ変える分岐点になると感じています。

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☑ 自社リソースに固執しない
☑ 先回りの「○○」が家業をアップデートする
☑ 突進力を支える「バランサー」の配置

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先手を打つための「稼働率7〜8割」のコントロール


2つ目は、自社の生産拠点やラインの「稼働率」に対する考え方です。効率を求めると「常に100%フル稼働」を目指しがちですが、急成長している企業は「2〜3割の余白」を残す、あるいは結果として余白ができている経営スタイルです。

これは、1つ目の「中長期の投資計画」と連動しています。多くの企業は、稼働率が100%に近づいた段階でようやく次の投資を考え始めます。しかし、それでは需要に対して後手に回ってしまいます。一方で成長している企業は、需要と生産性の予測から「そろそろ100%が見えてくる」という手前の段階(7〜8割稼働)で、先手を打って生産拠点を広げるなどの投資を実行しています。常に先回りして器を広げることで、結果として7〜8割の適正な余白をキープし続けているのです。

自社リソースに固執しない「外部アライアンス」


3つ目は、事業や商品開発における「ノウハウの頼り先」についてです。自社内の技術や社長個人のアイデアだけで完結させようとする企業は多くありますが、急成長している企業は早い段階から外部のリソースを上手に活用しています。

伸びている企業に共通しているのは、専門家、有識者、大学などの研究機関とアライアンスを組み、共同で研究開発(R&D)に向き合い続けている点です。

ポイントは、目先の売上のために一時的に組むのではないということです。なかには10年、15年前から地道に関係性を築き、常に商品の改善や新製品の開発へ向けて研究開発をし続けているケースも見受けられます。

民間企業である自社だけのノウハウで戦っていては、年商の伸びは微増、前年比105〜110%が限界かもしれません。しかし、外部の専門的な知見と連携する思想を経営者が持っていれば、時間は多少かかったとしても、のちに爆発的な急成長を生むための大きなエンジンにすることができるのです。

先回りの「後継者育成」が家業をアップデートする


4つ目は、100年企業など歴史の長い企業における「代替わり」のタイミングでの動き方です。業績を大きく伸ばしている企業を見ると、40代の3代目・4代目の社長へバトンタッチしたケースが非常に多くあります。

彼らがうまくいっている理由は、単に若い感性に任せているからではありません。伸びている企業の多くは、後継者(ご子息・ご子女)を一度、自社よりも組織規模や商品規模が大きい先進的な企業に就職させ、そこで現代的な経営や運営の手法を学ばせています。

他社で現代的なノウハウを体験した上で家業に戻ってくるからこそ、過去のやり方を上手に否定し、現代に合わせた経営へとアップデート(近代化)していくことができるのです。

現社長が

「まだ自分が10年、20年は現役でやる」

という段階であっても、この仕込みは始まっています。将来の跡継ぎを新卒でどこに勤めさせるかといった育成戦略を、10年スパンで話し合い、先回りして仕込んでおくことが重要です。この長期的な視点が、次の時代の中堅企業化に向けた強固な地盤を作っていると感じます。

突進力を支える「バランサー」の配置


5つ目は、経営陣の「バランス」についてです。創業経営者や1代目の社長は、営業力やトップライン(売上)を伸ばす推進力に長けているケースが非常に多いです。しかし、売上を追って突っ走る反面、社内の細かい実務や管理面は疎かになりがちです。

中小企業の規模であればそれでも勢いで進めるかもしれませんが、年商50億円、60億円といった中堅企業のフェーズになると話は変わってきます。

令和の現代においては、労務管理やコンプライアンス、ガバナンスが機能していなければ、いくら売上が上がっても従業員がついてこなくなってしまいます。100億円を目指せる企業を見ていると、社長の横に必ずといっていいほど優秀な「2番手(番頭役)」となるバランサーを置いています。あるいは、デジタルや人事の機能を補完するために、外部のコンサルタントを実務の調整役として上手に巻き込んでいるケースもよく見られます。

つまり、社長自身が細かい管理業務まで完璧にこなすのではなく、自分の突進力を補完してくれるバランサーや外部リソースを仕組みとして配置できているか。この組織体制のバランスこそが、中小企業の枠を飛び出すための重要なカギになっています。

成長市場への「ポジショニング」


6つ目は、選ぶ「市場」によって成果が左右されるという点です。前年比120〜130%ベースで急成長を遂げている企業は、やはり国が投資を強化している「成長17分野」のような、時代の潮流としてこれから伸びる市場に上手く身を置かれています。

どんなに社長が優秀で社内体制が整っていても、縮小していく市場で戦っていては、大きな成長を描くことには構造的な限界があるからです。

もちろん歴史のある老舗企業などの場合、今から全く異なる新しい業界へ飛び込むのは現実的に難しいという側面もあるはずです。その場合は、自社の強みはそのままに「売り方(チャネル)や顧客層」を変えることで、伸びる市場へ入り直すという戦略もあります。

数年前の段階から時流を予測し、国が掲げる成長市場へどう先手を打って網を張るか。あるいは、自社の強みを活かしてどう成長チャネルへシフトするか。この「勝てる市場を選ぶ戦略」こそが、現在の急成長の絶対的な土台になっていると感じます。

ここまで、政府の「100億宣言」を行っている企業の共通項をお伝えしてきました。自社のステージをもう一つ上へと引き上げるために――これらが、自社のこれからの成長のヒントになれば幸いです。

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