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データで読み解く「社長のリアルな年収」と「引退後の資産防衛」〜会社のお金に縛られない社長へ〜

2026.06.17
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データで読み解く「社長のリアルな年収」と「引退後の資産防衛」〜会社のお金に縛られない社長へ〜

「私の給料は、今の額で本当に適切なのだろうか?」会社の業績を上げ、社員や家族の生活を守りながら、ふと自分自身の報酬について考えたことはないでしょうか。 経営者が負っているリスクや労働時間からすれば、「少なすぎる」と感じる方も多いはずです。本記事では、社長onlineで過去に実施した大規模アンケートなどの独自データや専門家の知見を総動員し、年収目安や引退後の生活まで迫ります。

INDEX

執筆者:船井総合研究所 マネージャー 小梢 健二

ズバリ、社長の「適正年収」はいくらなのか?


世の経営者たちは、実際にどれくらいの報酬を得ているのでしょうか。
社長onlineが実施した社長へのアンケートを分析すると、社長の推定平均年収は1,378万円、中央値で1,375万円でした。(『社長online白書2024』アンケート:有効回答296名、平均年商約7.4億円、平均従業員数42人)。
また、別で実施した250名規模のアンケート調査(2025年に社長onlineで実施)でも「代表取締役・代表」の平均年収は1,385万円、中央値は1,125万円となっており、中小企業経営者のひとつのボリュームゾーンは「1,100万〜1,300万円台」と言えそうです。
では、この金額は何を基準に決まるのでしょうか?
分析の結果、社長の年収は「年商」と「営業利益額」に連動する傾向が強いことがわかりました。一方で、営業利益率や前年比の成長率は年収と連動しづらいようです。

年商の目安: 年商1億円未満の企業の推定社長年収が760万円であるのに対し、年商1億円〜10億円未満では1,622万円、年商10億円以上では2,392万円へと跳ね上がります。年商1億円、10億円という大台が年収設定の分岐点になっていると推測されます。

営業利益の目安: 営業利益額で見ると、1,000万円未満の場合は社長の推定年収も843万円に留まりますが、1,000万〜5,000万円未満で1,370万円、5,000万円〜1億円未満で2,288万円、そして3億円以上になると3,023万円に達します。営業利益が1,000万円、5,000万円、3億円というフェーズに乗ったタイミングで、社長の年収水準も一段階引き上げられていることが分かります。

公認会計士・税理士の有識者は以前のインタビューで「社長の役員報酬は固定費であり、それをまかなうための粗利が必要です」と指摘しています。月収100万円未満など少なすぎる報酬は、経営者自身が「利益を出せていない」ことの裏返しとも言えます。適正な給与を得ることは、企業として十分な生産性を確保できているかのバロメーターなのです。

役員報酬2,000万円超の社長がやっている「自己投資」の共通点


※社長online白書2024より抜粋

業績を伸ばし、自身の年収を上げている社長は、何にお金を使っているのでしょうか?
調査から、「月間の勉強代と年収は比例する」という明確な事実が浮かび上がりました。
年収1,000万円未満の社長の月間勉強代(中央値)は31,596円。年収1,000万円〜2,000万円未満では33,703円。年収2,000万円以上では44,654円と、自己投資額が顕著に増加します。
特に注目すべきは「情報収集の手段」です。
読書やビジネスWEBメディアでのインプットは多くの社長が行っていますが、営業利益が昨対で20%を超えて増加している成長企業の社長は、以下の3点に強く投資しています。

  • ①同業種・異業種の経営者との交流
  • ②セミナーへの参加
  • ③企業視察

これらに時間とお金を投じることが、適切な経営判断を生み、結果として業績と社長の年収アップに直結していると言えます。

額面より「手取りと会社資産」を最大化する戦略的アプローチ


経営者の収入は役員報酬の額面だけではありません。税金や社会保険料の負担を考慮し、「いかに手取りを増やすか」「会社に資産を残すか」という視点が不可欠です。
報酬の置き換えによる手取り最大化デザインを考えてみましょう。
単に役員報酬を高く設定するだけでは、所得税の累進課税や社会保険料の負担により、思ったほど手元にお金は残りません。そこで重要になるのが、報酬の一部を非課税枠や会社経費に置き換える視点です。
例えば、額面の役員報酬を一定額抑え、その分を役員社宅の会社負担分や、出張時の非課税日当などに振り替える設計です。これにより、社長個人の手取り額を大幅にアップさせつつ、法人の利益も底上げするような仕組みが構築できます。

税金フローから逆算したキャッシュ防衛策も有効です。
会社で利益を出し、個人で受け取り、最終的に家族へ残すまでの税金フローを俯瞰してみましょう。
例えば会社の利益をそのまま役員報酬として受け取ると、所得税や社会保険料で約半分が消え、さらに将来の相続税でまた半分が引かれる……といった事態に陥りかねません。
これを防ぐため、賞与の損金算入を可能にする事前確定届出給与や、国の退職金制度である小規模企業共済、そして選択制確定拠出年金など、既存の制度を組み合わせ、法人と個人の両面から手残りを増やす戦略が求められます。

B/S思考が大事です。

オーナー企業の場合、会社の借入金は社長の個人保証に支えられているケースが多く、実質的に会社=社長です。だからこそ、P/L(損益計算書)上の目先の利益だけでなく、B/S(貸借対照表)を意識した中長期計画が求められます。会社に現預金をどの程度持たせ、純資産をどう積み上げるか。「会社版と社長個人版のB/S」を両輪で描くことが、社長の資産を守る最大の防衛策となります。

4割の社長が縛られ続ける「引退後のお金と担保」問題の最適解


最後に、誰もがいつかは直面する引退についてです。
約5,000件の回答を集めたみずほリサーチ&テクノロジーズ(旧:みずほ情報総研)の報告書によると、経営者が引退を決断する際の最大の懸念は「自身の収入の減少」でした。事業を継続する前の段階では、実に54.4%の経営者がこれを不安視しています。
さらに深刻なのが個人保証の問題です。引退後、事業継続後であっても、42.7%の経営者が、自身の個人資産を担保として提供し続けている実態があります(事業継続前は65.5%)。引退したからといって、すぐにお金の不安から解放されるわけではないのです。

この課題の解決策として注目されているのが、第三者への事業承継、つまりM&Aです。株式譲渡と役員退職金を組み合わせることで、驚くほどの税制メリットを享受できるのです。
退職金は退職所得として他の所得と分離され(分離課税)、勤続年数に応じた大きな控除枠(退職所得控除)が適用されます。さらに、控除後の金額の1/2にしか課税されないため、通常の役員報酬として受け取るよりも税負担を抑えられるでしょう。
また、株式譲渡のメリットも見逃せません。自社株の譲渡益にかかる税率は約20.315%(所得税・住民税・復興特別所得税)の固定です。M&Aを通じて適正な企業価値で株式を現金化し、有利な税制で退職金を受け取る。これにより、社長個人に十分な資金を確保し、個人資産への担保設定を解除して、真の意味で安心できるセカンドライフを手に入れることができるのです。

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