【育成】どう苦手払拭する?新人が電話対応を嫌う4つの理由
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2026.08.17
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- 「電話対応のマナーに自信がない」「電話は苦手だ」。そんな新人が全体の5割を占めるという調査があります。問い合わせや営業で上手く電話してもらうには、どうすればよいのでしょうか。 コンタクトセンター向け研修を手がけ、年間1000名以上の育成に携わってきた船井総合研究所の野村昇平が、電話嫌いの正体と、今日からできる育成方法を解説します。
解説:船井総合研究所 プロシード事業部 野村昇平
INDEX
【解説者プロフィール】
船井総合研究所 プロシード事業部 マネージング・ディレクター 野村昇平
埼玉県浦和出身・インドネシアジャカルタ育ち。大学卒業後、音楽活動と並行しコンタクトセンター業務に従事。その後大手BPO会社にて数多くの「現場」を経験。特に金融機関業務に精通。2020年に前身のプロシード入社。研修部門責任者としてグローバル規格「COPC」を軸としつつ、業界”時流”を取り入れ年間1000名以上への研修(トレーニング)を実施。プロアスリートとの交流も深いことから、アスリートのメンタリティメカニズムを取り入れた1on1トレーニングも好評を得ている。現在は責任者として「理想のコンタクトセンターデザインで企業価値を高める」をコンセプトにコンタクトセンターコンサルティング全般を手掛けている。ライフワークとしての目標はコンタクトセンターを「働きたい職業ベスト10」に入れること。
新人の「電話嫌い」を構成する4つの苦手意識
2025年にBCC株式会社が実施した調査によると、新卒3年目までの新人400名を対象にした「社会人になって苦手だと感じた仕事」で、「電話を受ける」(50.8%)と「電話をかける」(48.8%)が上位(1位・2位)を独占しました。
ただし、この課題の本質は「電話」というデバイスそのものではないと考えます。
異なる世代とのコミュニケーションに対する抵抗感
新人が抱える苦手意識を分解してみましょう。
新人同士が電話するとき、「苦手だ」という声はあまり聞きません。新人が本当に苦手なのは「電話すること」ではなく、「自分と違う世代の人と話すこと」だといえます。
背景や文脈を省略しても通じ合う同世代とは異なり、上の世代に対しては「前提から細かく説明しなければならない」という面倒さや、ジェネレーションギャップに対する苦手意識が根底にあります。
さらに、世代によってコミュニケーションの「性質」も異なります。30代以上の世代は、結論から述べるよう教わってきました。一方で、新人は、結論から述べることを冷たいと感じる傾向があります。前提や背景を丁寧に共有してもらえるほうが温かみを感じるようです。この感覚の違いも、苦手意識の原因になります。
ビジネス用語や作法への不慣れ
現在の新人はスマホの世代であり、LINEの世代です。普段からメッセージの「スタンプ」と短いメッセージでコミュニケーションが成り立つ環境にいます。昔のように、学校で連絡網を回した経験も、公衆電話から発信した経験もありません。
そのため、「失礼ですが」「恐れ入りますが」といったクッション言葉や敬語、ビジネス用語をどう使っていいか分からず、苦手と感じる傾向にあります。
突発的な対応への不安
電話には、いつ、誰から、何を言われるか分からない中、リアルタイムに相手の期待や気持ちを汲んで回答しなければならないというプレッシャーがあります。

これは電話に限った話ではなく、同期型の対人コミュニケーション全般に対する苦手意識とも言えます。
▼ 記事の後半では、こちらについて紹介しています。
☑ 4つ目の苦手意識:「失敗したくない」という強い心理
☑ 電話への苦手意識をなくす令和流のマネジメント
☑ 新人「電話苦手」だからこそチャンスな側面も
「失敗したくない」という強い心理
子どもの頃からインターネットで知識を得て行動してきた新人世代は、上の世代のように「とりあえず実行して失敗から学ぶ」というスタンスではなく、「できれば失敗せずに、正解を知ってから実行したい」という価値観が強く、上の世代に比べて電話への抵抗感をより一層強めています。
「失敗したくない」というのは、単純にプライドが高いという話だけではありません。新人は、SNSを通じて「ささいな失敗でも取り返しがつかない事態になりうる」と学習しています。
極端な例ではありますが、SNS普及前の2009年、SMAPの草彅剛さんは酒に酔って公園で裸になり現行犯逮捕されましたが、1カ月の自粛を経て芸能界へ復帰しました。しかし2025年、女性関係のトラブルを起こした中居正広さんはSNSで炎上し、TV局やスポンサーを巻き込む騒動へ発展、1年以上経過した現在も表舞台から姿を消しています。
<参考:日刊スポーツ(2009)、朝日新聞GLOBE(2025)>
新人の指導に当たる場合、「失敗」に対する価値観がシビアであることを把握しておくべきでしょう。
電話への苦手意識をなくす令和流のマネジメント

こうした苦手意識をどのように解消し、新人を戦力化していけばよいのでしょうか。
オンボーディングの段階で有効なのが、「AIとロールプレイングをする」ことです。
AIを先輩社員のような練習相手に
AIに練習相手をさせれば、新人が納得するまで基礎的な練習に打ち込めます。敬語、クッション言葉、話すペース、商材知識など、基礎的なスキルの反復練習がAI相手なら何度でもこなせます。それに、AIは理不尽に怒ったり、時間を取られて不機嫌になったりしません。
世代のギャップについても、AIにペルソナを設定することで解消につながるでしょう。コンタクトセンター業界では、『夕方5時、子どもの夕食を作っている主婦』など仮想のペルソナをAIに演じさせ、練習させる取り組みが広がっています。
専用の研修ツールとして開発されたAIを導入するのも一つの方法ですし、ChatGPTなどの汎用AIを壁打ち相手にすることも、経験につながります。
AIの不足を補い、電話する意味を伝えるのが上司の仕事
ただし、AI相手の練習だけで新人を戦力化させるのは難しいでしょう。
AIが蓄積した一人ひとりの課題や苦手パターンを上司がキャッチアップして、ロールプレイングやフィードバック、OJTなどの日常指導に生かすのが効果的です。
そして、上司がすべき重要な仕事は、「電話をかける意味を新人へ伝える」ことです。
前提として、電話はかける側にとっても受ける側にとっても負担感の強い作業です。
電話を嫌う人は、経営者のなかにもいます。たとえば、「ホリエモン」こと堀江貴文氏は生粋の「電話嫌い」です。著書『多動力』の中でも「仕事は強制的に中断され、リズムが崩れてしまう」「時間を無駄に奪う」と、電話を激しく非難しています。
それでも電話をかける理由とは?なぜ電話の品質を上げる必要があるのか?そうした意義を言語化することが、新人を戦力化する上で非常に重要です。「やらされている感」があると、品質向上や成果になかなか結びつかないからです。
自社の商材を深く理解し、お客さまにとって有益な情報を提供できれば、「有益な話を聞けた」と感じてもらえます。コミュニケーションを通じて自社ブランディングの役割も果たします。いかに有益な情報を届け、「あの会社から電話がかかってきてよかった」と思ってもらえるか。そこにチャレンジする意義を示すことが、マネジメント層の仕事といえます。
新人の負担感を分散させるのがポイント

「今日はあまり電話をかけられませんでした」と報告する新人に対し、「なぜかけられなかったのか」と詰めるのではなく、「次に展開しそうな電話はなかったか」と聞いてみましょう。
「ありませんでした」と言われたら、「自分だったらこうすると思うけれど、どうだろうか」と一緒に考える姿勢を示します。そして「あの件は、あらためて連絡することになりました」と報告を受けたら、「次につながったのなら、それは立派な成功だ」と伝えてあげてください。
一度の電話で全てを解決する必要はありません。次にどうつなげるかを考えながら電話をかければ、新人でも負担感が少なくなり、小さな成功体験を積み重ねながら仕事に向き合うことができます。
実際、コールセンターの最近のトレンドでは、1回の電話で解決する「一次解決率」だけでなく、お客さまが連絡してから課題が解決するまでの全体を通して顧客体験を向上させることが、重視されるようになっています。
寄り添う。ただし「ぬるい職場」にしない
【上司側が恐れてはいけない2つのポイント】
- 1つ目は「ブランドイメージ」です。
電話1本の応対が、会社のブランドそのものです。「今日電話がかかってきた会社、非常に感じのいい担当者だった」と相手に思ってもらうことも、立派なブランディングなのです。だからこそ、自社がお客さまにどういう印象を届けたいのかを、きちんと理解させることが大切です。 - 2つ目は「ビジネスKPI」です。
組織の目標と合致した指標を設定し、ビジネスとしての成果(KPI)を出すことが、給与や昇進につながる仕事であるという事実を、恐れずに新人へしっかりと伝えていく必要があります。
ここを避けて、理念や目標を曖昧にしてしまうと、成果を出している社員が報われない職場になります。
心理的安全性とは、決して「何をやっても許される環境」ではありません。上司が部下に寄り添い、間違った際には指摘され、指摘された本人が「自身のためになる」と感じられれば、心理的安全性は確保されています。
結果を期待せず、心理的安全性だけが高い職場は、ただの「ぬるい職場」です。新人を育て、定着させ、業績を上げるのは、心理的安全性が高く、かつ成果も厳しく追いかけられる「学ぶ職場」なのです。

新人「電話苦手」だからこそチャンスな側面も
ある企業での応対品質を調査した際、衝撃的な結果が出たことがあります。
ベテラン・中堅・新人のうち、もっとも応対品質が低かったのはベテランであり、もっとも高かったのは新人だったのです。
理由は2つあります。1つ目は、新人は「挨拶がしっかりできる」こと。そして2つ目は、「不器用だからこそ、お客さまの話をしっかりと聞く姿勢がある」ことです。

電話に慣れていないからこそ、真摯に話ができます。マナーや作法が完璧でなくても、確かな熱意は伝わるのです。逆に、ベテランは経験があるがゆえに話を畳みかけてしまい、お客さまに「ついていけない」と思わせてしまうことがあります。
営業慣れしている人の表面的な「型」ではなく、お客さまに対する「熱意」「誠意」、そして「良い緊張感」こそが真似すべき本質です。
営業に慣れていないからこそ生み出せる価値があります。ポテンシャルを最大限に引き出す育成を目指しましょう。
