リーダーが身につけるべき「質問の技術」とは?
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2026.07.26
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- 数多くの企業や経営者の課題を解決してきた「質問の専門家」であり、これまでの著書もヒットを記録している河田真誠氏。今回は、同氏の新刊『質問の魔力』(アスコム)から、課題の本質をあぶり出し、解決へと導く「質問の技術」について解説します。
解説:「質問の専門家」河田真誠
INDEX
リーダーの「質問」で組織がポジティブに変わる

何度も同じ間違いを繰り返す部下に、つい「何で同じ間違いを繰り返すの?」と詰め寄る。
商談の最終局面で営業担当者が「ご検討いただけますか?」とお願いしている。
会議の席で経営者自らが「どうしたら売上が高められるんだ?」と幹部に問いかける。
これらはビジネスシーンにおいてごく自然な質問に見えます。しかし、この質問ではあまり変わらない、意味がない……といった経験をしているリーダーは少なくないはずです。
ではここで突然クイズです。先ほどの質問を成果につなげるためには、どのような質問にすべきでしょうか?
それでは、答えです。

図のように、ほんの少し変えただけですが、質問を変えるだけで思考が変わると感じるのではないでしょうか?そして、思考が変わることで行動や成果も変わっていくのです。
実際、これらは『質問の魔力』の著者が現場でアドバイスし、成果につながった例の1つだといいます。
偉人たちも大切にした「質問の力」

ソクラテスやアルベルト・アインシュタインなど、歴史に名を残す偉人たちも一様に説いてきた「質問」の重要性ですが、私たちは日々の生活や仕事の中で、無意識のうちに絶えず「質問」を繰り返しているはずです。
「自社の強みは何だろう?」
「なぜ営業の売上が悪いのだろう?」
このように「自分(自社)に対して行う質問(自問自答)」もあれば、
「例のプロジェクト、進捗はどうだ?」
「今期の目標を達成するために、何が足りないと思う?」
といった、社員などの「相手に対して行う質問」もあります。
そして、この日常的な問いかけをほんの少し変えるだけで、組織には下記のような劇的な効果が見込めるようになります。
チーム(組織)にもたらされる変化
- 「指示待ち」から「自分で考える」チームへ:メンバーが能動的に動き出す。
- 「前例主義」から「挑戦組織」へ:新しいアイデアや改善案がどんどん飛び出す。
- 「決まらない会議」から「決まる会議」へ:生産性が格段に向上する。
リーダー(経営者)にもたらされる変化
- 指示・命令をせずとも、部下が喜んで自ら動き出す。
- 部下が目に見えて急成長するため、手取り足取り教えるストレスから解放される。
- 物事の本質を見極められるようになり、楽しく、シンプルに目標達成ができるようになる。
- 業績が伸びるだけでなく、顧客満足度や「従業員満足度」も同時に向上する。
質問には4つのポイント(視点)がある

冒頭のように、ただ闇雲に言葉を投げかけるだけでは質問の意味はありません。
「質問をつくるときに一番大切なこと、それは『視点』です。よい質問は視点から生まれるものなのです」
と『質問の魔力』では指摘しています。
その視点とは以下の4つです。
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視点を変える質問(見方を切り替える)
今の見方から、別の見方に切り替えるための質問。見方を変えることで新しい考えや発見、答えが見つかる。 -
視点を広げる質問(選択肢を増やす)
360度見渡し、複数の見方を同時に考えていく質問。アイデアの創出や様々な可能性を模索していくときに効果を発揮する。 -
視点を高める質問(全体・本質を掴む)
一段階上の視座から、全体や本質を俯瞰するための質問。「目の前から全体へ」「短期から長期へ」と視野を広げることができる。 -
視点を狭める質問(行動を決める)
抽象的なものを具体的に「一点」に絞る質問。行動を決めたり、実行に移したりするときに使うことができる。
では、次に具体的な技術を3つ紹介します。
「他には?」で想定内から「想定外」のアイデアを絞り出す
例えば視点を広げる質問であれば、会議で新しいアイデアが次々と飛び出す組織にするためには、思考に壁をつくらず自由に意見を出すための質問が効果的です。
アイデア出しの会議では、以下の「順番」で視点を広げるための質問を行います。
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ステップ1:まずベースとなる質問を投げかける
(例:「どうすればお客さんの満足度が高くなると思いますか?」) -
ステップ2:「他には?」としつこく繰り返す
ホワイトボードがいっぱいになってからが本番です。「他には?」「他に何があるか?」と何度も質問を重ねていきます。 -
ステップ3:制限を外すルールを設けてさらに質問する
意見が出尽くした後に、「真面目なことを言ってはいけないというルールで、他にアイデアはありますか?」と質問します。
まるで、雑巾の水分を絞るように、質問でアイデアを絞り出していくことが大切です。
最初のうちに出るアイデアは、普段考えていそうな「想定内」のものが多くを占めます。しかし、そこから意識的に「他には?」と視点を広げる質問を重ね、強制的に視点をチェンジさせて絞り出していくことで、初めて「想定外」のユニークなアイデアや、新しいビジネスの種が生まれます。
「そもそも」を考えれば停滞感が打破できる
組織に停滞感が漂っているとき、「どうすれば売上がもっと高まるんだろう?」と問いかけるのは、良い質問とはいえません。このときは視点を高める質問を意識します。
× 停滞してしまう問い:「どうすれば売上がもっと高まるんだろう?」
◎ 停滞感を打破する問い:「そもそも何で売上をもっと高めなければならないのだろう?」
物事が進むと、売上を増やすことや会議をすること自体が目的となり、手段が目的化して目的を忘れがちになるのが陥りがちな罠です。こうした「手段の目的化」や「組織の停滞」は、定期的に「どこを目指しているのか?」「何のためにしているのか?」「どうなったら成功と言えるのか?」という”視点を高める質問”を投げかけることで解決につながります。わかっているようでわかっていないことに気づき、原点に立ち返ることができるからです。
また、この視点を高めるアプローチを日常業務の改善に落とし込んだものが、以下の「業務見直しの三段階質問」です。
業務見直しの三段階質問
- 日常の業務を書き出す
- 「本当に必要なのか?」を検討する
- 「本当にこれがベストなやり方なのか?」を検討する
(※自分一人ではなくチームで考えたりAIに聞いたりして、思い込みの枠を超えていく)
この三段階の質問を行うだけで、仕事に対する視点を高めることができ、日常業務が大幅に改善されムダをなくすことができます。
「そもそも質問」は物事の「定義」を問い直し、考えの軸をつくる
また「そもそも~」を使った質問は、社内やチーム内で価値観がバラバラだったり、組織がうまく前に進めなかったりする問題に対して、質問によって物事の「定義」を問い直し、考えの軸をつくることができます。
× 軸が定まらない問い:「今の仕事は何ですか?」
◎ 考えの軸をつくる問い:「そもそも、なぜ、この仕事なのか?」「そもそも、なぜ、ここにいるのか?」
何かをスタートする際は、まず「そもそも〜とは?」を投げかけて言葉の意味を「定義」することから始めます。
「そもそも、仕事とは?」
「そもそも、よい仕事とは?」
「そもそも、お金とは?」
「そもそも、幸せとは?」
こうした土台の定義をハッキリさせることで、チームの目指す方向や評価の基準が明確になり、足並みが揃うようになります。
さらに、この「とは?」に合わせて「なぜ?」を合わせて考えることで、より質問の質が上がります。「軸や世界観がある、自分をもっている」という会社は、この「とは?」がはっきりしており、独自の答えをもっています。それが企業の「個性」となり、メンバーが初心や目的を思い出すことにもつながります。
質問を変えれば、組織の未来が変わる
今回取り上げたテクニック以外にも、『質問の魔力』では部下の本音を引き出す質問や、ブレイクスルーを生み出すためのさらに多くの実践的な「質問の技術」が紹介されているのでぜひチェックしてみてください。
日々の何気ない問いかけをほんの少し変えて、課題を解決する。まずは今日の会議、あるいは自分自身への問いかけから、その「魔力」を試してみてはいかがでしょうか。
【参考図書】
【著者プロフィール】
河田真誠(かわだ しんせい)
質問だけで経営、マネジメント、キャリアアップをはじめとしたビジネスにまつわるあらゆる問題を解決し、理想の未来に導いていく質問の専門家。そのほかにも、働き方、夢の叶え方、生き方などの講演やイベントを通じて、延べ10万人以上の人生に影響を与えてきた。主な著書に『君を一生ささえる「自信」をつくる本』(アスコム)、『売らずに売れる技術』(ワン・パブリッシング)、『革新的な会社の質問力』(日経BP)などがある。
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