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最低限、この3つだけ把握しよう。社長が見落とす会社の「資産」

2026.07.14
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最低限、この3つだけ把握しよう。社長が見落とす会社の「資産」
自社の決算書に並ぶ資産の文字を見て、「これだけ資産があるのだから、うちの会社は大丈夫だ」と安心していませんか? しかし、ここに大きな落とし穴が潜んでいるのです。決算書に立派な数字が書かれていても、「資金に換えられない資産」や「事業に全く貢献していないムダな資産」であれば、いざという時に会社を救うことはできません。むしろ、知らず知らずのうちに資金繰りを圧迫する可能性すらあるのです。

解説:株式会社船井総合研究所 片山孝章

INDEX

1. 【棚卸資産】~社長は「将来の利益」というが、銀行は「不良在庫」を疑う~

銀行などの金融機関は、決算書上の帳簿価格をそのまま信じているわけではありません。取引先の資産が「本当に価値があるのか?」「実態はどうなのか?」を常にシビアな目線でチェックしています。

特に、モノを扱うビジネスにとって、決算書に計上される「棚卸資産」は、将来キャッシュを生み出す源泉のはず。しかし、銀行目線では、在庫は「速度が命!」になるのです。

■ 在庫は「月商に対して何ヶ月分あるか」がすべて

いくら将来売れる見込みがあっても、倉庫に眠ったままの長期在庫は、資金を固定化させ資金繰りを傷つける「荷物」です。「月商に対して何ヶ月分あるか」そして「何ヶ月で売れる体制が最も資金効率が良いか」を正確に把握しておきましょう。ここが不十分だと、企業価値を下げるマイナス要素になります。

なお、業界によって目安となる消化スピードが異なることは留意が必要です。不動産、自動車なら1年以内、食材なら月次が基準です。

■ さらに厄介な「半製品」のリスク

製造業や建設業などで発生する「半製品」。

業界によっては仕掛品と呼ぶこともありますが、この半製品の管理は、通常の製品以上に厳重にする必要があります。理由は次の3つです。

  • 価値変動リスク:完成度合によって価値がブレやすい。
  • 在庫が毀損するリスク:途中の工事・製造ミスで価値がゼロになる危険がある。
  • 銀行から疑われるリスク:金融機関は「本当にこの作りかけのモノに価値があるのか?」と疑う。

社内の在庫管理明細を常に整備し、「今、何が、どこに、いくらあるのか」を経営者自身が把握し、銀行に対しても即座に説明できる体制を作っておきましょう。

2. 【有形固定資産】~帳簿価格ではなく、「3つのモノサシ」で把握する~

建物や車両、設備といった「有形固定資産」は、決算書に記載されている帳簿価格と実際の価値が最もズレやすい項目です。土地や建物は路線価などで測りやすいものの、その他の機械や車両、絵画といった、時価のブレやすい資産をどう評価すべきでしょうか?

ここで役立つのが、金融業界で重視されている「事業性評価」の3つのモノサシです。

  • 換金性:「もし今、売ろうとしたらすぐに買い手がつく市場があるか?」
  • 使用率:「営業日のうち、実際に仕事のために何日稼働しているか?」
  • 健全性:「経年劣化や陳腐化により、決算書に書かれた価値を失っていないか?」

■ 「建物」は3つのグループに分けて実態を見る

会社が保有する建物は、その使われ方によって価値の性質が異なります。

  • 売上創出の起点:直接売上を生み出している稼働中の工場や本社など。
  • 休眠資産:利益を生まない、旧本社や空き家など。
  • 本業外の収益源:本業外で安定した収益を生んでいる賃貸アパートなど。

平時であれば帳簿上の数値だけでも問題ありませんが、資金繰りの維持が最優先される難局においては「特に換金性の高い資産がどれだけあるか」を自社で把握しておくことが命綱です。

特に運送業などでトラック車両を多数保有している場合などは、「なぜこの有形固定資産がわが社の事業にとって重要であり、どれだけの価値があるのか」を資料化して説明できるように準備しておくと、金融機関からの評価が高まります。

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☑ 有価証券は運用益より「●●」が問われる
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3. 【有価証券・保険積立金】~「有事の備え」が評価を下げる~

何かあった時のために取っておこう…と塩づけになっている「投資有価証券」や「保険積立金」。宝の持ち腐れにしているならまだしも、銀行目線でのマイナス要因になっているケースが少なくありません。

■ 有価証券は「なぜ持っているのか」の経緯が問われる

有価証券に対して最も銀行が気にするのは「なぜ、それを購入したのか」という経緯です。特に、非上場会社の株式は要注意です。上場株式や投資信託には明確な評価基準がありますが、非上場株式は実態が見えにくいためです。取引円滑化のための持ち合いなのか、友人経営者の支援なのか。売却や保有の方針と合わせて、経緯を整理しておきましょう。決算説明時に付記できるレベルなら完璧です。

■ 保険積立金は「戻り利益」のシミュレーションを完璧に

企業保険の中身を本当に理解していますか?節税やいざという時のため、あるいは付き合いなどで加入することも多い保険ですが、財務分析において絶対に把握してほしいのはたった一つ、「解約返戻金は、何年後に、いくらになるのか」です。

保険金の戻り利益は、会社にとってのセーフティーネットになりますが、戻ってきた瞬間に課税されて税金で削られてしまっては意味がありません。契約内容を定期的に見直して、数年後の納税と利益の予測を立てておいてください。

  • 払いっぱなしの掛け捨てになっていないか?
  • 戻り利益が発生した際、どのくらいの納税が予測されるか?

昨今の保険はオンラインからもチェックしやすくなっています。心当たりがある方は、今日にでも、一度見直してみてください。

B/Sを眺めて感じる「違和感」こそ、経営改善の金脈

B/Sの「資産の部」を解剖してきました。
ご自身の会社の決算書を思い浮かべながら、ここまで読まれた方のうち何割かは、偶然「金脈」に辿り着いたのではないでしょうか。
ここでいう金脈とは、自社の決算書を眺めたときに感じるこの「あれ?」「おかしいな」という違和感です。

「思った以上に、すぐに資金に換えられない資産が多かった」
「税理士任せで、中身がよく分からない資産が載っていた」
「帳簿上の金額と、実際の実態価値に大きなズレ(違和感)があった」

これこそ、会社の経営課題をあぶり出し、資金繰りを劇的に改善するための「未開の金脈」なのです。

「在庫」「有形固定資産」「有価証券・保険積立金」。普段把握されている経営数値にこの3大資産の視点を上乗せしておけば、銀行から「この社長は数字が分かり、実態をコントロールできている」と信頼を勝ち取りやすくなります。

次回は「銀行の審査目線をハックせよ!評価を高めて有利な融資を引き出す3つのアプローチ」をお届けします!お楽しみに。次回はこちら