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埋蔵データを宝に変える!中小企業のためのデータ発掘術

2026.08.01
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埋蔵データを宝に変える!中小企業のためのデータ発掘術
データを活用した経営の重要性が叫ばれる一方で、「うちには使えるデータはない」と考えてしまう方もいるようです。しかし、成果を上げている企業ほど、現場の小さな気づきといった一見些細な情報から次のチャンスを見いだしています。新たな売上やサービスにつながる可能性のあるお宝データ。今回は、そうした「埋もれたデータ」を業績や新規事業につなげる「お宝データ」にするための考え方について、滋賀大学データサイエンス学部准教授の増田純也氏に聞きました。

国立大学法人滋賀大学 データサイエンス学部准教授 増田純也氏
執筆:船井総合研究所 社長onlineパートナーライター宮本さおり

INDEX

DXと切っても切り離せないデータ活用

中小企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)への関心は着実に高まっています。中小企業基盤整備機構の調査によれば、DXの必要性を認識している企業は7割を超える一方、実際に取り組みを進めている企業は4割程度にとどまっています。

 

多くの経営者が重要性を理解しながらも、具体的なアクションに踏み出せていないことがうかがえますが、その背景には、人材不足や予算の制約に加え、「何から始めればよいのか分からない」という課題があると指摘されています。

特にデータ活用に関しては、「自社には使えるデータがない」と思い込んでいるケースも少なくありません。しかし実際には、顧客対応の履歴や業務プロセスの記録など、日常業務の中にこそ活用可能なデータは蓄積されているのです。こうした情報に目を向け、目的に応じて活用していくことが、DXを単なる取り組みで終わらせず、経営成果へとつなげる鍵となります。

国立大学初のデータサイエンス学部として創設された滋賀大学データサイエンス学部。国内のデータサイエンス研究をけん引する滋賀大学で准教授を務める増田氏は、明確な目的意識を持ってデータを収集・整理していけば、規模の大小を問わず、どの企業でも意思決定に役立つ「意味のあるデータ」を見つけることができるのだといいます。

増田純也氏


国立大学法人滋賀大学データサイエンス学部准教授。マーケティング・リサーチ会社での実務経験を経てアカデミアに転身。データ活用によるマーケティング支援(マーケティング・サイエンス)を専門とする。アンケート、購買、位置情報、テキストなど多様なデータ分析に従事してきた。現在は、企業および教育機関に向けたデータ活用教育にも力を注いでいる。

「データがないとおっしゃる企業は多いのですが、目的を定めることでクレームの記録なども立派なデータになりえます」(増田氏)

「データ」と聞くと膨大な数値や高度な統計分析を思い浮かべがちです。しかし現実には、日々の業務の中で蓄積されている顧客からの問い合わせ内容やクレーム、製造工程での不具合記録、営業活動の履歴など、あらゆる情報がデータとして活用できる可能性を秘めています。こうした情報に目を向け、意味づけを行うことこそが、データ活用の第一歩となります。では、どうすればデータを有効活用できるのでしょうか。増田氏は、目的を先に決めることが重要だと話します。

「大切なのは、データを使って何がしたいかという目的を決めることです。目的が決まることで、データは意味あるものになるからです」
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▼ 記事の後半では、こちらについて紹介しています。

☑ データありきで進めた失敗の回避策
☑ データを「宝」に変えるために
☑ 具体的にどう価値あるデータを集めるか

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データありきで進めた失敗


目的からではなく、手元にあるデータを起点にプロジェクトを進めてしまい、結果として経営層が期待する成果に結びつかなかった
という事例も少なくないといいます。

【事例】データありきで進めた失敗ケース
例えば、「この情報を何か役立つデータにしてほしい」という依頼を受け、データ分析の専門家がプロジェクトを担ったケースがありました。DXの重要性が叫ばれる中、何とかデータを活用して変革を進めたいという思いが先行し、「データさえあれば新しい価値が生まれる」と捉えてしまう企業もありますが、こうした「データありき」の発想による取り組みは失敗を招きやすいと指摘します。

「とにかくデータを活用しよう」という目的でスタートしたプロジェクトは、膨大なデータを収集しただけで終わってしまうことが少なくありません。分析のための分析に陥り、具体的な意思決定や業績改善にはつながらないことが多かったといいます。

「データ活用そのものを目的にして動き始めてしまうと、たとえ多くのデータがあっても、データの海に飲まれてしまい、望む成果につながらない可能性が高くなります。また、データありきの話になりがちで、専門家を雇っても、経営層の望む成果物は生まれにくいと思います」(増田氏)

では、データを経営層が望む「宝」に変えるためには何が必要なのでしょうか。

重要なのは、目的を起点にすることです。例えば、「顧客満足度を高めたい」「不良品を減らしたい」といった具体的な目標を設定することで、どのようなデータを集め、どのように分析すべきかが見えてくるからです。

「お客さまのクレームを減らしたいという目的であれば、これまでにどのようなクレームがあったのかを収集し、内容を分析するだけだと不十分です。クレームを減らすためのアクションまで考えることで、お客さまの困りごとや、本当は何を求めているのかが見えてきます」

このように、目的から逆算してデータを捉え直すことが、求める成果につながるのだと説明します。

価値を生むデータの集め方

さらに、クレームデータを集める目的を目先の顧客満足度だけではなく、商品をブラッシュアップさせることや、新製品の開発につなげることもできるといいます。これを目的にする場合は分析の仕方も変わってきます。

「商品のブラッシュアップが目的ならば、使い心地についての情報も有効になります。クレームの中にある使い心地に言及する言葉を拾っていくと、ヒントが見えてくるかもしれません。新商品の開発に向けて情報を活用したいというときは、クレーム情報だけでなく、他の情報も必要になります」

目的がはっきりとしていれば、必要なデータも見えてきます。

「ターゲットとなる人々が、類似品をどこで購入しているのかや、どの価格帯のものが売れているのかといったデータも集めて分析していきます。クレームデータとこれらのデータを組み合わせることで、新商品の価格帯や、どこで営業活動をしていくと優位性が高いかなどを絞り込むことができます」

データ起点で考えると、「このようなクレームが多いので注意しましょう」といった表面的な結論にとどまりがちで、経営層の求めるアクションに至らない結果になってしまいますが、目的が明確であればあるほど、具体的なアクションにつながる分析が可能になるのです。

お宝データはすでに現場の中に存在しています。それを「あるかないか」で判断するのではなく、「何のために使うのか」という視点で見直したとき、埋もれていた情報は初めて価値を持ち始めます。目的から逆算し、必要なデータを見つけ出し、組み合わせていく、これが日常の中に眠る情報を「お宝データ」へと変える鍵なのです。