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本格値上げ開始の今こそ行いたい 客が離れない価格アップ、利益確保7つの方法

2026.07.31
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本格値上げ開始の今こそ行いたい 客が離れない価格アップ、利益確保7つの方法
原材料費や燃料費の高騰などの影響により、もはや値上げは不可避となっています。顧客離れを防ぎつつ価格を引き上げ、利益を確保するための様々な手段をお伝えします。 6月に入り、様々な商品の値上げが行われています。多くの製品の値上げが続いていることから、消費者の間にも「値上げは仕方がない」という風潮が広がりつつあります。昔に比べて、値上げは受け入れられやすくなっていると言えるでしょう。 とはいえ、単純に値段を上げるだけでは消費者が離れてしまうことを恐れている企業も多いはずです。「企業努力で値上げしません」という姿勢を打ち出している企業が注目を集めるなど、「値上げしないこと」が善とされる風潮も依然として存在します。 適切な値上げは、企業経営を存続させるためにも不可欠です。この時代においても、いかにネガティブな印象を与えずに値上げを行うか、また顧客の購買単価をアップさせ、利益を確保するためのテクニックをお伝えします。

執筆者:船井総合研究所 社長online編集部 吉田伸

INDEX


①無料で提供しているものを有償化する


画像提供:PIXTA

【有償化の例】

  • 士業:創業時にサービスで対応していた作業を有料化
  • 自動車:車検時のウォッシャー液補充の有料化
  • ケーキ店:誕生日のろうそくの有料化

いくつかの業界の例を挙げましたが、商品やサービスを提供しているにもかかわらず、慣習のように無償になっているものがあります。

自動車関連企業で言うと、例えば車検の際には洗車やウォッシャー液の補充など、本来ならば対価をいただいて然るべきでありながら、無料で提供しているサービスがいくつかあります。

それを、100円でもいいので有料化します。わずかな金額であっても有料化することが重要です。それにより「これは有料で提供されるものだ」と社員の意識が変わります。コスト意識が非常に高くなり、小さなところからもしっかりと利益を出そうという姿勢に変化するのです。

②工賃(技術料)を段階的に引き上げる


画像提供:PIXTA

デフレ期の人的サービスには、「10分1,000円」というような見積り勘定がありました。キリの良さから長きにわたってこのような料金設定が続いてきましたが、今やそのサービスが始まった頃よりも物価が上昇しています。

採算が成り立たないにもかかわらず料金が昔から変わらないことが、小売業やサービス業の収益構造を苦しめているのも事実です。ここは思い切って適切な価格にする、それこそ1万円以上にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

そもそも値上げには「原価が上がったから」という後ろ向きな理由のものもあれば、「原価や社会情勢に関係なく、収益性を向上させるために値段を上げるべきだ」という前向きでプラスなものも存在します。

今回の価格改定は必要に迫られてのことかもしれませんが、将来的に適正な価格まで引き上げていく計画を立てることが、経営的にプラスとなるケースもよくあります。

そのように計画的に値上げを行っていけるならば、打てる手立ては変わってきます。急激な工賃アップは顧客離れや社員へのプレッシャーを生じさせるケースもありますが、値上げをすると決めた時点で「5年後には工賃1万円にチャレンジする。そのために今回は500円アップしよう」というような、段階的な施策が重要になってきます。

また、競合企業の同等商品の価格を調べ、価格を調整することも、特にサービス業では有効です。その際、付帯商品の価格引き上げを優先して確認・検討することが重要になります。

お客様の入り口となる基本料金は競争力のある価格設定にし、付帯サービスの価格調整によって集客力を保ちながら単価を上げます。例えば車検であれば、車検の基本料は戦略によってあえて安価に設定し、追加で獲得するオイル交換などの付帯サービス商品の価格引き上げを検討するのです。

先の車検に関する買上率の調査では、お客様の状況を勘案した提案の50%は高単価な提案であっても購入していただけるというデータもあります。

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▼ 記事の後半では、こちらについて紹介しています。

☑ 工数に応じた価格の適正化の手法
☑ セット販売や高い付加価値をつけることによる利益拡大
☑ 粗利MIXや「お一人様2個まで」を活用した実践的アプローチ

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③工数に応じて価格の適正化をする


上記の表は、ある士業事務所の顧問先別の1時間あたりの単価を算出したものです。

スペースの都合で見えませんが、縦軸には顧問先名が入っており、顧問先ごとに1ヶ月で何時間稼働したかを入力し、支払われている顧問料を稼働時間で割ることで1時間あたりの単価を算出しています。

このように算出すると、顧問先によって時間あたりの単価に大きな差が生じていることが分かります。顧問料を一律にするのではなく、工数に応じてきちんと適正な報酬を受け取る契約に見直すことで、収益を高めることができます。

④セットで売る


画像提供:PIXTA

Aという商品をそのまま値上げするのでは「高くなった」という印象を与えるだけですから、そもそもの商品構成を変えます。Aにほかの商品も合わせて、全体としての価格を引き上げるようにします。

例えば、これまではラーメンだけを800円で売っていたものを、ラーメンとギョーザのセットにして1,400円にするような形です。ケーキとコーヒーのセットなども同様です。

値上げでマイナスな印象を与えるのは「以前に比べて高い」と感じられるからであり、以前とはまったく別の商品という扱いにすれば、そのイメージを払拭できます。

セットにすることで、単品でそれぞれを購入するよりも少しお得な価格にして販売し、消費者へのメリットを出します。セット商品は、売りやすい商品や粗利額が大きい商品で構成することが望ましいです。

セット売りの派生として、パッケージ商品売りも非常に有効です。

【ケーススタディ:自動車販売店のパッケージ売り】


自動車販売店の追加商品のパッケージ売りの一例です。それぞれの商品の粗利額は左から2番目に記載されていますが、車の購入に伴う購入率は商品によりそれぞれ異なるため、購入率から計算する購入粗利額を算出すると合計で4.9万円になります。

この商品類を個別ではなく、1つのパッケージにして販売します。それぞれの商品合計18万円をパッケージ化することで値引きし、16万円で販売したとします。

その場合、粗利額は6万円となり、粗利6万円 − 4.9万円 = 平均1.1万円の粗利単価アップにつながります。

購入率が高くなく粗利額が大きい商品と、必ず売れる人気商品を組み合わせでパッケージ化すると、収益性を大きく高めることができます。

⑤高い付加価値をつける


画像提供:PIXTA

餃子の王将は、2014年に商品の値上げをした際に「中国産食品に対する消費者の不信感の高まりにより、中国産の食材や加工品を、国産または中国以外の海外産食材等に切り替える動きが顕著」であることを理由に挙げています。

つまり、「食材を中国産から国産へ変更することに伴い価格を改定する」という方針の提示です。値上げの際には原材料費の高騰にも同社は触れていますが、単にコスト高を理由にするよりも、顧客側の納得感は大幅に高まります。

【事例:社労士の商品戦略】


この図表は社労士の商品戦略を説明したものです。従来の社労士業務の手続き代行モデルでは、競争力も低く、単価も高くありません。

そこで、ハラスメント防止や労働時間見直しなどの労務コンサルティングといった付加価値が高いサービスへのシフトや、助成金・補助金申請といった高単価収入になり得るサービスの導入を推進します。

⑥粗利MIX

粗利MIXとは、①集客用の商品:粗利額の低い、魅力的な価格設定 と②収益用の商品:粗利額が高く、購買率の高い商品 の組み合わせによってトータルの収益を高めていく手法です。

【粗利MIXの例】

  • 居酒屋:ハイボール&サワー、ビール と 鶏の炭火焼き
  • 焼肉店:カルビ、タン、ロース と ドリンク
  • 回転寿司:マグロ と 汁物、デザート、ラーメン系

【事例:居酒屋の粗利MIX】

かつて、客単価3,500円ほどで際立った特徴のない居酒屋がありました。特徴がないため、価格競争力のある安価なチェーン居酒屋にお客を取られてしまっていたのです。

そこで、ハイボールやサワーは99円、ビールは199円と原価に近い金額を設定し、集客商品としました。一方で、設備が整っていたこともあり、鶏の炭火焼きを880円で販売して収益商品としました。

鶏肉自体は仕入れ原価が安く、設備があればおいしく焼き上げられるため、粗利額が高くても来店客の8割が注文する目玉商品になりました。客単価は2,000円強に下がりましたが、ドリンクが安く鶏肉がおいしいと評判になり、客数が2倍近くに増えて結果的に収益を高めることができたのです。

このように集客商品と収益商品を作り、組み合わせて利益を確保することを粗利MIXと言います。

⑦「お一人様2個まで」


画像提供:PIXTA

小売店やECサイトなどで有効な手法です。あえて「購入はお一人様2個まで」と記載することで、「多くの人が2個買っているのではないか」「次は買えないかもしれない」といった心理が働き、1人あたりの購入数が1個から2個へ増加しやすくなります。希少性を効果的に訴求することができるのです。

様々な値上げ策や、組み合わせによって利益を確保する方法をお伝えしてまいりました。

今はコストの増加に伴う値上げを検討しなければならない局面ですが、これからの時代は「コスト削減による、絞り出す利益」から、「価値を高めて適正な価格で販売する、溢れ出す利益」に向けて取り組むことが重要になってきます。

値上げを検討することは、事業構造を見直す絶好の機会です。価格設定については定期的に見直していきましょう。