下位5%に関わる仕事は今すぐやめなさい。時間を30%増やす業務改善術
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2026.07.20
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- 毎日遅くまで働いているのに、なぜか利益が残らない。 雑然と忙しいものの「何が忙しい?」と問われると、パッと答えが浮かばない。 そんな悩みがあれば、今回ご紹介する「業務改善の視点」を、自分の仕事時間に当てはめてみてください。使える時間を、30%増やせる可能性があります。
解説:株式会社船井総研サプライチェーンコンサルティング 執行役員 中野好純
INDEX
下位5%の商品に関わる仕事をなくすと、使える時間が30%増える
船井総研サプライチェーンコンサルティング 執行役員の中野好純は、「不人気商品の下位5%に、30%の業務時間を費やしている」と言います。
自社の商品を、売上順に並べてみてください。売上もしくは利益の上位80%を占める商品は「Aランク」です。大量生産が可能で、広告を打てば自然と伸びていきます。
一方で、下位5%に該当する「Cランク」の商品は、少量生産で製造・管理・販売すべてに手間がかかります。ロットが少ないため効率化も進みません。その結果、業務時間の30%を費やすことになります。
下位5%の商品を思い切ってなくしたとしても、95%の売上は残ります。しかも、下位5%の維持にかかっていたリソースでA・Bランクの商品を改良すれば、結果的に売上の維持・拡大につながるのです。
「Cランク業務」に奪われた時間を取り戻す術
この考え方を経営者自身にも当てはめてみると、仕事の「下位5%」に関わる用事を無くせば、時間の30%が増え、より付加価値の高い業務(A・Bランクの仕事)に集中できます。
まず、使った時間を書き出す
まずは、ご自身が日々どう動いているか、客観的に見ていきます。
元ゴールドマン・サックス証券の田中渓氏は、以前の取材で次のように話していました。
「20兆円の資産を持つウォーレン・バフェットとあなたの人生を交換したいですか、と聞くと、大半の人が『したい』と手を挙げます。でも、そこに『年齢は89歳になってしまいます』という情報を加えると、ほとんどの人が手を下ろします。
つまり、多くの人にとって、これから健康でいられる30年、40年という時間は、20兆円と引き換えにできないほど価値があるということです。
まずやるべきステップは、1週間単位でいいので、自分の時間の使い方を記録してみることです。仕事をした時間はもちろん、SNSを見た時間、入浴時間、読書のひととき、家族と過ごした時間、なんとなくコンビニで過ごしてしまった時間など、24時間を細かく記録するのです。
そうすると、円グラフのようなものができあがり、自分が思っていた時間の使い方と現実とのギャップが可視化されます。まずは、この棚卸しをすることがすべてのスタートとなります。」
(「億の壁」を突破する経営者の共通点〜元ゴールドマン・サックスが分析 より ※閲覧には有料版社長onlineのご購読が必要です)
スマホの位置情報の履歴を残してくれるアプリや、PCを使用中に使ったウェブサイトをカテゴライズしてくれるサービスなど、自分の時間を可視化できるツールの活用がおすすめです。
▼ 記事の後半では、こちらについて紹介しています。
☑ 時間を30%増やすためのフレームワークとは
☑「下位5%」仕事の具体的な改善案
☑ 無駄と付加価値の違いを見極める
時間を30%増やすための視点とは
時間を整理し、下位5%の仕事をあぶりだしたら、時間の使い方を見直していきましょう。
- 対面で行う必要のない会議の準備や移動
- 電話番、営業電話への対応
- 資料や書籍、備品などの探し物
など、案外「Cランク」の用事と、それに付随するタスクがあるものです。
Cランクの仕事に関連する用件を見直す際には、「ECRS」と「イマドキフキソカチ」というフレームワークが役に立ちます。
ECRS
「ECRS」は、製造業や物流の最前線で良く用いられる業務改善のフレームワークです。

- E - Eliminate (排除):そもそもその業務や作業自体をなくせないか検討する。
- C - Combine (結合と分離):別の業務と一緒(または個別)にできないか検討する。
- R - Rearrange (入替えと代替):業務の順序や担当者を変えられないか検討する。
- S - Simplify (簡素化):もっと簡単にできないか検討する。
「イマドキフキソカチ」
「イマドキフキソカチ」は、今回の特集第1回でご紹介した、トヨタ自動車のティア1サプライヤー・旭鉄工(愛知県碧南市)が独自に取り入れている視点です。

- イ - 要るの?:無駄な作業や設備を削減し、本当に必要なものだけに絞る
- マ - 待ちをなくす:作業の待ち時間で「なぜ待っているか」を究明し、無駄をなくす
- ド - 同時に行う:複数の作業を同時並行で実施し、時間短縮を図る
- キ - 距離を短く:作業者や物の移動距離を最小化し、無駄な動きを排除する
- フ - 付帯作業をなくす:本来の作業に付随する無駄な作業や手間を削減する
- キ - 気遣いをなくす:気を遣う状況において、気遣い自体を不要にする
- ソ - 速度を速く:設備や作業のスピードを向上させ、リードタイムを短縮する
- カ - 管理をする:設備や作業の設定を見直し、継続的に効率化する
- チ - チョコ停をなくす:短時間の停止(ちょこっと停止)を排除する
これらのフレームワークを用いて考えた際、例えば次のような「下位5%」仕事の改善案が浮かんできます。
- 慣習的にダラダラと続いている目的不明な会議を廃止・短縮する
- 打ち合わせ場所を会社の会議室から「オンライン」に変え、移動時間をなくし、議事録作成をAIに任せる
- オンライン会議は常に同じZoom URLで実施し、全社員が迷わないようにする
- 代表電話の受付を代行業者に依頼する
- 営業電話や問い合わせはウェブフォームやチャットボットに誘導する
- よく連絡する取引先とのやり取りはメール・電話からLINEやSlackに切り替える
- 社長室のドアを常時開放し、社員がノックや開閉する手間(気遣い)をなくす
- 社用携帯を「置くだけ充電」対応にし、ケーブルの抜き差しや絡まりをほどく時間をなくす
- 社内ウォーターサーバーの替えのタンクは、サーバーのすぐ隣に置く
これらに関連する用事をなくし、「やり方を変える」アプローチを即座に導入してみてください。タスクが減り、その浮いた時間ぶんを「緊急ではないが、重要な領域」に集中できます。
フレームワークのご利用は計画的に

ここで注意点が1つあります。ECRSやイマドキフキソカチの視点は、「裏方」の業務にフォーカスして適用すべきだということです。
【ケーススタディ】自動車業界の例
製造現場では、ロボットによる省人化・無人化が進みます。
一方、ディーラーは、依然として非効率です。買うかわからないお客にスーツを着た営業マンがみっちりと接客し、コーヒーまで出します。
ただし、これを「利益にならない」と切り捨てるのは早計です。一見無駄に思えるホスピタリティが「価値」に直結するからです。
分かりやすい例がテスラです。
日本市場において、オンライン注文のみに依存していた2024年まで、年間販売台数は5,000台前後で推移していました。しかし方針を転換し、実店舗での試乗や対面接客を重視するようになってから徐々に売り上げが拡大。2025年には日本国内で初めて年間1万台を突破しました。
(出典:日本経済新聞「テスラ、接客重視の日本市場では快走 25年新車販売が初の1万台超え」)
こうした接客のほかにも、就活合同説明会への参加、商工会議所での登壇、クレーム対応、社員旅行などは一見すると、利益を生まない「無駄」に見えます。
しかし、会社の将来への投資となる採用強化、ブランディング、離職防止など、間接的に利益を生む時間であるはずです。効率化はあくまで「まったく付加価値を生まない」作業に当てはめるべきです。
本質を見失わない形で視点を与えてくれるのが、今回ご紹介した「ECRS」や「イマドキフキソカチ」です。下位5%の商品・用件のための業務は今日やめて、同じ時間で30%分の付加価値を生み出してみましょう。
【参考文献】付加価値ファースト 〜常識を壊す旭鉄工の経営〜 木村哲也 著
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