コンテンツに進む

住宅のTOPコンサルに聞く「社長の自宅の賢い建築タイミング」

2026.07.25
Email X Facebook Line
住宅のTOPコンサルに聞く「社長の自宅の賢い建築タイミング」
今回は「社長の自宅」というニッチなテーマについて解説していきます。住宅のプロである新築住宅会社の社長をコンサルティングする前田和治氏に、社長の自宅における建築傾向や適切な建築タイミングについて伺いました。

解説:船井総合研究所 前田和治

INDEX

住宅コンサルティングに携わるなかで、私は数多くの経営者と接してきました。その中には、新築住宅をメイン事業とされているクライアントで、自ら自宅を新築した社長も少なくありません。これまでに訪問した社長宅は5軒。いずれも新築注文住宅で、展示場に並ぶモデルハウスのような大規模な住宅ばかりでした。

一般的な4人家族の家は30~35坪ほどが平均ですが、社長宅は50坪を超えるケースが多く、最小でも42~43坪はありました。規模が大きいことには理由があります。住宅に関する知識やこだわりを持つ社長が「やりたいことを詰め込んだ」結果、自然と大きくなっていくのです。さらに二代目・三代目となると広大な土地を所有していることが多く、「この広さに小さな家では格好がつかない」という心理も働きます。

こうして建てられた社長宅には、それぞれの経営哲学や事業モデルが色濃く反映されています。


(AI生成画像)

そもそも新築は3カテゴリーに分かれる

住宅会社と一口に言っても、その強みやルーツは大きく異なります。大まかに3つのカテゴリーに分け、建築する住宅の傾向について解説します。

高性能住宅系

【事例】性能を突き詰める社長宅
職人や現場監督出身の社長に多いタイプです。断熱性や気密性、パッシブ設計など、性能に徹底的にこだわります。ある社長は「冬に外気が0℃でも、自宅のトイレは20℃を保てる」と自邸を実験場にして性能を証明していました。自宅を研究開発の拠点とし、快適さを数値で示す姿勢は、まさに技術者らしいものと言えます。

デザイン住宅系

設計士や建築士出身の社長にこのパターンが多く、空間デザインや間取りに独自性が表れます。間接照明の配置や生活動線の工夫、将来的に間仕切りを変更できる「可変性のある間取り」など、ライフスタイルを意識した工夫が特徴です。外観や内装にも高級感があり、見た目の第一印象で「この会社ならおしゃれな家を建てられる」と感じさせる力があります。

ローコスト住宅系

営業出身の社長に多いのがこのタイプです。販売しやすさを武器に、低価格で住宅を供給します。先ほど挙げた2つのタイプとは異なり、自社商品とは対極にあるような最も豪邸を建てているのが、このローコスト系の社長でした。彼らはローコスト住宅という手軽さを提供する一方で、成功の証として鉄骨造の大邸宅を建てるケースが多いのです。高級仕様のガレージやシアタールームが設けられるなど、不動産業界出身者に近い気質と言えるでしょう。


社長によっては自宅にサウナ機能を設置する場合もあります。仕事で疲れた体を自分専用のサウナで即座にリセットできるのは、最高の体験と言えるでしょう。

ここから先は無料会員限定です

▼ 記事の後半では、こちらについて紹介しています。

☑ 自社の強みを活かした社長宅の実例
☑ 経営者が陥る「身の丈に合わない建築」の罠
☑ 新築のベストタイミング

【電話番号不要・約10秒】

無料会員登録後に

全文をお読みいただけます

無料プランの登録はこちらをクリック

登録済の方はをクリック

自社の強みを活かした社長宅とは

ある高性能住宅系の社長は、断熱性能の実証実験を自邸で行い、「自ら住んでいるからこそ説得力がある」と語っていました。それ以外にも、質実剛健な造りや、軒の長さ・使い勝手を確かめる建築実験の場として自宅を建設しています。その結果、自らの成功体験や改善点を顧客に語れるようになり、社長や営業担当者にとって大きな武器となっています。

一方、デザイン住宅系の社長は、来客用の客間や、社員・顧客を招いて懇親できる広々としたリビングを備えていました。空間の使い方そのものがブランディングにつながり、「このような暮らしができるのか」と顧客に未来像を提示する役割を果たしているのです。

いずれの事例からも分かるのは、社長宅は単なる居住スペースを超え、事業の象徴であり、顧客へのプレゼンテーションそのものだという点です。しかし、社長宅に唯一の「正解」はありません。大豪邸であってもシンプルな住まいであっても、その人の経営哲学や事業規模、家族構成に合っていれば良いのです。

むしろ重要なのは「身の丈に合った建築」を行うことです。税務上の申告で役員報酬を低く設定している経営者が、背伸びをして豪邸を建てようとすれば、融資やキャッシュフローの面で無理が生じるという罠には注意が必要です。逆に堅実に計画すれば、住宅そのものが会社の信頼性を高め、社員や顧客に安心感を与える存在となります。

【事例】節税と有効活用のケーススタディ
一度建てた家を売却して次の自邸を建てる社長も少なくありません。社員に貸し出すケースもあり、「元・社長宅」が社内で有効活用されることもあります。さらに、モデルルームとして提供した拠点を減価償却後に社長宅として使用するという、新築を取り扱う事業者だからこそ可能な節税テクニックも存在します。

住宅は固定資産であると同時に、事業やライフステージに合わせて柔軟に活用できる資産です。その事実を理解し、適切な選択ができる社長は強いと言えます。

新築のベストタイミングは?

最後に、住宅を専門にコンサルティングを行っている私のもとには、度々「家をいつ建てるのがベストか」という相談が寄せられます。

その質問を住宅会社の社長に投げかけると、彼らは口を揃えて「新築のベストタイミングは常に今だ」と断言します。「これは単に家を売りたいから言っているわけではなく、その理由は明快です。建築資材の価格は下がらず高騰傾向にあり、金利も今後上昇する可能性が極めて高いためです」

つまり、「安くなるまで待つ」という姿勢は、「結局安くならずに機会損失(銭失い)を招く」ことを意味します。

「建てるなら今」という考え方は、住宅会社の社長であれば誰もが理解している現実です。もちろん、どれほどの規模や仕様にするかは会社や個人の状況によります。しかし少なくとも、近々建てたいと考えているのであれば、決定を先送りする分だけコストが上昇してしまいます。

実際、住宅会社の経営者で新築の戸建てに住んでいない人はほとんどいません。顧客に提案する立場である以上、自らが新築戸建てに住んでいる事実が信頼につながるからです。また、営業担当者が「自分も建てました」と実体験を語れるかどうかは、成約率に直結します。

社長宅は単なる居住空間ではなく、事業の理念や成功を映し出す鏡です。高性能を誇る家も、デザイン性に優れた家も、豪奢な邸宅も、それぞれに社長の生き方や経営姿勢が込められています。そしてそれらは、顧客への説得力や社員からの信頼醸成に直結しているのです。

結論として言えるのは、「建てるなら迷わず今すぐ行動する」ということです。これ以上コストが下がる見込みは薄く、待つ理由もありません。社長宅に唯一の正解はありませんが、身の丈に合った住まいをいち早く手に入れることこそ、経営者にとって最善の選択と言えるでしょう。