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競合他社の「3倍」利益を出す社長が実践する時流適応のテクニックとは

2026.09.05
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競合他社の「3倍」利益を出す社長が実践する時流適応のテクニックとは
今回は、船井総合研究所で約20年にわたりパチンコ業界の経営をサポートしてきたベテランのコンサルタント、徳村英志の視点から、同業に比べ3倍の利益を出し、成長を続ける2社の事例を紐解きます。成熟産業と言われる市場において、奮闘されている経営者の皆様、必読です。


INDEX

解説:船井総合研究所 徳村英志

今回ご紹介する、とある2つの会社は、いずれも西日本で1店舗のパチンコ店を経営しています。通常のパチンコ店であれば、1店舗当たりの月間営業利益は300万〜700万円程度が相場ですが、この2社はコンスタントに1,000万円近い利益を残し、成長し続けています。なぜ、これほどの差が生まれるのでしょうか。今回はそれぞれをA社、B社とし、その経営に迫ります。

はじめに…パチンコ業界の収益構造と現状


本題に入る前に、業界の収益構造を整理しておきましょう。すでにご存じの方は次の章まで読み飛ばしていただき問題ありません。

全国平均規模とされるパチンコ設置台数600台の店舗の場合、月間の「売上(貸玉料)」は2億円から3億円に上ります。

しかし、パチンコでは売上の約85%が景品や出玉としてお客様に還元され、残った15%が粗利にあたります。

ここから、パチンコ台の購入代、人件費、光熱費、販促費などを差し引きます。一般的に、機械代に粗利の約30%、人件費に約20%が費やされ、最終的に手元に残る営業利益は粗利の10%〜15%となるのが業界の標準です。

平均的な店舗の月間営業利益は、300万〜700万円程度となります。

しかし、今回ご紹介する2社の場合、月間営業利益が約1,000万円、業界平均と比べて約1.5倍〜3倍の高収益を誇ります。

利益「3倍」を実現する社長のテクニック

両社に共通しているのは、市場の一手先を読み、機械代を抑え、販促を最適化しているという点です。それを実現するために、カリスマ依存を脱却し、組織経営へと転換しています。具体的に見ていきましょう。

①大手・取引先との情報交換で市況を読む

利益3倍を実現する最大のポイントは、ここにあります。

両社の社長とも、業界の情報収集に非常に熱心です。船井総研の研究会(経営者が集まる勉強会)に毎回出席し、同業他社とのコミュニケーションを密にとっています。

研究会には業界の大手企業も多く参加しており、大手企業の考え方や購入動向、判断軸といった情報に触れています。その上で、「業界大手がこちらに力を入れるなら、我々はあちらだ」といった経営判断を下しています。

この情報力が、コスト削減に直結します。パチンコ業界では中古市場が発達しているため、時流が読めていれば「大手が欲しがりそうなパチンコ台を早めに仕入れておき、中古で高く売ろう」という、投資的な判断が可能になります。

通常店舗の場合、粗利の30%をパチンコ台の仕入れに費やしますが、B社の場合はこの割合を20%に抑えているのです。

また、A社・B社ともにウェブマーケティングを徹底しています。大手が一番良い商品をプロモーションするのに対し、あえて2番目や3番目の商品をメインに押し出すなど、訴求ポイントを他社と差別化しています。

こうした棲み分けは、競合の動向を知っているからこそ可能になるのです。

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▼ 記事の後半では、こちらについて紹介しています。

☑ 個人の勘から「組織経営」への転換
☑ 利益を守る「2つのケッサイ」の管理
☑ いい時代を知らない世代だからこその柔軟な経営

②個人の勘から「組織経営」への転換

市況を読むには、情報収集のための時間を捻出する必要があり、経営者一人のリソースでは限界があります。そこで両社の社長が取り組むのは、幹部をはじめとする組織内の人材を育て、「組織経営」へと舵を切ることです。

この組織経営のメリットは2つあります。

①店舗運営を任せられ、学ぶ時間を生み出せる

かつてのパチンコ業界は、1人の優秀なスタッフがいれば繁盛店が作れる時代でした。良い機種を導入し、パチンコ台のいわゆる「メンテナンス」やスロット台の「設定」が適切に行えれば、集客ができていたのです。

しかし、市場が成熟し、高度なウェブマーケティングや複雑な計数管理が求められる現代において、個人の経験に頼る経営は通用しなくなってきています。

B社では、社長の右腕となる人材を育て、「営業部長」へ抜擢しています。この営業部長は、業界大手に行ってもおそらく通用するほどの、高精度な将来予測力やKPIを追う能力、情報力がズバ抜けて優れている方です。営業部長が仕入れや数値管理を担うことで、社長には学ぶ時間が生まれます。

②コングロマリット化が視野に入る

【事例:A社におけるコングロマリット化の成功】

A社では、本業のパチンコ事業に加え、店舗の隣にカフェをオープンしました。事業再構築補助金を活用して大手カフェチェーンのFCに加盟したのです。

チェーン本部にとって未出店のエリアだったこともあり、開店まもなく周辺住民に支持されるようになった結果、チェーン内でもトップクラスの売上を記録しています。

カフェ出店の背景には、地方のパチンコ店ならではの広い駐車場を活かせること、社長を含む社員数名に飲食業の経験があったこと、そして以前から人材育成とチームビルディングに注力していた土壌がありました。その接客力の高さは、FC本部主催のコンテストで上位に入賞するほどです。

「新規事業をやりたいが任せられる人がいない」と悩む経営者は多いのではないでしょうか。社内で優秀な人材が育てば、こうした新規事業の責任者を任せることが容易になり、コングロマリット化による事業のリスク分散が可能になるのです。

③「ケッサイ」の管理

組織経営において社長の最も大事な仕事は「決断」です。安定した利益を出し続けるためには、社長の判断力が欠かせません。

特にパチンコ業界に関して言えば、約20年前に1台あたり30万~40万円程度だったパチンコ台の価格が60万円程度へと倍増しており、遊技人口も減り、経営が非常に厳しくなりました。

その厳しい環境で安定経営する鍵となるのが、「決裁」と「決済」の2つの「ケッサイ」です。

  • 決裁:事業の方向性を決定し、承認する権限。
  • 決済:お金に関する決定を承認する権限。

経営者が決裁&決済に深く関わらない、あるいは中途半端に現場に任せ、お金だけを見て判断しようとすると、大きな損失を被るリスクがあります。

パチンコ業界では特有の商習慣があるため、特に顕著です。メーカーが市場に投入する新作のパチンコ台は毎月10機種近く。大ヒット確実なパチンコ台もあれば、そうでないものもあります。

こうした人気機種を販売する際、メーカー側は「今回の機種は、直近の3機種を購入して頂いていた企業様に優先案内します」といった提示をすることもあります。

こうした提案が来た際、現場に権限がない店舗ではチャンスを逃し、年間で数千万円から億単位の機会損失を招くことになります。最終責任を負う経営者自身が、機動的に「決裁」と「決済」を行うことが不可欠なのです。

いい時代を知らない世代だからこその柔軟な経営を

両社の経営者が、先代や他社のベテラン経営者と大きく異なる点は、業界の「いい時代」を長く知っているわけではないということです。

パチンコ・パチスロの市場規模のピークは2005年の約34兆8,620億円。そこから20年で、約16兆2,000億円まで半減しました(日本生産性本部余暇創研「レジャー白書」)。

右肩下がりの厳しい環境で、過去の成功体験に縛られずに経営を成功させる土台は、他社とコミュニケーションし、得た情報を自社に落とし込む「素直に学ぶチカラ」です。

パチンコ業界に限った話ではありません。成熟産業・斜陽産業で戦うすべての経営者に、変革を恐れず学び続ける姿勢を徹底することが求められていると言えるのではないでしょうか。