社長のお金と会社を守り抜く!失敗しない財務計画策定の4ポイント
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2026.07.23
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- 重要な「社長のお金に対する考え方」についても見ていきましょう。中小企業のオーナー社長の場合、会社のお金に関する事項には社長個人の考えが強く反映されるため、特に重要となります。
解説:船井総合研究所 吉田伸
INDEX
会社のお金=社長のお金
一から会社を立ち上げ、成長させてきた社長は、創業から一定期間までは「もっと稼ぐ」「稼いで豪快に使い、また稼ぐ」ことをモチベーションにしているケースが多いです。「人より稼ぎたい」「豊かな暮らしをしたい」といった望みが原動力だからです。
その後会社が大きくなり、業種にもよりますが実質的な年収が5,000万円を超えたあたりになると、お金そのものへの執着が薄れる社長が多いとされています。年収が一定額に到達した後は、いくら稼ぐかよりも「良い会社を目指す」ことに注力するようになります。
また、会社が10倍の規模へ成長しても、自身の年収を変更しない社長も存在します。節税などを考慮しつつも、それ以上に年収を上げる必要性を感じなくなるためです。
中小企業の場合、会社と社長は実質的に一体化しています。会社の借入金に対しては社長が個人保証や担保提供をしているケースが多く、実態としては社長本人が借り入れている状態と変わりません。
会社の資産として保有する社用車を、実態として社長が私的に使用しているケースも多いです。この点について社員から「会社のお金で良い車なんかに乗って……」と不満を漏らされることもありますが、その社用車の購入費用も社長が個人保証する借入金から拠出されている場合があり、間接的には社長自身のお金で購入しているのと同義といえます。
さらに、勤務実態があまりない社長の親族が役員報酬を受け取っている点も、社員に知られれば反感を買う可能性があります。しかし、これも社長が会社のために個人保証を負っている以上、万が一の際には個人の財産をすべて投げ出さざるを得ないため、社長一族として資産を蓄えておく必要性があるのです。
会社のお金の流れは、社長のお金に対する考えを反映する
経営者(社長)が検討すべき重要事項として、「会社で生じた利益をどこに蓄えるか」という点が挙げられます。リスク回避や税務など総合的な視点から、毎期の決算で手元に残る実質的なキャッシュをどこへ「貯めるべきか」を判断しなければなりません。この判断を巧みに行っている経営者と、そうでない経営者がいるのが実情です。
- 自身の報酬(役員報酬)として受け取るのか
- 役員や社員として記載している親族の報酬とするのか
- 会社の利益剰余金として積み上げるのか(=現預金としての蓄積)
- 保険料として計上し、将来の備えやリスクヘッジとするのか
- 将来に向けた事業投資として活用するのか
- 本業とは直接関係しないが、利回りを求めた投資に回すのか
- 株主への配当に充てるのか
など、選択肢は多岐にわたります。これらの選択を、中長期的な視点かつ毎期発生したキャッシュの額に応じて判断していく必要があります。
▼ 記事の後半では、こちらについて紹介しています。
☑ 決算書から読み解く社長の考え方
☑ いざというときのための「社長個人のお金を貸す」に備える
☑ 「お金の中長期計画」で考えたいポイント4つ
「決算書を見れば、その会社の社長の考えや目指す方向性がわかる」と言うと大げさに聞こえるかもしれませんが、実際にある程度は推察できます。どこへ使うのが正解で、どこが不正解という基準はありません。どのような選択をしようとも「会社=社長」であり、社長が背負うリスクに変わりはないからです。
違いが生じるポイントとして挙げられるのが「税金面」です。「手元にお金を残す」観点からは節税も無視できないため、会社や個人の最適化を多少犠牲にしてでも、節税を最優先に検討しなければならない場面もあるでしょう。
また、「誰に決算書を開示するのか」によっても方針は異なります。資金調達を行っている、または今後行う予定の金融機関へのアピールを重視するなら、会社内に利益が残る構造にしておくのが望ましいです。
一方、税務署への提出を意識する場合は、それに相応しい適正な処理を行う必要があります。意図的・恣意的な操作は厳禁ですが、最終的にリスクを背負うのは社長自身であるため、最終的には社長の意思決定を優先すべきといえます。
いざというときのための「社長個人のお金を貸す」に備える

会社をM&Aで売却する際、「社長個人の資産額」も確認されます。これは会社自体の資金だけでなく、オーナー社長個人の資産状態も売却交渉における重要な要素と見なされているためです。
さらに、「社長個人のお金を会社に貸し付ける(役員借入金)」という対応も、会社経営の現場では頻繁に行われています。
どうしても必要な支払いがあるにもかかわらず会社に資金がない場合、社長が立て替えて貸し付け、退職時に退職金と相殺する形で回収したり、万が一の際には債権を放棄したりします。会社を破綻させるリスクに比べれば、はるかに賢明な選択肢であることは言うまでもありません。
事業を後継者に承継したとしても、オーナー社長が「すべての負担を手放せたので、これで安心だ」と胸をなでおろすわけにはいきません。息子や娘、あるいは他の親族が株式100%を引き継いで承継したとしても、創業者の個人保証(経営者保証)が解除されないケースが大半だからです。
多くの会社では、これまでの歴史のなかで借入規模が拡大しており、新社長個人の保証許容量を超えてしまうため、前社長の個人保証が継続して残ることになります。
このように個人保証が残り続ける以上、万が一の事態に備えて、社長個人で相応の資金を手元に確保しておかなければなりません。
このほか、子どもが後を継がずに別の事業を立ち上げた際、その新会社が融資を受ける条件が厳しいと、金融機関から「お父様からの資金援助は受けられませんか?」と打診されるケースもあります。実際に援助するかどうかは別問題としても、社長には手元に保持しておくべき資金が多額に必要となるのが実情です。
「お金の中長期計画」で考えたいポイント4つ

中長期経営計画を策定する企業は多く存在しますが、実際にはそれに合わせて「お金の中長期計画(会社版および社長個人版)」を作成する必要があります。具体的に検討すべきポイントは以下の4点です。
①中長期的にB/S(貸借対照表)をどのように構築していくか
中小企業の多くは、中長期計画の策定においてP/L(損益計算書)を作り込む一方で、B/S(貸借対照表)を軽視しがちです。しかし、第三者が企業価値を評価する際はB/Sの重要性が非常に高くなるため、B/Sの観点も欠かせません。そのなかで、
- 現預金をどの程度確保しておくべきか
- 純資産の安全圏はどの水準か、またそれを増やすための利益剰余金をどう積み上げていくか
という点が重要なポイントとなります。
②どのように投資を進めていくか
「投資が必要なタイミングで金融機関から借り入れればよい」と考える経営者も多いですが、融資には担保が必要となるほか、自己資金の出資を求められるケースも多いです。また、本業への事業投資は計画を立てやすいですが、非事業投資は将来の利回りを狙う性質上、より慎重な判断が求められます。
経営の現場では「今期は利益が出たので節税目的で航空機リースに資金を投入した」といった事例を耳にすることがあります。これ自体は法人・個人問わず否定されるものではありませんが、一時的に多額の資金が流出するため、計画的に実行する必要があります。
③上記を踏まえ「個人としての」利益をどう分配していくか
社員へ提示する中長期計画には記載しにくいため、経営者自身の非公開計画として「自身の役員報酬」「自身を含めた株主配当」「親族役員・社員の報酬」「将来への積立保険料」など、利益の分配方針を厳密に検討しておく必要があります。
④相続対策・事業承継対策も視野に入れる
将来的に相続を控えている場合は、相続時における自社株の評価額(企業価値)を考慮した「お金の中長期計画」の策定が不可欠です。自社株を承継させる際に過大な税負担が発生しないよう事前に対策を講じる必要があり、IPO(株式上場)を目指すのであれば、安定的な収益構造と健全な資金の流れを作り出すことが求められます。「誰に事業を引き継ぐか」によって、講ずべき対策や手法は大きく変化します。
結論として、中小企業の多くはオーナー経営者が実質的にほぼすべての意思決定権を握っているため、「将来、会社や自身がどうありたいか」というビジョンから逆算して、お金の管理や計画を考えていく必要があります。
※本記事で述べている税金に関する内容は一般的な事例に基づくものであり、実際の税額計算や節税対策については、必ず税理士などの専門家にご相談ください。
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