社員1名で億を売れる。『第2本業』にしたい3つの新事業
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2026.04.27
売上停滞。人手不足。コスト削減はもう限界。こうした状況を打開するために必要なのは、本業を補い、さらなる成長を遂げる「第二本業」の創出です。
そこで今回は、船井総研が厳選した新規事業を3つご紹介するとともに、新規参入時に使える「6つの評価軸」をご紹介します。第二の収益源、そしてコングロマリット化を目指すステップとして、ぜひご活用ください。
INDEX
①兼任営業1人ではじめる倉庫・ガレージ営業
個人向けバイク・車のガレージから事業用の倉庫・簡易店舗まで、60平米未満の小規模建築物を専門に扱う事業です。兼任の営業マン1名からのスタートでも、3年で年商3億円を狙えます。
市場規模と競合環境

画像提供:PIXTA
ガレージ・倉庫建築は、非建設業でも非常に参入しやすい領域です。建設業の参入ハードルとして、建設業の許可や各種届出が必要なほか、人材採用の難易度が非常に高いことが挙げられます。
しかしガレージ・倉庫は、このハードルを回避できます。まず、
人材に関しても、ガレージメーカーと協業することで、工数を最低限まで減らすことで、営業1人で回せます。詳細は後述します。
こうした参入障壁の低さの一方で、ガレージの専門業者はごく少数です。その背景には、倉庫・ガレージという、中途半端な立ち位置が関係しています。
プレイヤー①工務店 木造が得意なため、鉄骨メインのガレージ・倉庫に積極性を見出さない
プレイヤー②地場のゼネコン 5000万円以上の大型案件が軸のため、単価700万~1000万円には手を出しにくい
プレイヤー③ホームセンター 必要な確認申請をすべて外注するため金額面で不利
結果として、競合が極めて少ないまま現在に至ります。
成功のカギ
成功のカギは、ガレージ・倉庫メーカーとの連携です。カクイチ、イナバ物置など、2~3社と連携しましょう。
メーカー側が部材発注と組み立てを担当するため、現場の工数を6〜7割削減できます。自社で手配する必要があるのは、基礎工事、電気・給排水設備、確認申請などの最低限。そのため、人手不足の企業でも参入しやすいのです。

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さらに、メーカー品は規格化されています。図面や見積もりを素早く提示でき「この大きさなら〇〇円です」と費用も即答できるため、短期間の研修さえ行えば未経験でも受注できます。
もし商談のなかで「まず実物を見たい」という顧客がいれば、メーカー直営のショールームを案内すればよく、自社で大きな用地を準備する必要もありません。
ただしメーカーによっては間に代理店が入り、営業利益がやや下ぶれることを念頭に置く必要があります。
収益モデル

ガレージ売上単価は700〜1000万円が中心です。営業1名で狙えるのは、初年度売上5400万円・粗利1350万円・営業利益690万円ほど。3年目で売上3億円・粗利7725万円・営業利益6625万円を目指します。
初期投資額は約660万円。これは人件費+広告宣伝費と、ほぼイコールです。専用サイトを作り、リスティング広告や外注のテレアポ、フリーペーパー等を活用し、地元のガレージ・倉庫専門店として打ち出します。
成功事例

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大阪にある太陽光発電販売会社A社では、市場の飽和を感じ、新たにガレージ屋根に太陽光を載せる提案をすべく参入。ホームページ開設2か月で2棟を受注し、その後、総額6000万円の整備工場案件や9000万円のコンビニ併設案件も獲得。事業開始初年度で3億円の受注を達成しました。
茨城県の電気工事会社B社は、既存の電気工事業だけでは今後の成長に限界があると感じ、未経験からガレージや倉庫の建築に参入。オープン初月から毎月10件以上の反響を獲得しました。その後事業を軌道に乗せ、初年度1億円を達成。次年度は3億円の売上を見込んでいます。
②コンパクトリゾート、営業利益率50%も現実味
コンパクトリゾートとは、小規模複合型リゾート施設です。山林を活用し、ジャイロライドと呼ばれる自立式電動立ち乗りボードを中心に、焚き火、サウナ、宿泊などを組み合わせます。山林を活用することで、地方でも高収益を実現できます。
市場規模と成長性
国内レジャーランド・遊園地業界の市場規模は2024年に1兆円を突破しました(レジャー白書2025)。コロナ後のV字回復に加え、インバウンド需要が市場を牽引しています。
一方、都心のテーマパークは混雑と値上げが進み、客離れも一部で見られます。 例えば東京ディズニーランドの場合、1983年の開園当初は大人1人あたり3900円でしたが、10年前の2016年には6900円に。さらに2026年現在は6段階の価格変動制で、ハイシーズンには10900円と、開園当時の約3倍まで値上がりしました。(参考:株式会社オリエンタルランド 2025FACT BOOK )
そのため、よりコストを抑えて楽しめる、地方のコンパクトリゾートが注目されています。目玉となるのは、ズバリ「ジャイロライド」です。

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ジャイロライドは老若男女が楽しめる自走式アトラクションです。同意書を記入してもらい、乗り方を教えた後は、利用者に自主的に遊んでもらえます。
管理者が付きっきりで見守る必要がなく、未経験スタッフ1~2名で回せるため、人件費を抑えられます。お客さんも、テーマパークのように屋外で1~2時間並ぶ必要なく、心ゆくまで遊びを楽しめます。

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収益モデル

初期投資は1億円弱。約1500坪の土地代、造成費と建設費が必要なほか、ジャイロライドは1台180万円を30台ほど導入します。
売上はジャイロライド単体で年間8000万円が1つの基準です。そこから、広告費1200万円、人件費540万円、光熱費やシステム料、減価償却費などを差し引き、営業利益4000万円・利益率50%を狙います。

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アウトドアリゾートは自然そのものがコンテンツです。規模・投資額を抑えながら、テーマパークに負けない客単価を狙えます。
事業が軌道に乗れば、周辺に焚き火のあるカフェ、プライベートサウナ、ドッグラン、宿泊ヴィラなど、ライド型・体験型・鑑賞型の遊びをバランス良く配置していき、さらに幅広い年齢層を取り込みます。
3年計画でリスクを分散しつつ、段階的にコンテンツを追加していくのがおすすめです。
成功事例
栃木県のC社は、2000坪の森で年間来場者1万人、客単価1万円を達成しました。 周辺は避暑地として有名なエリアで、牧場、遊園地、動物園、サファリパークなどの競合がひしめく中、ジャイロライドという独自性で差別化し、成功しています。
成功のカギ
肝心なのは商圏です。車で60分圏内の人口が100万人以上いるエリア、または年間観光客300万人以上のエリアを選定します。
立地は、平凡な雑木林でも可。山林を活用できれば、土地取得費を大幅に抑えられます。坪単価1万円で買える山も決して珍しくありません。
販促はホームページ、SNSがベースです。あわせてプレスリリースを積極配信し、メディアに取り上げてもらうのがおすすめです。マスコミにウケるよう、出来る限り「地域初」「新施設」など独自性をアピールしましょう。さらに山林で施設を運営することで、自然を大切にする姿勢を打ち出せま。外国人の水源地買収やメガソーラー乱開発へのアンチテーゼとして貢献できる意義があります。
③【建設業】人員そのまま、非住宅領域で戦う
建設・リフォームを手掛けている企業におすすめしたいのは、「非住宅領域」のリフォームへの参入です。工場、倉庫、店舗、医療介護、宿泊施設などの改修工事を行います。
市場規模と競合環境

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非住宅領域で特に改修需要が見込まれるのが工場です。
1980年〜2000年にかけ、年間5万〜10万棟ほど建築されてきた工場。すでに築30〜40年を迎えつつあり、改修ニーズはピークを迎えています。その一方、「改修をどこに頼めばいいか分からない」と課題を抱える建物のオーナーも増えています。
当時の建築会社に頼んでも、30年以上前の話だから…と難色を示され、ゼネコンに頼むと、資材高騰を理由に高額な見積もりがやってくる上、レスポンスも遅い。そんな建物オーナーに向け、「当社は非住宅専門のリフォームをやっています!」と打ち出すのです。
収益モデル

初期投資は工場改修の場合、ホームページ制作、WEB広告、システム料などを含め、年間で約600万円〜650万円程度。初年度で約8000万円の売上を目指し、3年目で3億円規模へと成長させます。
テナントリフォームの場合はもう少しシンプルです。

初期投資は600万円弱で、工事と同等の売上を目指します。地代家賃が多くかかるため、営業利益の想定は450万円です。 営業利益率は工場改修で約11.1%、テナントリフォームで約5.5%を見込めます。
成功事例
中国地方のD社は、元々は下請けの屋根・板金工事や、競争の激しい住宅屋根リフォームを行っていましたが、法人向けの工場改修に特化した専門ブランドを立ち上げました。
結果、参入3年目半ばで売上5.5億円(見込み6億円弱)、年間集客数315件を達成しています。
専用サイトからの集客は年間60件、展示会出展による集客は3日で42件。さらに、銀行向けの勉強会を開催して融資相談に来る法人を紹介してもらう形で7行の金融機関とアライアンスを構築し、毎月紹介を獲得しています。
成功のカギ
カギはブランディングにあります。「何でもやります」という総合的なリフォームではなく、工場改修専門や店舗・オフィスリフォーム専門のように、建物種別ごとに特化した専門ブランドを立ち上げます。

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BtoBならではの関係性の構築も重要です。 BtoBの大型案件は即決されにくいため、まずは水回りやクロス張替えなど、担当者が決裁しやすく発生頻度が高い少額工事(フロント商品)で口座を開き、その後に大規模な改修(バックエンド商品)へと繋げていくのがおすすめです。
BtoBなので、一度つながりができれば、継続的な受注を狙えます。
新規事業選定で押さえるべき6つの評価軸
今回紹介した3つのビジネスは、様々な新事業の成功例のうち、ほんの一部です。
後半では、自社に最適な事業を選ぶための基準をお伝えします。船井総研には、6つの選定基準があります。 
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評価軸1:高成長と高収益の両立
市場全体が「成長期」かどうかをまず見極めます。 年率130%以上で成長しており、かつ営業利益率が10%以上確保できる事業であることが条件です。成長性だけでは資金繰りが厳しくなり、収益性だけでは市場の伸びに乗り遅れます。両者のバランスが取れている分野を選びましょう。 
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評価軸2:投資回収期間が5年以内
新規事業は不確実性が高いため、投資回収期間が長すぎると途中で撤退を余儀なくされるリスクがあります。初期投資を抑え、早期に黒字化できるビジネスを選ぶことで、リスクを最小限に抑えられます。目安は5年です。
評価軸3:競争優位性の確保
参入障壁が低い市場は短期的には魅力的に見えますが、すぐに競合が殺到し価格競争に陥ります。脱サラの個人が大挙して押し寄せてくるビジネスよりも、参入障壁のある事業を狙ったほうが安心です。一定の参入障壁がある分野では先行者利益を享受しやすく、安定した収益を長期的に確保できます。
評価軸4:省人化・自動化の可能性
人手不足が深刻化する中、人的リソースに依存しすぎる事業は拡大が困難です。AI、IoT、DXなどの技術を活用できるなど、少人数で運営できるビジネスを選ぶことが重要です。 
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評価軸5:既存事業とのシナジー
既存顧客基盤や保有資産を活用できる事業であれば、立ち上げコストを抑えられます。また、既存顧客のLTV(顧客生涯価値)を高めることも可能です。太陽光発電の会社がガレージを販売するのは、まさにこの好例です。
評価軸6:社会課題の解決と高収益の両立
社会的意義のある事業は行政支援や補助金を受けやすく、メディア露出も期待できます。 
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新規事業に参入する場合は、今回ご紹介した事業のように、先行する成功事例がしっかりとあるものを選定してください。フランチャイズへの加盟もおすすめです。オリジナルで立ち上げるよりも、立ち上げ期間が短縮でき、収益化が早まります。
そして、やると決めた以上、地域一番店にするという、経営者と従業員の心意気が最終的には重要です。
会社を持続的に成長させていくために、投資は欠かせません。「今の仕事のままでも社員みんなが食っていけるけど、ぼんやりと不安が残る」。そんな経営環境であれば、ぜひ挑戦いただきたいと思います。

