【中小企業向け】社長個人の資産を増やす財務戦略と「お金の中長期計画」策定4つのポイント
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2026.06.07
前回記事で、社長のお金に関する公表されている数字や、実際のお金の貯め方についてみてきた。次に、大事な「社長のお金に対する考え」についても見ていこう。社長のお金に対する考えは、会社や社長を取り巻く環境に影響を受ける。また、中小企業のオーナー社長の場合、会社のお金に関することは社長個人の考えが大きく反映されるので、特に重要になる。
INDEX
会社のお金=社長のお金

画像提供:PIXTA
イチから会社を興し、成長させてきた社長は創業から一定の期間までは「もっと稼ぐ」「稼いでパッと使い、また稼ぐ」をモチベーションにしていることが多い。「人より稼ぐ」「いい暮らしをしたい」が原動力だ。
その後会社が大きくなり、業種にもよるが実質的な年収が5000万円を超えたくらいになると、お金そのものに対し興味をなくす社長が多いという。年収が一定額に達したあとは、どのくらい稼ぐかよりも、「いい会社を目指す」ことに力を入れていく。
また、会社の規模が10倍になっても、年収は変えていない社長もいる。節税などは考慮しながらも、もはや年収を上げる必要性を感じなくなるからだ。
中小企業の場合、会社と社長は一体になっている。
会社の借入金は社長が個人保証や担保提供をしているケースが多く、実態としては社長が借りているのと同じだ。
会社の資産として保有している社用車を、実態としては社長が私的に使っているケースも多く、このことを社員からは「会社のお金でいい車に乗って……」と言われたりすることもあるが、その車を会社で購入したお金も、社長が個人保証している借入金から出たりしているので、間接的に見れば社長のお金で買っているのと同じになる。
また、勤務実態があまりない社長の親族が役員として給料を取ったりもしていることについて、社員に知られれば面白くないと思われるのは間違いないが、これも社長が会社に何か個人保証している分、いざとなれば個人の財産をすべて投げ出さないとならないので、社長一族として蓄財しておく必要性がある。
会社のお金の流れは、社長のお金に対する考えを反映する

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経営者(社長)が考えなければならないこととして「会社として出た利益をどこに蓄財するのか?」がある。リスク回避面、税務面など、総合的に判断して毎年の決算で出た実態としてのキャッシュを、どこに「貯めるべきか」を判断する必要があり、それをうまくやっている経営者とそうでない経営者がいるのも実際のところと言える。
- 自身の報酬(役員報酬)として取るのか
- 役員・社員で入れている親族の報酬として取るのか
- 会社の利益剰余金として積み上げるのか(=現預金としての積み上げ)
- 保険料として将来への蓄え、リスクヘッジとして計上するのか
- 将来への事業投資として使うのか
- 事業とは関係はないが利回りを求めての投資に使うのか
- 株主への配当として使うのか
等々……。
これらの点を中長期的な目線でかつ、毎年出たキャッシュの額に応じて判断する必要がある。
「決算書を見るとその会社の社長の考えていることと、今、目指していることが見える」と言うと大げさかもしれないが、ある程度は見える。どこに使うのが正解で不正解かはない。いずれにしても「会社=社長」で社長が負うリスクは同じだからだ。
違いがあるとすれば、当然「税金面」が挙げられる。「お金を残す」観点からは節税も考えないとならないので、会社最適・個人最適の優先度を多少下げても、節税を前提に考えなければならないこともあるだろう。
また、「誰に決算書を見せるのか」によっても変わる。お金を借りている、借りようとしている金融機関に見せることにウェイトを置くならば、会社に利益が残る形にしたほうがよい。
税務署に見せることにウェイトを置くのなら、それに相応したものにする必要がある。恣意的になるのはよくないが、これまでも伝えてきたように、いずれにしてもリスクを負うのは社長なので、社長の考え方を優先するべきと言える。
いざというときのための「社長個人のお金を貸す」に備える

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会社をM&Aで売却するとき、「社長の資産はどのくらいか」も問われる。会社のお金だけでなく、オーナー社長のお金も売却時の重要な要素と考えられている、ということだ。
また、「社長個人のお金を会社に貸す」も会社経営においてはよく行われている。
どうしても必要な支払いだが会社にお金がない場合、社長が貸しておいて、その後退職時にでも退職金として返してもらう。どうしても工面できないときは放棄する。会社がつぶれるのに比べれば、はるかによい選択なのは言うまでもない。
後継者に承継したとしても、オーナー社長は「ぜんぶ手放せたのでこれで安心だ」とは残念ながらいかない。
息子や娘、あるいは別の親族が株式100%を引き継ぐ形で承継しても、創業者の個人保証は外せないことがほとんどだからだ。
ほとんどの会社は、それまで会社が経てきた歴史のなかで社長個人の保証額を超えているので、前社長の個人保証は残る形になる。
そのように個人保証が残る以上、いざというときに備えて、そのお金は社長の手元に置いておかなければならない。
このほかにも、子どもが会社を継がずに別の会社を興すといったケースでも、その会社が融資を受ける際に、条件が芳しくなかった場合、銀行が「お父さんの援助は受けられないのですか?」と言ってくることもある。
援助をするかどうかは次の話で、社長には手元に持っておくべきお金がたくさん必要ということだ。
「お金の中長期計画」で考えたいポイント4つ

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中長期計画を策定する会社は多くある。実はそれに合わせて「お金の中長期計画(会社版と社長個人版)」も作る必要がある。
以下が具体的に考えたいことだ。
①中長期的にB/Sをどのように作っていくのか
中小企業の大半は、中長期計画の策定においてP/Lは作り込むものの、B/Sはあまり意識をしていない。他者が企業への評価をする際にはB/Sのウェイトが大きくなるので、B/Sも見ておく必要がある。そのなかで
- 現預金はどの程度持っておく必要があるのか
- 純資産はどの程度が安全圏なのか、そこを増やすための利益剰余金をどのように積み上げていくのか
がポイントになる。
②投資をどのようにしていくのか
「投資は必要なタイミングがくれば金融機関から借り入れればいい」と考える経営者も多いが、そのためには担保が必要にもなり、ある程度は自社の手元資金から出すことも求められる。
また事業投資は読み込みやすいが、非事業投資は将来的な利回りを期待してのものなので慎重にしなければならない。
よく「今期利益が出たから税金対策で航空機リースにお金を突っ込んだ」という話を経営の現場でよく耳にする。これ自体、法人でも個人でもダメなことではないが、大きくお金を減らすことでもあり、計画的にやる必要性はある。
③上記も含め、「個人としての」利益をどのように分配していくのか
社員に見せる中長期計画には書き込みづらいので、経営者自身の手元で持っておくべき計画としては「自身の役員報酬」「自身も含めた配当」「自身以外の親族の報酬」「積立としての保険料」など、利益をどのように分配するのかはシビアに見る必要がある。
④相続対策・事業承継対策も視野に入れよう
相続を控えている場合には、相続時における企業価値(株価)も鑑みての「お金の中長期計画」を立てる必要がある。
株式を承継する際に過大な税負担が発生しないようにしておく必要があったり、上場を考えるのであれば、安定的に収益が上がっているようなお金の動きを作る必要があったりもする。
「誰に引き継ぐか」で取るべき手立ても変わるのだ。
改めて結論を言うと、中小企業はオーナー経営者が実態としては大半の意思決定権を持っているので「将来、会社や自身がどのようになりたいのか」を考えてお金を見ていく、考えていく必要がある。
※本記事で述べている税金に関する内容は、一般的なケースに関するものであり、実際の税額計算や節税策については税理士にご相談ください。
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