<データは語る>「100億宣言」有言実行28社を全部見る
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2026.10.09
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- 2026年9月14日、中小企業庁及び中小企業基盤整備機構が運営する「100億宣言」において現在の100億円達成企業数及びその内訳が公表されました。その中身を分析し、5つのトピックスをお届けします。
執筆:社長online編集部 山内淳史
INDEX
100億宣言とは、中小企業の皆様が飛躍的成長を遂げるために、自ら『売上高100億円』という経営者の皆様にとって野心的な目標を目指し、実現に向けた取り組みを行っていくことを宣言するものです。すでに100億宣言を行った企業は、2026年9月時点で3,690社を数えます。このうち、100億円達成企業数は公称値で30社、編集部がサイト上で実際に確認できたのは28社でした。
どのような企業が100億円を達成したのか
まず、100億円企業のポータルサイトにて100億円達成が確認できた企業は下記の28社です。(五十音順・法人格は省略)
アテナ工業 / アミノ / アルプスピアホーム / AND CLAN / イノウエ / エビス / エビスブロイラーセンター / エフコム / 岡田商運 / オカモトヤ / 荻野化成 / 関東パック / 共栄製茶 / 協和コーポレーション / ぎょうざの満洲 / コスモバンク / サイチ工業 / 山陽工業 / 三和パッキング工業 / sumarch / 東邦シートフレーム / 日本カードクリエーション / 日本橋冷凍手島商店 / フォーティファイブアールピーエムスタジオ / 古川電気工業 / 松下モータース / 眞鍋造機 / ミキフーズサプライ
次の章から、詳しく分析をしていきます。
①製造業が6割
100億円達成企業の過半数を占めるのが製造業(17社)です。設備投資、ロボットによる省力化、グループ連携や新領域開拓、DXなどを進めて生産性を高める方針を宣言している企業が目立ちました。
単に古い機械を新しくするのではなく、EV向け部品や環境貢献容器、高精度品など、高単価・高利益率な市場へ参入するための契機として設備投資が活用されています。
例えば三和パッキング工業(大阪府豊中市)はガソリン車向け部品中心から、新工場開設によりハイブリッド車・電気自動車(EV)向けバッテリーケースカバー等の製造体制へシフトする計画で、省力化された現場人員は、新規事業や高付加価値ラインへ振り向けていく方針を掲げています。
続いて卸売・小売業(5社)、建設業(3社)が並びます。
②宣言時点の年商、中央値は92.1億円
宣言時点で年商100億円を達成していた企業は2社あり、中古自動車販売の松下モータース(静岡県掛川市、109.7億円)と船舶用鋳造メーカーの眞鍋造機(愛媛県今治市、105.3億円)の2社です。この2社を含めた宣言時点での年商の中央値は92.1億円でした(2社を除外した場合は91.3億円)。
宣言時点の年商は基本的に2024年度のデータであり、単純計算した場合、100億達成企業は1〜2年で10億円弱の増収を果たしたことになります。
100億宣言後に急成長を遂げた事例も見られます。金属加工プレス製造のアミノ(静岡県富士宮市)は、2024年9月期の70.7億円から、約2年で年商100億円企業に。2029年の達成目標を大きく前倒ししました。
また「外れ値」ともいえる成長を見せたのが中国人向け民泊事業「住一(ジウイー)」を運営するAND CLAN(大阪府大阪市)。3期で年商およそ10億円から100億超への成長を達成しています。
グループ傘下でAND CLANの物件管理を行うとするHIWIN(ハイウィン)社の公式サイトによると、2026年6月現在で60施設3,000室のアパートを運営。道頓堀、難波、新今宮などの繁華街に大型民泊施設を展開しており、2023年9月に年商約9億円だった業績は2026年11月期に126.6億円に達するとしています。
※補足:社長onlineでは同社に事実確認のための取材を申し込みましたが、記事公開までに回答はありませんでした。
③100億円達成計画は「既存強化型」が中心
100億円企業の傾向を見ていくと、既存事業の磨き込み(設備投資・営業強化・物流最適化)により100億円を達成した例が目立ちます。単一の主力事業を伸ばす企業が多い一方、山陽工業(広島県尾道市)のように、造船用の管材卸売、空調、宿泊施設をバランスよく拡大している例もあります。
既存市場のコモディティ化や価格競争から脱却するため、設備投資や自社の強みを生かした高付加価値路線へ転換した例が目立ちます。
例えば食肉加工のミキフーズサプライ(千葉県白井市)では、外食チェーンの店舗拡大に加え、個食・加熱品ニーズに対応する設備導入などにより、2029年度に年商180億円を見込んでいます。またオフィス構築事業のオカモトヤ(東京都港区)のように、文具・オフィス家具供給から、空間構築及びICT機器の提供、オフィス完成後の伴走支援など、高付加価値化・サービス領域拡大を目指す事例もあります。
④都道府県分布 最多は東京、地方も強い
(その他11県:千葉県、福島県、宮城県、長野県、岐阜県、滋賀県、広島県、岡山県、愛媛県、宮崎県、鹿児島県)
企業分布については、産業の規模におおよそ比例します。GDP(県内総生産)首位の東京都が最多で、製造業が強い神奈川、大阪、愛知、静岡も見られます。
一方、岐阜県関市や宮崎県小林市などの人口集中が限定的な地域においても、100億円企業化を達成し、地域活性化に一役買っている企業の姿が見られます。まだ母数は少ないながらも、立地が100億円企業化を妨げることはないといえそうです。
⑤1人当たり生産性1億円を超える企業も
社員1人あたりの売上高が1億円を超える高生産性企業は、イノウエ(東京都千代田区)、松下モータース(静岡県掛川市)、協和コーポレーション(神奈川県横浜市)、コスモバンク(愛知県春日井市)の4社でした。下記の図にて、公表されている年商を従業員数で割って各社の生産性を算出しました。数値は100億宣言時点のものです。
生産性が高い各企業に見られるのは、営業マンが必死に売るような「足し算」ではなく「掛け算」を意識していることです。
- 従来の枠組みから踏み出し、自社ならではのサービスを提供するモデルへ進化させるITシステム導入
- 属人ノウハウのデータ化・システム化
- 設備投資における単なる老朽更新ではなく、省人化や次世代化への適応
といった工夫で、生産性を高めています。
100億円達成企業における宣言当時の生産性の中央値は次の図のとおりです。皆様の業種と、ぜひ照らし合わせてみてください。
100億円は「通過点」
宣言時点で年商100億円に王手をかけていた企業が多いこともあってか、今回の企業群の中で「年商101億円以上」を目標に掲げている企業は28社中26社を占めました。なかには150億円、200億円といった目標も見られます。
100億円が目標というよりも、より高い目標に向けたマイルストーンの意味合いが強いように思えます。
都市部か地方か、あるいは製造業かサービス業かといった属性にかかわらず、自社の強みに何を掛け合わせるかで、企業の成長上限は変化します。
今回紹介した事例からもわかるように、成長への道筋は一通りではありません。DX・自動化・新市場・パートナーシップなど打てる手はきっと多いはず。100億円企業の分析を通じて今後の成長戦略を描いてみてはいかがでしょうか。
参照元:100億宣言成長ポータル
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